はっちゃんZのブログ

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『武闘派!』なのに、実は超能力探偵の物語

あらすじ

桐生 翔(きりゅう しょう)は新宿の片隅で私立探偵業を営む。ある日突然超能力(テレポーテーション)を授かるが、本人も半信半疑の上発現頻度も曖昧で使い方もよくわかっていないまま物語は進んでいく。正義感にあふれる若い探偵が、小さな探偵社に訪れるクライアントからさまざまな依頼をこなしながら多くの人とふれあい、高い格闘技術で事件を解決していき、笑える場面が多い恋愛小説。 

~もくじ~

1.絶体絶命のはずなのに?       2.翔、帰還?! 

3.京(凶)一郎、見参!        4.『葉山館林研究所』到着 

5.いつ出るの?超能力!                       6.葉山館林邸1

7.葉山館林邸2                           8.テロ教団から都民を救え!1

9.テロ教団から都民を救え!2     10.テロ教団から都民を救え!3

11.「目黒館林研究所」完成        12.臓器売買組織を壊滅せよ

13.ストーカー事件を解決せよ!1  14.ストーカー事件を解決せよ!2

15.ストーカー事件を解決せよ!3  16.ストーカー事件を解決せよ!4

17.百合との出会い1                     18.百合との出会い2

19.百合との出会い3           20.百合との出会い4

21.幼い兄妹を救え1                           22.幼い兄妹を救え2

23.幼い兄妹を救え3           24.幼い兄妹を救え4

25.幼い兄妹を救え5        25.翔とミーアと百合1

27.翔とミーアと百合2                       28.局アナ盗撮事件を解明せよ1

29.局アナ盗撮事件を解明せよ2   30.局アナ盗撮事件を解明せよ3

31.局アナ盗撮事件を解明せよ4   32.局アナ盗撮事件を解明せよ5

33.未知の物質は?         34.桐生事務所ビル改築

35.オレオレ詐欺団を壊滅せよ1      36.オレオレ詐欺団を壊滅せよ2

37.オレオレ詐欺団を壊滅せよ3      38.オレオレ詐欺団を壊滅せよ4

39.オレオレ詐欺団を壊滅せよ5   40.お化けアパートの怪1

41.お化けアパートの怪2              42.お化けアパートの怪3

43.お化けアパートの怪4              44.お化けアパートの怪5 

45.お化けアパートの怪6      46.初めてのくちづけ

47.百合、実家で相談する      48.翔、久々に実家へ帰る1

49.翔、久々に実家へ帰る2     50.百合、初めて桐生家へ

51.翔、初めて葉山館林家へ1    52.翔、初めて葉山館林家へ2

53.翔、初めて葉山館林家へ3    54.翔、初めて葉山館林家へ4

55.新宿探偵事務所スタート1    56.新宿探偵事務所スタート2

57.新宿探偵事務所スタート3    58.新宿探偵事務所スタート4

59.逆恨み1            60.逆恨み2

61.逆恨み3               62.消された記憶1

63.消された記憶2            64.消された記憶3

65.怪しいクライアント       66.痴漢冤罪ビジネスの闇を照らせ1

67.痴漢冤罪ビジネスの闇を照らせ2  68.痴漢冤罪ビジネスの闇を照らせ3

69.痴漢冤罪ビジネスの闇を照らせ4  70.痴漢冤罪ビジネスの闇を照らせ5

71.痴漢冤罪ビジネスの闇を照らせ6  72.痴漢冤罪ビジネスの闇を照らせ7

73.痴漢冤罪ビジネスの闇を照らせ8  74.痴漢冤罪ビジネスの闇を照らせ9

75.遺族の恨みは晴れるのか1      76.遺族の恨みは晴れるのか2

77.遺族の恨みは晴れるのか3              78.遺族の恨みは晴れるのか4

79.遺族の恨みは晴れるのか5              80.遺族の恨みは晴れるのか6

81.遺族の恨みは晴れるのか7              82.遺族の恨みは晴れるのか8

83.遺族の恨みは晴れるのか9              84.遺族の恨みは晴れるのか10

85.遺族の恨みは晴れるのか11            86.遺族の恨みは晴れるのか12

87.遺族の恨みは晴れるのか13            88.遺族の恨みは晴れるのか14

89.遺族の恨みは晴れるのか15            90.遺族の恨みは晴れるのか16

91.遺族の恨みは晴れるのか17            92.遺族の恨みは晴れるのか18

93.遺族の恨みは晴れるのか19           

 

さざなみにゆられて-北海道編-

小説期間:2000年平成12年4月1日~

あらすじ:

美波は写真集で見た富良野などの北海道の雄大な風景に憧れ、

自分のことを全く知らない人の街で暮らしてみたいと北海道の大学を受験。

小樽商科大学に無事合格し義父の影響で銀行員を目差す。

両親は米子にいたが、2000年に義父の勤務する銀行の合併に伴い、

偶然札幌市へ異動となった。

北の都『札幌』を中心として、北海道内の自然や観光名所を含めて

慎一、静香、美波、雄樹、夏姫の生活が始まる。

悲しい事件は起りません。おだやかに時間が過ぎていくだけです。

 

登場人物

日下慎一 現在41歳、1999年静香と再婚。山陰支店では預金課で勤務している。

     2000年4月より関西中央銀行と札幌振興銀行が合併し「六花銀行」となる。

     2000年に北海道札幌市へ再度融資課員(支店長代理)として異動。

日下静香 現在39歳、17年前に夫と死別し娘(美波)を一人で育てた。

                  1999年5月に日下慎一と再婚。現在妊娠中。

日下美波 現在19歳、鳥取県米子東高から北海道小樽商科大学へ入学し青春を満喫中。

日下雄樹 2000年夏に生まれる男の子。

日下夏姫 2000年夏に生まれる女の子。

 

