はっちゃんZのブログ

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『武闘派!』なのに、実は超能力探偵の物語

あらすじ

桐生 翔(きりゅう しょう)は新宿の片隅で私立探偵業を営む。ある日突然超能力(テレポーテーション)を授かるが、本人も半信半疑の上発現頻度も曖昧で使い方もよくわかっていないまま物語は進んでいく。正義感にあふれる若い探偵が、小さな探偵社に訪れるクライアントからさまざまな依頼をこなしながら多くの人とふれあい、高い格闘技術で事件を解決していき、笑える場面が多い恋愛小説。 

~もくじ~

1.絶体絶命のはずなのに?       2.翔、帰還?! 

3.京(凶)一郎、見参!        4.『葉山館林研究所』到着 

5.いつ出るの?超能力!                       6.葉山館林邸1

7.葉山館林邸2                           8.テロ教団から都民を救え!1

9.テロ教団から都民を救え!2     10.テロ教団から都民を救え!3

11.「目黒館林研究所」完成        12.臓器売買組織を壊滅せよ

13.ストーカー事件を解決せよ!1  14.ストーカー事件を解決せよ!2

15.ストーカー事件を解決せよ!3  16.ストーカー事件を解決せよ!4

17.百合との出会い1                     18.百合との出会い2

19.百合との出会い3           20.百合との出会い4

21.幼い兄妹を救え1                           22.幼い兄妹を救え2

23.幼い兄妹を救え3           24.幼い兄妹を救え4

25.幼い兄妹を救え5        25.翔とミーアと百合1

27.翔とミーアと百合2                       28.局アナ盗撮事件を解明せよ1

29.局アナ盗撮事件を解明せよ2   30.局アナ盗撮事件を解明せよ3

31.局アナ盗撮事件を解明せよ4   32.局アナ盗撮事件を解明せよ5

33.未知の物質は?         34.桐生事務所ビル改築

35.オレオレ詐欺団を壊滅せよ1      36.オレオレ詐欺団を壊滅せよ2

37.オレオレ詐欺団を壊滅せよ3      38.オレオレ詐欺団を壊滅せよ4

39.オレオレ詐欺団を壊滅せよ5   40.お化けアパートの怪1

41.お化けアパートの怪2              42.お化けアパートの怪3

43.お化けアパートの怪4              44.お化けアパートの怪5 

45.お化けアパートの怪6      46.初めてのくちづけ

47.百合、実家で相談する      48.翔、久々に実家へ帰る1

49.翔、久々に実家へ帰る2     50.百合、初めて桐生家へ

51.翔、初めて葉山館林家へ1    52.翔、初めて葉山館林家へ2

53.翔、初めて葉山館林家へ3    54.翔、初めて葉山館林家へ4

55.新宿探偵事務所スタート1    56.新宿探偵事務所スタート2

57.新宿探偵事務所スタート3    58.新宿探偵事務所スタート4

59.逆恨み1            60.逆恨み2

61.逆恨み3               62.消された記憶1

63.消された記憶2            64.消された記憶3

65.怪しいクライアント       66.痴漢冤罪ビジネスの闇を照らせ1

67.痴漢冤罪ビジネスの闇を照らせ2  68.痴漢冤罪ビジネスの闇を照らせ3

69.痴漢冤罪ビジネスの闇を照らせ4  70.痴漢冤罪ビジネスの闇を照らせ5

71.痴漢冤罪ビジネスの闇を照らせ6  72.痴漢冤罪ビジネスの闇を照らせ7

73.痴漢冤罪ビジネスの闇を照らせ8  74.痴漢冤罪ビジネスの闇を照らせ9

75.痴漢冤罪ビジネスの闇を照らせ10  76.遺族の恨みは晴れるのか1

 

さざなみにゆられて-北海道編-

小説期間:2000年平成12年4月1日~

あらすじ:

美波は写真集で見た富良野などの北海道の雄大な風景に憧れ、

自分のことを全く知らない人の街で暮らしてみたいと北海道の大学を受験。

小樽商科大学に無事合格し義父の影響で銀行員を目差す。

両親は米子にいたが、2000年に義父の勤務する銀行の合併に伴い、

偶然札幌市へ異動となった。

北の都『札幌』を中心として、北海道内の自然や観光名所を含めて

慎一、静香、美波、雄樹、夏姫の生活が始まる。

悲しい事件は起りません。おだやかに時間が過ぎていくだけです。

 

登場人物

日下慎一 現在41歳、1999年静香と再婚。山陰支店では預金課で勤務している。

     2000年4月より関西中央銀行と札幌振興銀行が合併し「六花銀行」となる。

     2000年に北海道札幌市へ再度融資課員(支店長代理)として異動。

日下静香 現在39歳、17年前に夫と死別し娘(美波)を一人で育てた。

                  1999年5月に日下慎一と再婚。現在妊娠中。

日下美波 現在19歳、鳥取県米子東高から北海道小樽商科大学へ入学し青春を満喫中。

日下雄樹 2000年夏に生まれる男の子。

日下夏姫 2000年夏に生まれる女の子。

 

もくじ

1.札幌へ              2.初めての胎動

3.美波の戸惑い           4.慎一の自覚と不安

5.初出勤              6.二人でコーヒー

7.美波の誕生日           8.YOSAKOIソーラン祭り

9.美波、学生生活スタート        10.独立への一歩

11.母の再婚と強がり娘        12.サークル

13.ゲレンデ             14.雪のイベント

15.誕生               16.子供たちのお披露目

17.お宮参りと育児への参加              18.銀杏の下で

19.シシャモ祭りとラムジンギスカン     20.お食い初め

21.美波の憂鬱                                         22.流氷観光1

23.流氷観光2            24.流氷観光3

25.桃の節句                                            26.静香始動            

27.支笏湖とオコタンペ湖1                   28.支笏湖とオコタンペ湖2     

29.端午の節句                                         30.美瑛と富良野1         

31.美瑛と富良野2                                  32.すながわスウィーツロード1   

33.すながわスウィーツロード2             34.

 

さざなみにゆられて-山陰編ー

*登場人物*

後藤静香 小料理屋「さざなみ」の店主。

                  地の食材を美味しく食べさせてくれる店。

     店ではいつも弓浜絣を着ておりおだやかな笑顔の女性。

                  娘と二人暮らし。

後藤美波 静香の娘。高校一年生。明るく人懐こいところがある。

日下慎一 春に米子へ新規開拓を目的に赴任してきた独身の銀行マン。 

*あらすじ*

山陰地方の町、米子市で小料理屋「さざなみ」を営む静香・美波親子と

関西生まれの銀行勤務の慎一とのふれあいを描く。(三人視線)

山陰地方の四季の中で三人三様の心の傷が癒される時間を描く。

~もくじ~

1.赴任                2.「さざなみ」初来店

3.秀峰大山へ             4.静香のまなざし、美波のまなざし

5.面影                6.追憶1

7.追憶2               8.美波の秘密

9.がいな祭りと境港         10.がいな大花火大会

11.美波、秋の県大会新人選へ出場  12.帰途の二人

13.とまどい            14.師走、三人で

15.帰省、遠い記憶         16.初詣

17.移り変わる記憶         18.桜街道

19.二人で出雲へ          20.母の再婚

21.彼との距離           22.浴衣1

22.浴衣2             24.突然の辞令

25.それぞれの思い         26.いつもの音

27.美波のがまん          28.慎一の約束、静香の願い

29.異動の朝            30.湯呑

31.壊れた携帯           32.霧と痛みの世界

33.間違い電話           34.幸恵の疑問

35.静香親子、神戸へ        36.春の息吹

37.再赴任             38.再び『さざなみ』へ

39.美波の受験           40.美波の言葉

41.旅立ちの日           42.広すぎる家

43.最初の夜            44.相性

45.新婚旅行、娘と1        46.新婚旅行、娘と2   

47.業界再編への動き、そして

71.痴漢冤罪ビジネスの闇を照らせ6

店の近隣駐車場へバトルカーを待機させ、

夜中にはドローンを飛ばしX線撮影にて建物情報を調査した。

隠し部屋らしき怪しいところは見つからなかった。

クモママから派遣したクモ助の聞き耳タマゴからは

対象が女子高生であったため深い情報は取れなかった。

更なる情報を求め、

クモママを事務所裏口の真上にある換気口へ移動させ、

いつでも出入する者に貼り付けるようにクモ助を待機させることとした。

事務所内に待機しているクモ大助との連携を取るつもりだった。

 

「それはそうとあっちの方、A班・・・は順調なのですか?」

「あまり詳しくは知らないけどそうなんじゃないか?

 でも最近、線路に逃げる奴が増えてきているようだよなあ」

「それと何か関係あるのですか?」

「よくわからないが、逃げられたら売上げにならないと

 ニュース見たボスが独りごと言ってたなあ」

「ふーん、あまりわからないけど。売上げにならないと

 またいろいろとこっちに言ってきますねえ」

「そうだろうなあ。

 でもこちらは生身の女と縁のない寂しい男からコツコツと釣ってるだけだから」

「しかし、不思議な機械ですよねえ。全く原理がわからない」

「まあ、物理の天才の生身嫌いの学生の発明だけど。

 あれと天才は紙一重というのは本当だな」

「そうですね。生身を目の前にして、

 あの機械でしてもらうのが好きってんだから、本当に変な奴ですよねえ。」

「あの機械試してみたけど、不思議だった。本当にしてるみたいだったぜ」

「そうなんですか」

「ああ、あそこがきゅっと締め付けられて、こう動くんだ。

 最後には思わず出てしまったぜ」

「へえ、そりゃあ不思議ですねえ」

「まあ、あの箱の中にセクサロイドと同じ物が入っているらしいけど・・・」

「だけど、あの触られる感触は・・・逆に怖いですねえ」

「もう何でもありの世界になりつつあるのかねえ。でもやはり俺は生身が好きだなあ」

「俺もです。でもへたな女よりはうちの機械が勝ってるような気がしますがねえ」

「そうだろうな。だから毎日毎日これだけの客がくるのだろうなあ」

「お陰でボスに喜ばれるということですね」

「そうだな」

「それはそうと、今日は組に顔を出す日ではないですか?」

「そうだった。ちょっとお金の準備してくる」

「へい、お気をつけて」

 

男は神田駅前にある古いビルへと入っていく。

どうやら3階のフロア全体を借りているようだ。

早速クモ大助をビル壁面の換気口、

クモママをビルの出入口上部の換気口へ待機させ調査を開始した。

(つづく)