もくじ

1.札幌へ              2.初めての胎動

3.美波の戸惑い           4.慎一の自覚と不安

5.初出勤              6.二人でコーヒー

7.美波の誕生日           8.YOSAKOIソーラン祭り

9.美波、学生生活スタート        10.独立への一歩

11.母の再婚と強がり娘        12.サークル

13.ゲレンデ             14.雪のイベント

15.誕生               16.子供たちのお披露目

17.お宮参りと育児への参加              18.銀杏の下で

19.シシャモ祭りとラムジンギスカン     20.お食い初め

21.美波の憂鬱                                         22.流氷観光1

23.流氷観光2            24.流氷観光3

25.桃の節句                                            26.静香始動            

27.支笏湖とオコタンペ湖1                   28.支笏湖とオコタンペ湖2     

29.端午の節句                                         30.美瑛と富良野1         

31.美瑛と富良野2                                  32.すながわスウィーツロード1   

33.すながわスウィーツロード2             34.美波、YOSAKOIへ出場1

35.美波、YOSAKOIへ出場2    36.

 

さざなみにゆられて-山陰編ー

*登場人物*

後藤静香 小料理屋「さざなみ」の店主。

                  地の食材を美味しく食べさせてくれる店。

     店ではいつも弓浜絣を着ておりおだやかな笑顔の女性。

                  娘と二人暮らし。

後藤美波 静香の娘。高校一年生。明るく人懐こいところがある。

日下慎一 春に米子へ新規開拓を目的に赴任してきた独身の銀行マン。 

*あらすじ*

山陰地方の町、米子市で小料理屋「さざなみ」を営む静香・美波親子と

関西生まれの銀行勤務の慎一とのふれあいを描く。(三人視線)

山陰地方の四季の中で三人三様の心の傷が癒される時間を描く。

~もくじ~

1.赴任                2.「さざなみ」初来店

3.秀峰大山へ             4.静香のまなざし、美波のまなざし

5.面影                6.追憶1

7.追憶2               8.美波の秘密

9.がいな祭りと境港         10.がいな大花火大会

11.美波、秋の県大会新人選へ出場  12.帰途の二人

13.とまどい            14.師走、三人で

15.帰省、遠い記憶         16.初詣

17.移り変わる記憶         18.桜街道

19.二人で出雲へ          20.母の再婚

21.彼との距離           22.浴衣1

22.浴衣2             24.突然の辞令

25.それぞれの思い         26.いつもの音

27.美波のがまん          28.慎一の約束、静香の願い

29.異動の朝            30.湯呑

31.壊れた携帯           32.霧と痛みの世界

33.間違い電話           34.幸恵の疑問

35.静香親子、神戸へ        36.春の息吹

37.再赴任             38.再び『さざなみ』へ

39.美波の受験           40.美波の言葉

41.旅立ちの日           42.広すぎる家

43.最初の夜            44.相性

45.新婚旅行、娘と1        46.新婚旅行、娘と2   

47.業界再編への動き、そして

33.すながわスウィーツロード2

夕食後、コーヒー又は紅茶と共に「イタリアンミラノシュー」を賞味した。

その俵型のシューの表面には真っ白のパウダーシュガーがかかっている。

油で揚げられた少しもっちりした薄い生地には、

カスタードクリームがたっぷりと詰められている。

そのドーナツのような感覚のシューに新鮮味を覚えた。

口の周りが真っ白になるくらいたっぷりのパウダーシュガーと

濃厚なカスタードクリームの甘すぎるコラボを薄い生地がうまくまとめている。

静香と美波は2個目に取り掛かっているが、慎一には1個で十分だった。

 

バウムクーヘン妖精の森』は翌日のおやつに切り分けた。

このバウムクーヘンは、フィギアスケートの高橋選手の結婚式の引き出物に使われたくらい知る人ぞ知るものだったが、北海道出身芸能人の番組での宣伝やお取り寄せ物番組などでも取り上げられて全国的に有名なものとなった。

早速に切り分けると子供達が目を輝かせて我先に掴んで食べ始めた。

表面の焼き目の入った部分にはたっぷりの蜂蜜が練りこまれており、

掴んだ部分からジワリと蜂蜜が滲み出てきている。

生地そのものは甘さが抑えられているが、

しっかりとした歯ごたえ、しっとりとした食感、

焼き目と一緒に食べた時の美味しさは、

今まで食べたバウムクーヘンとは次元の異なるものだった。

バウムクーヘンは非常にシンプルなものゆえに騙しのきかないものである。

厳選されたすべての食材を最高の配合で生地を作り、

ただひたすら職人が心を込めて焼き上げているものと感じた。

(つづく)

77.遺族の恨みは晴れるのか3

現在ネット上でまことしやかに囁かれているのは

「二人殺せば死刑になる。被害者の命は犯人の命の半分しかない」

「何人殺しても心神喪失者になれば死刑にならない」

「死刑を嫌う裁判官や弁護士の家族を殺しても死刑にならない」

「誰か殺してみたいなら死刑を嫌う裁判官や弁護士の家族だ」

という非常に非理性的な危険な論法もあった。

 

死刑の判断としては「永山基準」が有名だ。 

日本大百科全書』では以下と記載されている。

刑罰として死刑を適用する際の判断基準。いわゆる「永山事件」上告審判決において示された死刑選択の基準である。「永山事件」とは、1968年(昭和43)の犯行時19歳の少年であった被告人の永山則夫(のりお)が、米軍基地内で拳銃を窃取し、この拳銃を使用して、東京・京都・函館・名古屋で殺人、強盗殺人および同未遂を犯したという事案であった。第1審判決(東京地方裁判所判決、昭和54年7月10日)では死刑が、控訴審判決(東京高等裁判所判決、昭和56年8月21日)では無期懲役が言い渡された。そこで、この上告審判決(最高裁判所第二小法廷判決、昭和58年7月8日)において、最高裁判所が「永山基準」とよばれることになる死刑選択の基準を示すことになった。

 本判決では、「その罪責が誠に重大であって、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極刑がやむを得ないと認められる場合には、死刑の選択も許されるものといわなければならない」としており、(1)犯行の罪質、(2)動機、(3)態様、とくに殺害の手段方法の執拗(しつよう)性・残虐性、(4)結果の重大性、とくに殺害された被害者の数、(5)遺族の被害感情、(6)社会的影響、(7)犯人の年齢、(8)前科、(9)犯行後の情状等を総合的に考慮して判断すべきだとした。本判決において、最高裁判所は、こうした基準を適用したうえで、控訴審判決を破棄し、事件を東京高等裁判所に差し戻した(差戻控訴審判決(東京高等裁判所判決、昭和62年3月18日)では第1審判決が維持されることになり、差戻上告審判決(最高裁判所第三小法廷判決、平成2年4月17日)で死刑が確定した)。その後の死刑判決では、本判決が死刑選択の基準を示したものとしてたびたび引用されることになる。

なお、本判決では、上記9項目の判断要素を基本にして、被告人に不利な事情と有利な事情とを書き分け、両者について等価的に列挙して検討を加えている。そして、総合的に評価した結果として、被告人を死刑に処するのは重きに失するとした控訴審の判断に十分な理由があるとは認められないものと結論づけている。こうした判断枠組みでは、被告人に有利な事情にも十分重きが置かれており、死刑という科刑は限定的に許容されることにもなるとされる。ただし、永山基準の問題点として、裁判員制度の下で裁判員が合理的に判断できる明確な基準として機能し得ているのか、単に考慮すべき量刑事情の例示列挙にすぎないのではないのか、といった点があげられている。

 

また厚生労働省のホームページでは

心神喪失者等医療観察法』に関して以下記載があった。

医療観察法制度の概要について

心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(医療観察法)は、心神喪失又は心神耗弱の状態(精神障害のために善悪の区別がつかないなど、刑事責任を問えない状態)で、重大な他害行為(殺人、放火、強盗、強姦、強制わいせつ、傷害)を行った人に対して、適切な医療を提供し、社会復帰を促進することを目的とした制度です。

本制度では、心神喪失又は心神耗弱の状態で重大な他害行為を行い、不起訴処分となるか無罪等が確定した人に対して、検察官は、医療観察法による医療及び観察を受けさせるべきかどうかを地方裁判所に申立てを行います。

検察官からの申立てがなされると、鑑定を行う医療機関での入院等が行われるとともに、裁判官と精神保健審判員(必要な学識経験を有する医師)の各1名からなる合議体による審判で、本制度による処遇の要否と内容の決定が行われます。

審判の結果、医療観察法の入院による医療の決定を受けた人に対しては、厚生労働大臣が指定した医療機関(指定入院医療機関)において、手厚い専門的な医療の提供が行われるとともに、この入院期間中から、法務省所管の保護観察所に配置されている社会復帰調整官により、退院後の生活環境の調整が実施されます。また、医療観察法の通院による医療の決定(入院によらない医療を受けさせる旨の決定)を受けた人及び退院を許可された人については、保護観察所の社会復帰調整官が中心となって作成する処遇実施計画に基づいて、原則として3年間、地域において、厚生労働大臣が指定した医療機関(指定通院医療機関)による医療を受けることとなります。

なお、この通院期間中においては、保護観察所が中心となって、地域処遇に携わる関係機関と連携しながら、本制度による処遇の実施が進められます。

(つづく)

32.すながわスウィーツロード1

全国的には梅雨と言われているが、この季節の北海道はさらりとした毎日が続く。

たまに雨が降ってもそれほど湿気は強くなく、

降り注ぐ日差しもそれほど強くなく、吹きわたる風が頬にやさしい。

同僚から「砂川スウィーツロード」の噂を聞き、

静香へ話すと早速美波へ連絡がいく。

 

土曜日の午前中遅めにマンションを出発する。

北海道道230号線を東へ走り創成川に突き当たると左折し、道央自動車道に突き当たり、その場所にある札幌北ICから旭川市方向へ向かう。岩見沢市・三笠市美唄市を越えると砂川市に至る。奈井江砂川ICを下り砂川市へと進む。

砂川市を通る国道12号の両側に19軒のケーキ類、和菓子類、パン類、冷菓類などを作っている菓子店が店舗を出しており、お菓子屋さんが広がるこの街は「すながわスウィーツロードと呼ばれているらしい。なかには、創業100年を超える老舗や全国的な知名度を持つお店などさまざまなお菓子屋さんやカフェがあるとネットでは検索できる。

とりあえずは全部回ってみようと言う事となり、国道12号沿いを南側から攻めることとした。

そこから「おはぎ(吉川食品)」、「アップルパイ(ナカヤ)」、「マカロン(プチ・トリフ山屋)」を少しずつ賞味していった。しかし、他に「クリームパフェ(あまとう みに)」や「レアチーズケーキ(カフェくるみる)」、「林檎ロマン(ほんだ)」、「ジェラート(岩瀬牧場)」、多くのカフェなどまだまだ多くの店があり一日では食べながら回りきれなかったのでこれから何度も来ることとした。