70.痴漢冤罪ビジネスの闇を照らせ5

Ryokoからの連絡がスマホへ入ってきた。

小部屋付近は静かになったようだ。

仕事終わりにはゴミ箱内の清掃があると考えて、

アスカがタイミングを見計らって

クモママとクモ大助をテーブルの裏へすでに移動させている。

翔は慎重にクモママとクモ大助を各自の持ち場へと移動させていった。

 

事務所やスタッフルームは店に入った時に確認している。

クモママはスタッフルーム(女の子部屋)の家具の裏へ待機させ、

クモ大助は事務所にある額縁の裏へ移動させた。

これから連日情報収集に入った。

 

スタッフルーム(女の子部屋)情報をまとめると

①この店に雇われている女の子は概ね二つのグループに分けられている。

②仕事の種類は2種類の仕事であり、「V担当」と『A担当(別名F担当)』と呼ばれている。

③業務で手取りがいいのは『A担当(別名F担当)』である。

④V担当者業務の詳細

・時間がくると専用小部屋へ行き、大きなカメラの前で待機する。

 ・ご奉仕コース:目の前に置かれている箱の中に映る男性の局部(画像)を手で

         触る。客へは顔だけがアップされている。

・お口コース :目の前に置かれている男性の局部の模型を舐めたり含んだりする。

        模型根元に設置されたレンズからのカメラ目線が客へ写される。

・爆射コース :ベッドが設置されており、腰から上が客へ映る。

        大人のおもちゃ(女性用、コード付、ただし小型)を使う。

        男性の挿入要望に合わせて、自ら挿入し感じる演技をする。

        性体験未経験者の場合、横になった腹部へ男性用大人のおもちゃを

        置き、局部のおもちゃを出し入れする。(レンズには映らない)

        挿入時の演技力などが必要で定期的に指導教育がある。

⑤機械の構造は不明で『壊したら殺す』と言われており怖がっている。

⑥バイト代は毎日受け取り、またはまとめて受け取りかを選ぶことができる。

⑦女の子の会話で由紀菜から『同級生のチカちゃん』(佐渡千佳?)の名前が出て

 おり、由紀菜と同じ学校でこのアルバイトを紹介されている。

⑧『同級生のチカちゃん』はA班でアルバイトをしている。

 A班の部屋はこのビルとは異なる場所にあって教えてもらっていない。

 

事務所からの情報は

①店としての1日の稼ぎは目標が500万円である。

②上納金は毎月5000万円、川口組残党のニュー川口組(神田)へ届けている。

③店としてAV女優や風俗嬢への斡旋もしている。

④VR機器の技師は『ソメヤ』という都内の大学生。覚醒剤で薬籠中にしている。

 初心なふりした女子高生をたまにあてがうだけで満足している。

⑤姉妹店として「セクサドール専門店」も経営している。

⑥A班は、詐欺グループが絡んでいるようだが、詳細は店の上層部しか知らない。

 まだ色々と情報は取れたが、どうも最後の詐欺グループ情報が気になった。

 

今回は、都内マンションに住む大学生『ソメヤ』の部屋へ

今日がアルバイト最終日となった由紀菜が派遣される。

彼女の外出着の襟に聞き耳タマゴを挿入し、場所の割り出しと情報聴取を開始した。

由紀菜のアルバイトの目的が、

苦労掛けてきた母親の誕生日のプレゼントの購入であることがわかっている。

普段仕事が忙しく、あまり話ができない母親へ

サプライズで喜ばせたいと考えているのだった。

 

『ソメヤ』と言う男が、生身には全く興味が無いことがわかっているため

由紀菜の身に危害が及ぶことは考えられなかった。

彼女が部屋から出てくるであろう時間にクライアントに連絡し待った。

少し疲れたようにマンションから出てきた彼女は

お母さんを見つけて最初は驚いていたが、

「ママ、どうして、ここに?」

「おかえり、由紀菜、心配したのよ」

母親の笑顔を見て安心したのか、屈託のない笑顔で母親へ近寄ってきた。

「由紀菜、良かった、あなたが無事で」

「ママ、ごめんなさい。アルバイトは今日が最後だったの」

「ならいいわ、さあ帰りましょう」

そして母娘二人で並んで仲良く家へ帰って行った。

翔は後日、由紀菜へ、

もうあのようなアルバイトは辞めるように

風俗店の機器そのものは違法でないが、

由紀菜や家族の身に危害が及ぶ可能性があることを考えて

他言は無用と伝えて近寄らないことを誓わせた。

(つづく)

69.痴漢冤罪ビジネスの闇を照らせ4

 

監視メガネからの映像をRyokoへ送っているので

後で解析していくつもりだった。

でも、もしこの時間まで事務所に百合がいたら・・・

と思うと気が気でなかった。

いくら仕事だからと言っても、

この店の客ではお嬢様の百合には理解し難くあまりいい気はしないと感じたからだ。

事務所に戻ると百合はすでに最上階の部屋に帰っているようだった。

店の営業時間は26時までなのでまだ時間があった。

今の時間は客がいるため部屋で

クモママやクモ大助を移動させるのは無理だった。

一度部屋へ戻って待機することとし、Ryokoへデータ解析を指示した。

 