最後に一番大きな店舗の「北菓楼」へ昼食がてら車を止めた。

この店は50台の駐車スペースと可愛い庭園、店内は販売エリアと喫茶エリアに分かれており多くの地元客や観光客で賑わっている。

お土産は、自宅用に日持ちのする「開拓オカキ」「イタリアンミラノシュー」「バウムクーヘン妖精の森(厚さ4センチ)」、職場用に「バウムクーヘン妖精の森(厚さ6センチ)」とした。美波の友達へのお土産用に「天使の鈴」を追加した。

喫茶エリアで皮製のソファにくつろぎ「特製オムライス」「野付のすごい帆立のスパゲティ」「畑のスパゲティ」を注文した。

『オムライス』

大きく広げられた卵の上にケチャップがかかる懐かしい見た目。スプーンで一口分を取ると卵の下からじっくり炒められた道産牛やきのこの姿が見える。噛めば噛むほど北海道の食材の味が湧き上がる。日本人が好む醤油風味のガッツリ系のオムライスだった。

『野付のすごい帆立のスパゲティ』

北海道でも有名な道東の野付産の大きな帆立が贅沢に盛り付けられ、オホーツクの栄養分をたっぷりと含んだ帆立の濃厚な旨味が凝縮したクリームソースがスパゲティにからまった絶品の一品だった。

『畑のスパゲティ』

トマトソースのあっさりとしたスパゲッティで多くの北海道産の野菜をじっくりと時間をかけて煮込まれている。

全員でシェアをして平らげてから、ケーキセットをコーヒーと共に頼んだ。

3種類のケーキを選び、待っていると1プレートにケーキ1個、シフォンケーキ、ソフトクリームが飾られている。それはあまりにボリュームたっぷりで、体重が1キロは増えるとこの時全員が実感した瞬間だった。子供達はそんな心配もせず美味しそうに食べて機嫌が良かった。その後、全員満腹なお腹をさすりながら道央自動車道を走り札幌へ帰った。

(つづく)

76.遺族の恨みは晴れるのか2

Ryokoにネット上で殺害事件の裁判への批判情報の収集を指示した。

夥しい数がヒットしたが、その中で何件かが気になった。

「INOCHI その重さ、理解できますか」

「平成仕事人」

「あなた、今の刑法で満足していますか?」など

数多くの闇サイトがネット空間に存在していた。

それらは海外サイト(主に中国・韓国のサイト)とも共有しており

それらの追跡には非常に時間がかかることがわかった。

 

昨今、死刑の賛否については多くの機会で論議されている。

死刑制度の廃止を訴える人間と必要性を訴える人間が討論しているテレビ番組もある。

実際の世界の傾向として、死刑制度は取りやめている国もあれば、復活させた国もあり、

国際情勢も混沌としている。少年でさえも死刑を執行される国家もある。

 

死刑の賛否に関しては、

仏教系のある宗教家の随筆から死刑の賛否理由を引用すると以下にまとめられる。

死刑賛成の理由として以下、

・悪いことをした報いを受けるべき

被害者感情、報復感情

・犯罪の抑止効果

・再犯防止

・世論が死刑制度を支持している

死刑反対の理由として以下、

・死刑は残酷な刑罰である

・国家でも命を奪うべきでない

・冤罪、誤判の可能性

・判決が不公平に適用される

・更生の可能性

・犯罪の抑止効果がない

・生きて償うべきである

・死刑執行に関わる刑務官の苦しみ

 

確かに死刑制度反対派の言うことにも納得するものがある。

死刑制度が文明的ではないという批判が多い言葉は別にして

例え犯人を殺しても被害者が生き返る訳ではないので

犯人を殺すよりも寿命を迎え死ぬまでの期間に改心させた方がいい。

死刑になっても被害者遺族の心が晴れることはない。

死刑制度によって犯罪率を減らすデータはない。

そして、それ以上の問題として冤罪の可能性への危惧もあるとの論法である。

 

しかし、死刑制度賛成派の言葉にも納得するものがある。

多くの国民(約半分以上)が制度を支持している点。

出所後、再犯によりまたまた新しい命が失われることもある点。

その中で一番ウェイトが大きいのは被害者の感情と思われた。

突然、途切れた被害者の人生や被害者遺族の心や生活はどうなるのか?

他人の突然の凶行により理不尽に人生が奪われた被害者の無念や悲しみ、

大切な家族が、友人が、無残に殺害され、被害者が生きていたら訪れたであろう

様々な幸せの光景を奪われた遺族の悲しみや喪失感を理解できるであろうか。

反対派は、犯人が死んでももう殺された人間は戻ってこないというが、

もう戻ってこないのだから、死にたくないのに殺されて悔しかったであろう

死んだ人間の気持ちは無視して良いのか。

そして長い期間で本当に犯人が改心するのであろうか。

改心したからといって殺された被害者やその遺族の心は救われるのだろうか。

 

昔は個人による復讐が許されていた時代もあった。

しかし、現在は国家が法により殺人犯を罰し、時には死刑を実行する。

個人による復讐の機会を奪われた被害者やその遺族の気持ちは理解できるであろうか。

死刑がなくなり時間が経てば、犯人が何気ない顔して社会に戻ってくるかもしれない不合理は理解できるであろうか。

死刑制度は「法律で個人の復讐を禁止した上での法による復讐の成就」の側面もある。

(つづく)

31.美瑛と富良野2

ポプラファームでの舌の幸せを反芻しながら次の目的地へ向かう。

『ファーム富田』

ここは早春から晩春まで季節の多くの花が咲き誇る有名な園である。

広い園内に「花人の畑」「倖の畑」「彩りの畑」「トラディショナルラベンダー畑」「春の彩りの畑」「秋の彩りの畑」「森の彩りの畑」「花人ガーデン」「グリーンハウス」「マザーズガーデン」と数多くの花畑が作られており、訪れる旅人の心を楽しませている。