部屋ではちょうど百合がご飯を作っていた。

「ただいま」

「あらっ?翔さん、早かったわね」

「お腹空いた」

「はいはい、どうぞ、今出来たわよ」

「おっ、この分厚いトンテキ!おいしそう」

「ええ、今日は偶然TOKYO X(東京エックス)が手に入ったの」

「へえ、テレビしか聞いたことない。百合、早く一緒に食べようよ」

「はい、それはそうと翔さん、今日はどうだったの?」

「うん?まあそれはご飯の後で」

「そうね、変な店だから何かあったらと心配だったの」

「えっ?知ってたの?」

「知ってたわよ、翔さんも大変ねと思って」

「怒らないの?」

「いいえ、なぜ?お仕事なのに・・・」

「うん、そう、変な店で困ったよ。でも準備はできたよ」

「なら良かったわ。そんな店、もう行かなくて済むならそれが一番」

「そうだね、良かった。じゃあ、いただきます」

「じゃあ、いただきます」

 

TOKYO Xは、ちまたの話題となっている東京都で開発生産されている豚肉で、3つの品種(北京黒豚、イギリス系黒豚、デュロック種) を交配させて改良した新しい品種の豚で、上質の赤身と脂肪がほどよく混ざった肉質が特徴とチラシには記載されている。

 

食後はコーヒーを飲みながら、

テレビをつけて二人でゆったりと過ごした。

夕方に精神力で局部を元気にさせたと言えども、

変に刺激されて少し身体が活性化している。

大好きな百合を目の前にすると、

ついつい安心してしまい抑え難くなって抱きしめていた。

「ねえ翔、私のこと考えて、お店では我慢してたのね。

 大丈夫よ、私はそんな事でヤキモチは焼かないわ」

「そうなの?」

「ええ、一応は男性の生理について知っているつもり。ふふふ」

「でも俺は百合じゃないと嫌だもん。百合、大好き」

「翔、私もよ。ここは明るいからお部屋で・・・」

「いいの?」

「ふふ、いいわよ、翔ったら、甘えん坊さんになる時はいつもそう」

「へへへ、だって百合は可愛いし素敵だし、いい匂いなんだもん」

「ああ、翔・・・もう・・・あん・・・好き・・・」

そんなこんなで百合と愛し合い、夜中まで軽く眠った。

(つづく)

28.支笏湖と三大秘湖のオコタンペ湖2

すれ違う車もないまま、看板に従ってなだらかな下り坂を走らせる。

やがて「丸駒温泉」が見えた。

支笏湖に面する割合に大きな旅館で車も結構止まっている。

キャンプ場駐車へ車を停めて、子供達をベビーカーに乗せて、

家族用テントを出して、お弁当を肩にかけて湖岸へ向かった。

 

目の前に静かな湖面が広がり、対岸に「樽前山・風不死山」が鎮座している。

湖面を渡る風が止むと「樽前山・風不死山」の姿が逆さに映っている。

自分達以外は誰もいないので一切物音もせず、静かな風景がそこにはあった。

子供達は、たまに吹く風が気持ち良いのか空を見てにこやかにしている。

急いで家庭用テントを組み立てて、ベビーカーを交代した。

妻がお弁当を広げて昼食の用意が終わったらテントの中へ子供達を入れた。

 

子供達へ食べさせるのは夫婦交代で、慌しく慎一が先に食べると妻と交代した。

子供達は離乳食で色々な味を覚えてたくさん食べ始めている。

大人のものも食べようとするが何とかなだめて離乳食を全部食べさせた。

子供達もお腹が一杯になり、遊び始めたので芝生のところへ連れて行った。

雄樹は父の背中を使って、つかまり立ちを始めている。

夏姫は父の膝が気持ちいいのか、ずっと座って母や兄を見ている。

妻が作ってきたコーヒーを入れた。

夫婦は子供達と鳥の声だけがこだまする静かな湖岸で馥郁たるコーヒーを楽しんだ。

いつの間にか母の膝に座っている雄樹が夏姫と何かを話している。

 

やや太陽が傾いてきて少し空気が冷たくなってきたので急いでテントなどを片付けた。

帰り道に偶然、『オコタンペ湖』の標識を見つけた。

なんと来た時は、標識が高い雪壁の上にあったので気がつかなかったのだ。

そこで車から降りて、

道路際にある展望台の雪壁の切れ間から覗いてみると、

ブログで見た湖面の色は全く見えず、

まだ雪に閉ざされたままの真っ白な湖面だった。

 

オコタンぺ湖は、火山噴出物によって堰き止められた湖で、

晴れるとコバルトブルー色になり、

その湖面に秋の紅葉が映ると、とてもきれいとの情報があった。

ただ湖付近は立ち入り禁止となっているため、

道路脇の展望台から眺めるようになっている。

次回に期待ということで札幌市への道を戻った。

(つづく)

68.痴漢冤罪ビジネスの闇を照らせ3

大きな画面に化粧された『ユキ』の顔が真正面から映っている。

ユキの背景には、ぬいぐるみとか並んでおり自宅の部屋のような光景が映っている。

「ユキです。ご指名頂き今日はありがとうございます。

 今日、ユキは学校で少し悪い事をしました。

 あなたへご奉仕することで許して頂こうと思ってます。

 いいですか?お名前教えてください」

「・・・」

「お返事してくれないとあなたへご奉仕できません」

「は、はい、この店が初めてなもので・・・ごめんなさい。ケンイチといいます」

「ははは、かわいい。ケンイチさん、私の初恋の人と同じ名前だ。

 きっと素敵な男性なのだろうなあ。

 あなたの言うとおりにしますから何でも言ってね」

「は、はい、ユキちゃんは本当に女子高校生?」

「みんな、聞いてくるから見せるけど内緒よ、はい、これが在学証明書だよ」

画面には2017年4月1日発行のカードで、

高校名が黒く塗られて幼い顔つきの女子高生が写っている。

そういう話をしながら部屋の監視用カメラの位置を確認し、

見えないようにバッグからクモ助を仕込んだクモママとクモ大助を出動させ

小部屋の隅のゴミ箱の陰に待機させた。

 

ここまで来たら帰ってもいいのだが、

怪しまれてもいけないので最後まで付き合うこととした。

「ケンイチさん、私のこと、嫌い?

 何も話さなくなるから不安になっちゃう」

「ごめんなさい。あまりに可愛いから驚いて固まってた」

「ははは、ありがとう、そんなこと言われたの初めて。

 ねえ、ケンイチさん、ケンちゃんって言っていい?

 早く御奉仕したいから準備して貰っていい?」

「は、はい、わかりました」

「ははは、そんなにていねいに話されたら、

 ユキが恥ずかしくなっちゃう。

 ユキ、早くしようよとか、言ってよ」

「はい、では・・・ユキ、早くしようよ」

「はーい、ああ、男の人ってこんなになってるのね。こわーい」

「怖くないよ」

「そうそう、そんな風に話してもらうのが好き。

 わたし男の子のこと知らないの。これでいいのかなあ?」

 

その瞬間、コードの付いている箱に入れている局部に触られる感触が広がった。

箱の中には何もないはずだが、そっと局部を握っている感触が伝わってくる。

これは驚くべき技術だった。

「じゃあ、そっと動かすね。痛かったら言ってね。

 すごく硬くなってる。これでいい?気持ちいい?」

 局部を握られて上下に動かされている感触が伝わってくる。

「うん、気持ちいい」

「そう言ってくれるとうれしい。終わる時は言ってね」

「うん、・・・もう出る・・・」

「あら?ふふふ、かわいい。好き。

 もう少し時間あるからもう一度しちゃう?」

「ううん、もういいよ」

「そう、残念、もっとしていたかったのに。じゃあ、時間まで話さない?」

「ううん、もういいや。ありがとう」

「そう、じゃあ、また私を指名してね。ケンちゃん」

翔は、急いで支払いをして事務所に戻った。

(つづく)

27.支笏湖と三大秘湖のオコタンペ湖1

札幌の街なかの根雪もなくなりしばらくした4月の終わり、

風はまだ冷たいが暖かい日差しが窓から差し込んできている。

早いもので札幌へ来て、もう一年が経ったことに慎一は気がついた。

子供達も少しの風邪くらいのもので大きな病気もせずにすくすくと育っている。

久々に5月の連休を使って、ドライブをしようと考えた。

札幌の近くで子供達を遊ばせて、大人たちも満足する場所を探した。

ネットで調べていると何気にブログの「三大秘湖」という言葉を見つけた。

 

北海道三大秘湖・・・その神秘な響きに惹かれた。

「オコタンぺ湖」支笏湖近く

「東雲湖」然別湖近く

オンネトー湖」阿寒湖近く 

の三つの湖らしい。

写真では湖面がコバルトブルーやエメラルドグリーンに染まった湖が写っている。

 

今回は、まず千歳市支笏湖へ行き、帰り道に「オコタンぺ湖」へ行く事とした。

車に小さな家庭用テントとお弁当(離乳食も)とミルクやコーヒーなどを積んで出発した。

道央自動車道大谷地ICから千歳ICまで移動し、支笏湖通(16号)に入る。

高速道路から見る北海道の大地は、大きい平野部にポツンと山がそそり立っている。

北海道内を自家用車でドライブするのは今回が初めてだが、

仕事で移動している途中、本州とは異なるその風景を見て

不思議な感覚にとらわれたものだった。

札幌市からほんの1時間程度で支笏湖には到着する。

支笏湖温泉の看板の方へ向かうと真っ青な湖面を背景に小さな街並みが見えてくる。

まだ風も冷たいが白鳥型のペダルボートの多くが湖岸を遊泳している。

4人は青い湖面の左右にたたずむ、

樽前山・風不死山(左側)と恵庭岳(右側)を交互に見た。

どの山も特徴のある形をしており、やはり本州とは異なる大きさと形であった。

色々なお店が出ているが、名産品は支笏湖で養殖しているヒメマスの料理だった。

 

この湖は日本2番目に大きいカルデラ湖で「日本最北の不凍湖」と呼ばれている。

水中遊覧船出航のアナウンスがあり、湖上への遊覧が開始された。

この船は水面下2mの水中窓から透明度の高いコバルトブルーの世界が広がっている。

おだやかな砂地の波紋の上を泳ぐ多くの淡水魚の群れや

「柱状節理(ちゅうじょうせつり)」と呼ばれる

湖底から切り立った岩が崖のようになっている風景が広がっている。

アナウンスではカルデラ湖が出来上がる時、

マグマが急激に冷やされ収縮した際にできた地形で、

支笏湖における自然の造形美の一つらしい。

 