車窓から見えるファームは様々な色に飾られた美しい丘であった。

とりあえずお昼過ぎのため、用意したおにぎりを駐車場で食べた。

関西出身の夫婦は、おにぎりの海苔は味付けされたものを好んでおり、

特に徳島県で発売されている大野のりが好きだった。

この海苔は徳島の知り合いから定期的に送って貰っている。

最初から巻かず食べる時にパリパリの海苔を巻いてかじる。

心地良い海苔をかじる音と口中で細かくほどける海苔の味と香りと甘辛さが米本来の甘さを引き出している。

 

園内では早春の花、アイスランドポピー、エゾヤマザクラハマナスビオラミヤコワスレが咲き誇っているが、初めて見たエゾヤマザクラの濃い赤紫色の花に目を奪われた。

母と娘は父に双子の世話を頼み、早速売店に入り、ラベンダーアイスを賞味している。

こういう微笑ましい光景を見ていると「双子母娘(ふたごおやこ)」という言葉が浮かんでくる。

 

3時が近づいて来たため、

今日最後の目的地の新富良野プリンスホテルに隣接した「ニングルテラス」というお土産屋エリアへ移動する。

この一角にはテレビドラマ「静かな時間」の舞台となった喫茶店『森の時計』がある。

扉を開けると「カランカラン」とカウベルが鳴った。

偶然、カウンターが開き座ることができた。

ドラマのようにお客自らコーヒー豆を手挽き出来るようで、

目の前に小さなミルとスコップに入った豆を差し出された。

客がザラッとミルに豆を入れて、ぐっと自分用ミルのハンドルを回す。

家で家族用スペシャルコーヒーを入れるときと同じようにガリガリガリと挽く。

それをネルドリップしてゆく。家ではドリップ方式なので入れ方が異なる。

 

さてコーヒーはと一口飲んだ。

さらりとした軽い味わいで、馥郁たる香りが広がりたちまちファンとなった。

しかし、普通はカウンターに座れないほどの混みようだとの事で何度も来ることは諦めた。

店の外に並ぶ客に急かされるように優しい味のコーヒーを味わい、

本日のドライブを締めくくった。

富良野には他にテレビドラマ「北の国から」関係の資料館や名所が点在している。そこへは次回の機会ということで帰ることとした。子供たち3人は疲れたのか深い眠りについている。

富良野駅まで戻り、空知川に沿って国道38号線を進み、芦別市を通過し滝川市まで移動し道央自動車道滝川ICへ入り札幌市へ向かった。

(つづく)

75.遺族の恨みは晴れるのか1

いつもながら目を覆うような事件やニュースが毎日のように報道されている。

一人ひとりがいつ我が身になるのかわからない時代だった。

この日本という国では、自殺者は年間3万人と言われており、

それに隠れるように毎年8万人以上の規模で行方不明の人間がいること。

その上毎年多くの人間が事故や犯罪で死亡している。

 

そんな中で最近特に目を引いた事件は、

被害者が裁判官や弁護士の関係者への殺人事件、行方不明事件や自死事件である。

裁判官や弁護士の関係者、特に妻や子供が行方を絶ち、

身代金の要求もなく死体になって発見されるか、今もなお行方不明のままとなっている。

もしかすると自死となっているが本当は異なるケースがあるのかもしれない。

被害者が殺害された時も目撃者は一切居らず、首吊り、身投げ、自動車での轢死などであった。

犯人は捕まっておらず迷宮入りの可能性が高い状況である。                         

たまに犯人が逮捕されているケースもあるが、

「誰でもいいから殺してみたかった。

   私の心の悪魔が囁いてきました」と発言している。

彼らは『心神喪失状態』として裁判を争っており、

最終的には死刑ではなく、

心神喪失者等医療観察法』に従い医療機関に入れられている。

 

そしてもう一つ気になる事実にも気がついた。

毎年発生する多くの行方不明者の中には、

凶悪な犯罪を起こしたが、明らかに本人が起こした犯罪にも関わらず

裁判において証拠不十分だったり、心神喪失状態だったとして

死刑を逃れた犯罪者、無事刑期を終えて出所してきた元犯罪者も含まれていることだった。

 

そんな時、都倉警部が事務所に顔を出して、内密にその事件への調査依頼があった。

『日本の治安維持ために何とかして欲しい』と依頼された。

まず現在被害者になっている裁判官や弁護士の過去の裁判について調査した。

共通点として、

裁判官の傾向として、

どのような残虐非道な殺人者であっても死刑を回避する傾向があった。

昨今、裁判員制度が始まり、裁判員の判断が死刑という結果になっても

その裁判官の判断は死刑とはならなかった。

弁護士においては、

過去から『人権派』と呼ばれ、

どのような猟奇殺人者であっても、『心神喪失状態』を理由に

無罪を主張し死刑にはさせなかった。

逆にそれが彼らのセールスポイントであることは会見内容からでも明らかであった。

(つづく)

30.美瑛と富良野1

北海道はこの時期になると街中が華やかになる。

大通公園はもとよりベランダの花壇も今が盛りと咲き誇る。

昨年は静香が身重だったので控えていたが、旭川富良野へのドライブを計画した。

それを聞きつけて美波がきている。

自宅のマンションから石山通へ出て南下し、南8西11丁目の交差点を左折し、

中島公園の通過し豊平川に架かる南大橋を渡り、川沿いの道を通過し、

次の交差点を左折、道なりに南七条米里通を走る。

やがて札幌JCTが目に入るので、道央自動車道へ進む。

車窓に映る岩見沢美唄の街並みにはまだ桜色が混じっている。

道央道からの景色は北海道らしい広い台地がはるか先の地平線まで続いている。

2時間ほど高速走行していると旭川鷹栖ICが見えてくる。

そこで下りて旭川市内を抜け1時間ほど走ると最初の目的地である美瑛へ到着する。

さっそく最近人気が出ている『青い池』へ向かう。

この場所は同僚から聞いた時からずっと来たかった場所だった。

連休中のため駐車場も満車状態で

海外からの人も観光バスで乗りつけている。

 