ミルクで子供達の喉の渇きを抑えての休憩後、

支笏湖東北岸に沿って北上し、恵庭岳を周回し突き当りを左折し支笏湖へ向かい、

キャンプ場のある「丸駒温泉」を目指した。

そこなら子供達を芝生に座らせて遊ばせながら、

安心して夫婦でコーヒーを飲めるからだった。

そこへ向かう道路の両側は、3から5メートルくらいの雪壁がずっと並んでいる。

札幌市内では4月になると雪壁は全くなくなっているが、

山中ではまだこのような状態であることを始めて知り、

安全を見て冬タイヤのままにしていて良かったと安堵した慎一であった。

地図上で見ると三大秘湖のひとつ『オコタンペ湖』はこの雪壁の向こうだった。

(つづく)

67.痴漢冤罪ビジネスの闇を照らせ2

翔は早速、夕方を待って変装し監視メガネをかけて目的の店へ入った。

明るい店内で可愛い女子高校生の制服を着た写真が壁一面に貼られている。

世の中平和なのか、

まだ早い時間だというのに若い男から中高年くらいまでたくさん並んでいる。

待合の椅子の前の画面に料金や好みの女の子の出演する時間が掲載されている。

薄化粧のクライアントの娘の時間を調べると夕方から4回となっている。

その他、別料金さえ払えば会えるシステムだった。

 

この店の売りは

バーチャルリアリティで本物の女子高生を相手にできる』と謳っている。

キスもその他色々なこと(???)もできるらしい。

コース説明としては

①爆射コース:30分 2万円(延長は20分毎に半額分追加)

       本物の感触であなたを天国に!

       はにかむ女子高生をあなたは調教できるか?!

②お口コース:30分 1万円(延長は15分毎に半額分追加)

       本物の舌の感触であなたをノックアウト!

       まだ慣れていない女の子があなたをパクッ!

③ご奉仕コース:20分 8千円(延長は10分毎に半額分追加)

        何も知らない女子高生がおそるおそるあなたにご奉仕!

        あなたの注文通りに動きます!

 

翔は、とりあえず③ご奉仕コースを頼み、専用小部屋へ案内された。

部屋の中は大きな画面とソファとティッシュボックスが置かれ、

多くのコードに繋がれた小さな箱、ピンマイク、ヘッドフォンがあった。

部屋のスピーカーから声が流れてくる。

「いつもご来店頂きありがとうございます。

 本物の女子高生が慣れない指を使いあなたを天国に誘います。

 なお、女の子は恥ずかしがりなのであなたの顔が見えないようにしています。

 街で出会ってもあなたとはわかりませんので安心してください。

 先ずは、ヘッドフォンを付けてピンマイクを襟へお付け下さい。

 これからシステムを説明させていただきます。

 画面の女の子と話をしながら進んでいきます。

 女の子へ話しかけながら要望を伝えてください。

 そして女の子に奉仕して欲しい時には

 あなたのアソコを手元にあるコードのついた箱へ入れてベルトで固定してください。

 刺激が送られてくるので、女の子にどのようにして欲しいか話してください。

 あなたの希望通りに刺激が送られてきます。さあVRの世界へようこそ!」

(つづく)

26.静香始動

静香は子育ての傍らテレビや新聞で株式投資について勉強し始めた。

お遊び程度のちょうどいい金額の口座にあったことと

子育ての隙間時間で出来るもので稼げるものはないかと考えていた。

中小株の分類に入る会社で、株主優待の送られてくる会社を探し始めた。

夫の好きなコーヒーや子供用に使えるものを探して少しずつ勉強していった。

図書館に行って、『株式入門』『経済ニュースの読み方』『チャートの読み方』なども借りた。

 

財務諸表などの見方や単語の意味などは夫に具体的に聞いて確認していった。

ちょうど夫から『子育て中でもできる収入確保の手段を考えていた』

と言われて『夫婦は以心伝心ね』と笑い返した静香だった。

株式投資は、知らないなら知らないで何も困らないが

現在の社会構造から考えても絶対に必要なことだった。

株に対しては変な儲け意識を持たないように、

気に入った企業を応援して、結果として自分も楽しければと考えている。

多くのお客さんに支えられて長い間小料理屋を経営してきた静香には、

欲張り意識は希薄でほどほどの利益でバランスを念頭に応援する会社を検討している。

夫も『物は試し、がんばって』と笑っている。

 

静香は毎日の生活で意識しやすい食料品関連会社を中心に選定し購入した。

これらの会社からは、株主配当金と株主特典が送られてくるので楽しみだった。

基本的に売ることは考えていなかったので経営の安心のできる会社を選んだ。

 

また、これからの世の中の変化を見る上で何が大きく変るかを考えている。

夫と一緒になる前から携帯電話などの連絡手段がすごいスピードで変ってきているし、

パソコンも各家庭にまで普及し始めていることから考えて、

今後のインターネット関連銘柄がよさそうだった。

しかし、まだまだ新聞やテレビなどの媒体が社会の主なニュースソースで

本当にこのビジネスモデルが儲かるモデルなのか少し信頼が置けなかったが、

とりあえずマスコミで持て囃されているネット会社を二単元だけ買った。

しばらくすると偶然仕手化して買値の倍々ゲームとなり、

怖いくらいの勢いで上がっていく。

とりあえずラッキーにも倍になった時点で1単元は利確できた。

そしてあと一つをいつに利確しようかと考えているうちに元に戻ってしまった。

 

静香は冷静に株価を見ていたが、狂奔した人々の行動は怖いくらいだった。

素人が高値で掴めば、たちまち損失が発生し、

現物売買でない場合にはすぐさま資金がなくなる可能性も高かった。

これ以降、静香は短期勝負の銘柄は避けて、

中長期で利益を積み上げることのできる銘柄を選ぶようになった。

利益目標は、銀行定期より良ければそれでよしとした。

 

また外国為替も勉強して、非常に利率の高い外国通貨への投資も開始した。

中長期的で20%という信じられない利率の通貨があり、

その国の経済状況などを新聞やネットで調査して、

ある程度安定していたのでそちらも運用に入れて、多面的な運用を開始した。

それ以降は常に海外も含めた関連ニュースに注意するようになった。

年度末の企業も多く、年度決算予想が発表され誌上を賑わせている。

子供達もハイハイするようになり、つかまり立ちもし始めている。

二人は離乳食をたっぷりと食べるようになり、部屋の中や廊下などを動き回る。

静香はその目の回るような毎日に幸せをかみ締めている。

(つづく)

66.痴漢冤罪ビジネスの闇を照らせ1

変な女性が出て行ったあと、しばらくすると蒼い顔をした女性が現れた。

事務所を見まわしてソファに座るがなかなか話そうとしない。

じっと待っていると、やがて意を決したように話し始めた。

【依頼内容】

依頼人氏名:愛野 信子様。

依頼人状況:夫が痴漢の濡れ衣を着せられて会社も辞めさせられそうで困っている。

      夫は家族を愛しており、仕事一筋人間なので間違いだと調査して欲しい。

      このままだと裁判で有罪にされてしまう。示談金は500万円。

      用意できない金額ではないが罪を認めたくない。

種類:痴漢の冤罪の証明

経過:帰宅途中の電車の中、目の前の女子高校生が見上げて小さな声を掛けてきた。

   よく聞こうと耳に手を当てて顔を寄せたら、その手を濡れた手でつかんできた。

   驚いて振りほどいたら痴漢にされた。周りの女子高校生の友人も証言している。

   警察の鑑定結果で主人の手に付いていた体液が証拠とされている。

   高校生が主人の手に擦り付けてきたと主張しても信用してもらえない。

 

クライアントが帰って、Ryokoに痴漢の冤罪関連の事件を検索させた。

すると驚いたことに非常に多くの電車での痴漢事件が出てくる。

冤罪被害者と思える投稿もネット上でそこここに見える。

被害者とされた女子高校生の氏名(佐渡千佳 さわたりちか)と学校名はクライアントから聞いているので検索する。

彼女は都内の名門私立女子高校に通っており、顔はLINE上から確認した。

 

学校の評判としては、お嬢様学校で良妻賢母を旨とした教育方針で有名だった。

しかし、ネット上では真贋が混ざった多くの情報で花盛りだった。

その中にJKビジネス関連の噂話も出ている。

新宿にもJKを売りとした店も多く、老若問わず男の需要が多いようだった。

RyokoにJKビジネス店での働く女の子の情報を検索したが、

該当する顔と名前はヒットしなかった。

ラインの写真から場所は割り出せたが、自宅や学校の近辺では

不審な点があれば警察にすぐに通報されやすいため相当に注意が必要だった。

十分な張り込みも出来ないので困っていた。

 

そんな中、事務所へ新しいクライアントが訪れた。

【依頼内容】

依頼人氏名:冴島 留美子様。

依頼人状況:母親(シングルマザー?)

種類:娘の素行調査

経過:ここ2ヶ月ほど娘の行動に不審な面がある。

   最近の傾向として高校2年生の娘(由紀菜)の持ち物が派手になっており、

   帰る時間も遅く、本人に聞いても何も答えない毎日だった。

   事件ではないので警察に相談できない。

   新宿あたりでよく遊んでいるので是非ともお願いしたい。

 

手元の写真を見ると、母親と並んだ明るく笑う女子高生が写っている。

早速、Ryokoに名前と顔を検索させると、ネット上で多くの写真がヒットした。

どうやら新宿のJKビジネスの店『VRホンジョ』でアルバイトしているようだ。

店の紹介では『ホンジョ』は、ほんものの女子高校生の略、

『VR』はバーチャルリアリティ(仮想現実)の略らしい。

クライアントの娘の学校も、偶然とはいえ痴漢の被害者とされた高校生と学校が同じであり、並行して調査することとなった。

(つづく)

25.桃の節句(初節句)

そろそろ夏姫の初節句(桃の日)が近づいてきている。

静香の実家から『雛人形』(七段飾り)が贈られてきた。

雛人形を飾るのに最適と言われる2月20日頃(雨水の日)に飾った。

子供達が珍しがって、せっかくの雛人形が大変なことになっても困るので、

雛祭り前日に七段飾りをしようと考えて、

先ずはお内裏様とお雛様だけを床の間に飾った。

3月3日はちょうど土曜日だったので、美波にも声を掛けている。

当日は、お節句会でお祝いするつもりだった。

 

桃の節句の由来は、平安時代から始まり、季節の節目に入りやすいと考えられていた災いをもたらす邪気を厄払いする行事から始まったとされている。

始まった当初は、3月3日だったわけではなく3月上旬の巳の日に行われた。野山で薬草を摘んで、体の穢れを祓って健康を祈願し厄除けをしたらしい。やがて紙人形で遊ぶ「ひいな遊び」と一緒となり、自分の身代わりで厄災を引き受けさせて人形を川へ流す「流し雛」になった。室町時代に入ると3月3日に行うことが定着し、その頃は紙人形ではなく、宮中では豪華な雛人形を飾って盛大にお祝いするようになりました。これらが宮中から武家、商家、家庭へ浸透して現在にいたるらしい。