ネットには以下のように記載されている。

元々は昭和63年に噴火した十勝岳火山泥流災害を防止する為に、美瑛川に作られた堰堤でした。その防災工事の生産過程による副産物として、複数の人造池の一つにしか過ぎない存在でもありました。

美瑛川に岩肌をつたって流れ落ちていく「白ひげの滝(しろひげのたき)」。白金温泉上流の十勝岳が源流になっていて、山が吸い込んだ水分が時をかけて地下水となって崖の途中からアルミニウムがまざった状態で美瑛川に注ぎ込まれます。

そこで硫黄沢川との合流時に目には見えないコロイド状の粒子が生まれ、太陽の力と光の散乱を補う硫黄や石灰成分などが、川底の石や岩を白くして青い池が美瑛に誕生したようです。少しでも風で水面が揺れるだけで見た目が変わる繊細な池ですので、条件を全てクリアした時の美しさは息を呑むほど。

また美瑛川は別名「ブルーリバー」と呼ばれているようで、滝の下周辺から色を変え始め、青い池のように深く青い川を見ることができます。

 

『青い池』

初めて目にしたその神秘的な青さ、

コバルトブルーより青いその色合いに、一瞬息を飲み、目を奪われた。

その青い水面下には白樺などの枯れた幹が白く光っている。

雲の影が掛かると水面が深い青へと変り、風が吹き細波が立つと白く変る。

子供達のベビーカーを押しながら歩くと、

見る角度によってもその色合いは変化している。

これほど美しい池があまり知られていなかったことが信じられない気持ちだった。

 

車窓を流れる美瑛の自然、

『パッチワークの丘』

マイルドセブンの丘』

『セブンスターの木』

『ケンとメリーの木』など有名な観光場所を満喫した。

それらを後にして南下すると富良野の標識が見えてくる。

富良野フラワーロード」の始まりだった。

そのロード途中に『サンタのヒゲ』の幟が上がっている。

まずは最近有名になってきている富良野スウィーツの

メロン専門店ポプラファームで食べることとした。

『サンタのヒゲ』

ネットでは以下記載がある。

甘く熟した赤肉の富良野メロンの半切りの上に、濃厚で後味がさっぱりとしたミルクソフトクリームが乗っている豪快な一品。「世界にひとつだけ」「ここだけの味」を、富良野に訪れる人に提供したいという思いから生まれた「サンタのヒゲ」。

名付け親は小学生だった娘さんで、彼女が「ひっくり返すとサンタクロースのひげみたい」という言葉をきっかけに 「サンタのヒゲ」と名付けられた。

その上、「サンタのヒゲ」には色々なバリエーションがあって、 「サンタデミックス」は、メロンの上に乗っているソフトクリームが、バニラとメロンのミックスソフトになっている。男性客に人気の、ソフトクリームにあずきがかかっている「サンタのへそ」や、子供に人気のソフトクリームにチョコレートがたっぷりかかっている「ゴジラのヒゲ」がある。

 

5人は定番の『サンタのヒゲ』と『サンタデミックス』を1個ずつ注文した。

北海道の肥沃な大地が育てた深い甘さの富良野メロン、

広大な大地でストレスなく育った牛の牛乳を存分に使った

濃い脂肪分を含む深いながら口当たりがさっぱりしたソフトクリーム、

冷たく滑らかなクリームの中で

軽く噛むだけでほぐれるように溶けてゆく熟したメロンの果肉が舌に優しかった。

これぞメロン、これぞソフトクリームという逸品であった。

家族全員が笑顔になって静かに味わう時間となった。

小さな子供たちは口の周りをクリームで真っ白にしながら頬張っている。

(つづく)

74.痴漢冤罪ビジネスの闇を照らせ9

翔は、同じフロアを各部屋の調査に入った。

フロアの一角に女の子の休憩室と法律系詐欺用員の部屋が用意されている。

壁には、本日の出動場所が掲示されている。

彼らの会話から犯罪の概要が明らかになってきた。

 

この痴漢冤罪事件のあらましは以下である。

女子高校生3名が1組で構成されており、

痴漢され係、証人係、道具係(痴漢され係の体液などの付いたものを用意している)だった。

また、同時に動く人間として弁護士の名刺を持った人間が現場近くに待機している。

事件があった時間に偶然近くにいた風を装って、

痴漢被害者の弁護士として契約し、加害者に示談に持ち込む係である。

弁護士として会社に乗り込むと言えば、大体はその場で示談に応じて終わりとなる。

仮に裁判沙汰になっても100%有罪になるので心配はない。

 

翔は都倉警部へA班出動場所を知らせ、逮捕計画を打ち合わせた。

当日、A班を大きく取り囲むように私服刑事を配置し、彼らを一網打尽にした。

それと同時に、この神田の事務所へ踏み込み証拠物を押収した。

翔が調査した隠し部屋や金庫も全て開けさせて警察は全ての証拠を押さえた。

このグループが過去冤罪にした男性全てを明らかにさせてその事実を世間に公表した。

その結果として、

痴漢の冤罪の証明を依頼されたクライアントの愛野さんは疑いが晴れて大喜びだった。

冤罪作りに協力していた女子高生は、

暴力団員からの恫喝により行われていたことと少年法のため逮捕はされなかった。

実際に彼女達は喜んでしていたとの情報はあるが立証は難しかった。

しかし、ことがことだけに結果として彼女達は退学となり高校から放逐された。

またVRの風俗店内では性行為は行われていないため違法ではなかったが、

男性へ派遣する女性の中に18歳以下の女子高生もいたため

児童福祉法違反の疑いで摘発された。

 