 

節句会の日は前夜から美波が人形の飾り付けに張り切っている。

静香は、土曜の買い物リストを必死で考えている。

お祝いのメニューは、定番の

『デンブで可愛く色づけしたちらし寿司』

『はまぐりのお吸い物』

『縁起物の海老や鯛の塩焼き』を用意した。

子供達は離乳食が主なのであまり食べられないが大人達は喜んだ。

慎一はビデオ係で遊んでいる子供達

楽しそうに雛壇を飾り付ける美波

張り切って料理を盛り付ける静香を撮影した。

後日、日下の実家と後藤家へ送るためのものだった。

皆の輝く笑顔で晴れの日が始まった。

夏姫は祝われているのが自分と意識しているのか

皆で歌うひな祭りの歌に片言の相槌をうっている。

大樹は、目の前に広げられている色取り取りの料理に釘付けだった。

(つづく)

65.怪しいクライアント

ここで時間軸は現在に戻る。

『お化けアパートの怪事件』を解決した翌日は、銀行強盗一味逮捕のニュースが

テレビや新聞を飾った。しかしニュースには翔の情報は一切入っていない。

ただ川口組の残党は、警察以外の何者かが

敵として絡んでいることを知ったはずで注意が必要だった。

 

そんな時、翔の店『オールジョブ』へ若い女性が訪れた。

毛皮のコートに派手な化粧で大きなサングラスをかけて

大きな口でタバコをプカプカ吹かしながら、コーヒーを飲んでいる。

事務所の中を無遠慮にジロジロと見回している。

翔も百合もアスカも中年の変装をしているので正体がばれる心配はない。

 

「本日はどのようなことでしょうか」

「うーん、あのさ、ここの人はあんただけなの?」

「はい、とりあえずは私一人ですが」

「うーん、馬鹿だから難しいことわかんないんだけど、

 今、ニュースになってる事件なんだけど知ってる?」

「は?はい、ニュースは見ていますが」

「そんなことでなくて、えーい、もうこの写真見てくれる?」

写真にはあの事件の時に変装した翔が写っている。

 

百合が近くで話を聞きながらアスカに目配せをする。

アスカがパソコンでクモ助を出動させて、

このクライアントの毛皮に潜らせてGPS付き聞き耳タマゴを埋め込んだ。

「この人を探してくれない?」

「この人と言われても、お名前とかわからないと探しようがないのですが」

「よくわかんないんだけど、とにかく探してよ。何でも屋でしょ?」

「いえ、そんな雲を掴むようなご依頼は責任がもてませんので、

 申し訳ありませんが、お断りさせていただきます」

「えー、困るよ、私が叱られちゃう、どこも断られてるんだ」

「いやあ、本当に申し訳ありません。写真だけでは無理です」

「もう、まいったなあ、あんたの知り合いで人探しの上手い人紹介してよ」

「申し訳ありません、他へご依頼ください」

女はイライラした仕草で吸い口に口紅のついたタバコを灰皿でギュッともみ消した。

そして折れ曲がった吸殻をコーヒーカップへ放り込んで事務所を出て行った。

(つづく)

24.流氷観光3

ガリンコステーションに下船し、オホーツクタワーまで電気自動車に乗って移動する。

オホーツクタワーは波止の突端に建設されており、

エレベーターで最下層まで下りていくとヒヤリとした『海洋生物の部屋』になっている。

そこには有名なクリオネの大きな水槽があり多くのクリオネが泳いでいる。

過去の写真などでクリオネの可愛い姿ばかりを見ていた二人は、

その食事風景を見て凍りついた。

 

説明版には

クリオネは、海中に漂うミジンウキマイマイがエサでその貝を見つけると、その頭部から「バッカルコーン」と呼ばれる6本の触手を出して捕らえ、顔のような部分へ取り込んで養分を吸収します。

 

良く見ると普段はオレンジ色の可愛い顔部分が貝を飲みこんで

黒々と大きく膨らみ、全体的に獰猛なムードが漂っている。

その落差は結構なショックで二人とも顔を怖そうに見合わせた。

その他、ハコフグの稚魚の水槽もあり、

1センチほどの大きさに四角く黄色いフグが群れて遊泳している。

芳賀さんが先に歩いて行って美波を呼んでいる。

「あーん、この子すっごく可愛い、早く早く」

その子は『フサギンポ』と説明版に記載されており

 

北海道の海岸では通常に生息している魚である。

『大きな口』『プックラとしたタラコクチビル』『クルクルの丸い目』

『頭の上にイソギンチャクのようなフサ』『岩場に似たブチ模様』

二人からエサを待っているかのように

愛嬌のある顔つきで美波と芳賀さん二人へ歩カーンと口を開けて見上げている。

クリオネの衝撃を軽く吸収できるくらいの可愛さだった。

 

その後、夕方のバスの時間まで『北海道オホーツク流氷科学センター』に入った。

流氷のできる過程の展示や氷点下20度の部屋で氷漬けの魚の鑑賞や

濡らしたタオルを振り回して瞬間的に凍らせて棒状にして肩を叩いて笑った。

札幌まで雪の中をバスで移動して夜には実家に泊まった。

両親は『子供達が大きくなったら是非見に行こう』といい始めている。

父のドライブ魂に火が点きそうだが、しばらくは我慢と笑っている。

(つづく)