V班とA班の名称についてよくよく考えてみると

風俗グループがV班。Virtual Reality仮想現実で、

接点も何もない空間において相手に擬似恋愛又は性交などをさせる。

痴漢冤罪グループがA班。Augmented Reality拡張現実で、

現実世界には起こっていない犯罪を追加し、

痴漢状況を発生させ相手をその世界へ追い込む。

別名のF班は、fraud(詐欺)の意味であった。

 

これらから今後の犯罪傾向が想像もつかない世界になりそうで翔は恐ろしく感じた。

しかし、これで一般市民へ被害が及ぶと予想される

アジアの犯罪組織とも親交の深い東京最大の暴力団川口組の後継組織の

大きな資金源を壊滅させたことは確かだった。

(つづく)

29.端午の節句(初節句)

いよいよ初節句の日を迎えた。

庭がないので和室の柱に小さめのこいのぼりと床の間に五月人形を飾った。

主役の雄樹へ袴羽織を着せた。

雄樹はまだまだ小さい割にしっかりと立ち始めている。

 

雄樹はそれらに興味があるのか、

こいのぼりを見上げたり、

人形の方をじっと見て、そっとさわるを繰り返している。

静香は張り切って初節句の料理を作っている。

夏姫と雄樹は美波が面倒を見ている。

慎一はその様子をビデオ撮影している。

後の編集が楽しみだった。

 

やがて料理が出来た。

「鯛の焼物」

「赤飯とちらし寿司」

「筍、海老、蓮根の煮付け」

「鰹(かつお)と鰤(ぶり)の刺身」

「柏餅、チマキ」

 

家族全員が和室に集まり、

テーブルの上にところ狭しと並べられた料理に舌鼓を打った。

とりあえずテレビでビデオを全て上映した。

静香も美波もみんな、見入っている。

一人雄樹だけ食事に夢中だった。

食欲は夏姫よりも旺盛でさすが男の子の面目躍如だった。

(つづく)

73.痴漢冤罪ビジネスの闇を照らせ8

「それはそうとボス、

最近痴漢をした男がその場から逃げ始めているってニュースになってますね」

「ああ、それで困ってる。銭になりゃあしねえ」

「そうですか。困ったものですね」

「せっかく、示談に持っていってお金にするところなのに最近は空振りが多い。

 電車の中でも両手をずっと上げて、イヤフォン掛けて目を瞑っている野郎ばかりになって

商売あがったりだ。ネット上でも男専用車両を作れと言い始めているしそろそろかなあ」

「そんなに商売になるものなんですか?」

「ああ、駅員室に連れて行かれて警察官に渡されたら、即100%痴漢で捕まる」

「否認しても駄目なんですか?」

「ああ、逃げない限り絶対有罪にされる。

特に女が泣き始めたら即逮捕されるね。駅員も警察官も女の涙を信じるね」

「怖え、俺、絶対に満員電車に乗るの辞めます」

「それがいい。

痴漢で捕まった奴らは会社にばれるとクビになるから捕まったら必ず示談に応じる。

取りっぱぐれのない仕事さ。それが」

「その場から逃げる奴が増えて取れない」

「それで困ってる。女達からも『金にならない』と文句が出てきてる」

「うーん、逃げる奴ら、敵ながらうまいと言おうか、餌の癖に生意気と言おうか」

「おいおい、誉めるんじゃねえ」

「いえ、そんなことを言ってません。すみません。許して下さい」

「いや、俺も本音はそうさ。確かにそろそろ潮時かと考えてる」

「確かに芸能人でも嘘の痴漢で逮捕させたって自慢している馬鹿もいたくらいでしたから、

 それほど長い間儲けられるものではないのかもしれませんね」

「まあ、詐欺だからなあ。そろそろ当局が動くかもしれねえな」

まだ二人の会話は続いているが、これ以上のものは聞けなかった。

(つづく)

72.痴漢冤罪ビジネスの闇を照らせ7

ニュー川口組事務所フロアーに相当する事務所の窓ガラスには

『痴漢犯罪専門法 NKG法律事務所』の文字が広告されている。

「失礼します。ボス、これが今日のあがりです」

「おう、ご苦労だったな。どうだ?順調か?」

「へい、馬鹿なガキと馬鹿な男のおかげで順調です」

「それならいい。もう一軒の人形の店も盛況みたいだ」

「それは良かった。でも不思議ですよねえ。

 テツとも話していたんですが、俺は生身がいいですけどねえ」

「聞いた話だと、

 最近アニメオタクが増えて生身の大人の女が苦手な男が増えたのと、

 AVビデオの普及で自分じゃ何もできない男が増えたのさ」

「ふーん、そんなものですかねえ」

「そいつらの話では生身の女は面倒臭いらしいぜ。

 そこは嫌とか、ここがいいとか、もっと長くとか、注文が多くて嫌になるらしいぜ」

「その注文に応えてやれば、いい声だすのにねえ」

「そこが邪魔臭いらしいぜ。要するに自分勝手な男と女が増えたということかなあ」

「それで、その注文に応える男がホストということですかい?」

「そう女も仕事や金を持ち始めると、言う事を聞く男を欲しがるんだろうなあ。

 ホストに聞くとそういう女は相当に注文が多く、辟易しているみたいだぜ。

 女にも不満があるようでいずれホストも要らなくなるかもしれねえなあ」

「じゃあ女専用の店も将来は考えた方がいいですね」

「ああ、その店は男のアンドロイドを揃えて全ての注文を聞けるようなものが必要だな。

 それに女は結構用心深いし、細かくて文句も多いから、店の表に生身の男は出せない。

 その店は女ばかりで運営させないと面倒なことになるから準備がいる」

「そんな女、たくさんいますかねえ」

「ああ、だから、ほれ、Aの方で準備中だ」

「あっ、それで。ボスは頭いいですねえ」

「そこは俺の兄弟分の大陸の、何千年も歴史のある国の、スケベの塊の・・・。

 そこのツテでロボット技術を導入して・・・と言う話かなあ」

「ああ、そこまで発達してますかねえ」

「日本のスーパーコンピュータより速いものを作ってる国だぜ。

 それにあの国は独身男ばかりで軍隊内にも

 それ専用のロボットを置いとかないと暴発するって言う話だぜ。

 うちの店のロボットは全て日本の職人製だから質も金額も違うが

 もうじき輸出用に少し精巧なものを作るように指示が来ている。

 宇宙基地での使用を考えているらしいぜ」

「宇宙?そりゃあ、夢みたいな話だ」

「いや、夢ではなく、兵士も人間離れした奴、

 いや元人間の化け物みたいな兵士を作っているそうだぜ」

「日本は大丈夫ですかねえ。そんな兵士が攻めてきたら」

「さあな、われわれは、今のところは奴らの子分になってるから殺されねえよ」

「ええ?チャンコロの子分?なんか嫌だなあ」

「馬鹿野郎、今は、と、言ってるだろ?

 奴らの首根っこ押さえたら反撃さ。奴らは利用するだけさ」

「ならいいですが、奴らは心底日本人を嫌ってるから怖くて」

「そりゃあ、アジアの獅子とか言ってふんぞり返っていた時、

 イギリスやらたくさんのヨーロッパの国に攻められてボコボコにされて、

 挙句に格下と見ていた日本に攻められて負けて、

 属国だった朝鮮を無理矢理独立させられて、

 最後には台湾と一緒に植民地として取られたんだから憎むだろう」

「なぜ、日本だけなんすかねえ」

「そりゃあ、奴らから見て格下と見えるのは日本だけだからさ」

「他の国は格上だ、と言う事ですかねえ」

「というより怖いのじゃないか。

 本当は自分達が一番情けないんだけどそれを認められない。

 だから格下の日本を嫌うということだろうなあ。

 実のところ、本当は、日本人も怖がられているぜ」

「日本人が怖い?こんなだらけた国民が?」

「日本人の団結力の強さを知ってるからだろうなあ。

 奴らはお互いを信用していない、協力し合えない人間の集まりだから」

「それだったら戦争できないのじゃないですか?」

「そうだよ。武器は向こうが強くても軍隊となれば日本は強い。奴らは弱い。

 だから、命知らずの命令を聞くロボット兵士が期待されているというところだ」

A班情報以外にも多くの不穏な情報が入手できた翔だった。

(つづく)

71.痴漢冤罪ビジネスの闇を照らせ6

店の近隣駐車場へバトルカーを待機させ、

夜中にはドローンを飛ばしX線撮影にて建物情報を調査した。

隠し部屋らしき怪しいところは見つからなかった。

クモママから派遣したクモ助の聞き耳タマゴからは

対象が女子高生であったため深い情報は取れなかった。

更なる情報を求め、

クモママを事務所裏口の真上にある換気口へ移動させ、

いつでも出入する者に貼り付けるようにクモ助を待機させることとした。

事務所内に待機しているクモ大助との連携を取るつもりだった。

 

「それはそうとあっちの方、A班・・・は順調なのですか?」

「あまり詳しくは知らないけどそうなんじゃないか?

 でも最近、線路に逃げる奴が増えてきているようだよなあ」

「それと何か関係あるのですか?」

「よくわからないが、逃げられたら売上げにならないと

 ニュース見たボスが独りごと言ってたなあ」

「ふーん、あまりわからないけど。売上げにならないと

 またいろいろとこっちに言ってきますねえ」

「そうだろうなあ。

 でもこちらは生身の女と縁のない寂しい男からコツコツと釣ってるだけだから」

「しかし、不思議な機械ですよねえ。全く原理がわからない」

「まあ、物理の天才の生身嫌いの学生の発明だけど。

 あれと天才は紙一重というのは本当だな」

「そうですね。生身を目の前にして、

 あの機械でしてもらうのが好きってんだから、本当に変な奴ですよねえ。」

「あの機械試してみたけど、不思議だった。本当にしてるみたいだったぜ」

「そうなんですか」

「ああ、あそこがきゅっと締め付けられて、こう動くんだ。

 最後には思わず出てしまったぜ」

「へえ、そりゃあ不思議ですねえ」

「まあ、あの箱の中にセクサロイドと同じ物が入っているらしいけど・・・」

「だけど、あの触られる感触は・・・逆に怖いですねえ」

「もう何でもありの世界になりつつあるのかねえ。でもやはり俺は生身が好きだなあ」

「俺もです。でもへたな女よりはうちの機械が勝ってるような気がしますがねえ」

「そうだろうな。だから毎日毎日これだけの客がくるのだろうなあ」

「お陰でボスに喜ばれるということですね」

「そうだな」

「それはそうと、今日は組に顔を出す日ではないですか?」

「そうだった。ちょっとお金の準備してくる」

「へい、お気をつけて」

 

男は神田駅前にある古いビルへと入っていく。

どうやら3階のフロア全体を借りているようだ。

早速クモ大助をビル壁面の換気口、

クモママをビルの出入口上部の換気口へ待機させ調査を開始した。

(つづく)