はっちゃんZのブログ小説

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75.北竜ひまわりの里

8月上旬、北海道の夏。
日差しはそれなりに強いが気温も本州ほど高いものではない。
年に数日間はクーラーが必要なほどの暑い日はあるが、
空気がサラサラと乾燥していて、
本州ではいつも気になる湿気が肌に纏わりつかないため日中でも非常に過ごしやすい。
木陰にいると気持ちの良い風が吹いてとても涼しく感じることもある。
大通り公園のビアガーデンもこの時期になると夜は結構涼しくて長袖が必要になってくる。
だがサッポロクラシックを好きな慎一は仕事帰りに毎日の様に同僚と軽く飲んでは帰っている。
同じ時期に道庁の庭でもビアガーデンは開かれており気持ち良く外で飲む場所には事欠かなかった。
お盆を越えれば気温も下がり始め北海道は一気に秋へと向かう。
そうなれば街中の樹々が赤や黄金色に彩られ美味しいものに溢れかえる。
少しすると旭岳に初冠雪の報せがあり、平地でも雪虫が飛んで雪の季節となる。
北海道の春や夏はそこかしこで花が一気に咲き誇り、我々の目を楽しませてくれる。
それはその時間が短いが故にそれらの花達は一瞬の命の輝きを見せてくれている。

いつものように朝は早めにマンションを出発した。
今日は「北竜ひまわりの里」へのドライブの予定だった。
そこに行きついでにその近辺にある道の駅で買って食べて楽しもうと思っている。
札幌市内から道央自動車道に乗り一気に北上する。
運転席から目に入る原生林は、濃い緑色に染まり自然の息吹に満ちている。
滝川ICで降りて、東滝川の出入口を芦別国道38号線へ出て右折し、西方向へ東大通を道なりに向かう。途中のイオン・ケーズデンキびっくりドンキー滝川市役所を越えて、西大通りのある|暑寒《しょかん》国道451号線に入り函館本線を横切ると水量の多い石狩川が見えてくる。そこにかかる石狩川橋を渡ると暑寒国道275号線に入り、最初の信号を右折し石狩川に沿って北上していく。10キロほど行くと雨竜町が見えてくる。その町を越えると「道の駅田園の里うりゅう」があり、そこを越えて5キロほどいくと「雨竜・サーキット」の看板が見えて来て、ここまでくると目的の北竜町は目の前、「北竜町ひまわりの里」への派手な幟や看板が見えてくる。

この『雨竜・サーキット』であるが、
創業30年の歴史があり、旭川にカート専門ショップを持ち、レーシングチームも運営している。10代から60代の方まで所属する約30名のメンバーが数々のレースに参加して実績を残しており、北海道で唯一SLライセンスが取得出来る施設だった。それにここは経験者だけでなく初心者でも安全にレーシングカートを楽しむ事ができる場所で、160ccエンジンを搭載し、時速50km以上というすごいスピードの出る本格的なカート体験ができるファンにとっても垂涎の環境で、レースの熱さを伝える大きなエンジン音を響かせ身体に風を感じる体験は他では味わえないのではないかと感じた。
住所:北海道雨竜郡雨竜町字渭ノ津20区電話:0125-78-3839
営業時間:AM7:00~AM12:00 PM1:00~PM5:00 定休日:なし
走行料:平日\4000 土日祭日\5000
コース全長:709m 最大直線:135m 幅員:6~7m
ホームページhttp://homepage1.nifty.com/AKC/uryuhtm.htm

実は車好きの慎一はここまで本格的なものならと入りたくなったが、子供達、特に男の子の雄樹がもう少し大きくなって、そしてもう少し涼しくなってから来るのが正解と感じた。
それ以外にここら一帯の観光名所は「ひまわりの里」以外にも、雨竜町~国際的に重要な湿地に関する条約(ラムサール条約)に2005年11月に登録された「雨竜沼湿原」や滝川市~毎年5月中旬から下旬にかけて、日本一を誇る「菜の花畑の絶景」などがある。

朝早く家を出て、途中休憩しておにぎりとお茶やジュースは飲んでいるが、
少し小腹が空いてきたので、『道の駅田園の里うりゅう』へ入ることにした。
この駅内には以下施設がある
【雨竜沼自然館】
これほど開発の進んだ現在の日本で、「秘境」と呼べる場所などはもう存在していないのではないかと思ってしまうが、「数少ない手付かずの自然環境という意味」では、この雨竜沼湿原は、日本が世界に誇ることのできる「秘境」と言えるのかも知れない。 雨竜沼湿原自然館では最大2m×3mの大作品から、床下に広がるエゾカンゾウの大群落作品、実寸大の植物をイメージさせる床面の立体展示、登山道や湿原に暮らす動植物の数々、 湿原の成立ちや湿原が抱える問題点、未来へ向けた保全を訴える資料展示も試みており、自然写真家岡本洋典氏が30年に及ぶ年月を費やし 撮影して来た膨大な作品の中から、代表的な作品約130点を展示されている。どの作品にも解り易い解説が付いており、一巡すれば雨竜沼湿原の四季の経過を理解する事が出来ます。そして写真とテキストだけではなく、格納された200インチ大スクリーンに定期的に上映される雨竜沼湿原の四季の映像と心休まる音楽は、既存のビジターセンターや写真ギャラリーでは得られない新鮮な映像空間を提供しています。
実はこの施設は、ラムサール条約が推進するワイズユースやサスティナブルユースを実現する活動の拠点として、今後の利用が期待される施設だそうです。
【辻井京雲ギャラリー 墨響】
日本を代表する書家であり雨竜町出身の辻井京雲氏の作品を常設展示するギャラリー「墨響」。 
白と黒と、筆の躍動がおりなす“墨の響き”を楽しむことができる。
【あいす館】
雨竜町といえば、お米の町。『雨竜米』をアイスに混ぜ、お米の食感を残した渾身の一品「雨竜米アイス」が一番人気で、期間限定取れたてメロンの果肉を使用したメロンアイスや濃厚なのに後味スッキリのほろ苦いチョコレートと芳醇な生クリームの高級ソフトクリームのクレミアも大人気です。
【鈴木かまぼこ店】
揚げたてアツアツのてんぷらかまぼこを販売。てんぷらかまぼこと雨竜米の絶妙な組合せを賞味。
【やきとり倶楽部】
ひと串ひと串ていねいに生肉を刺し、炭火でジューシーに焼き上げた焼き鳥やおにぎりをテイクアウトサービスしており、肉の焼ける匂いについつい吸い寄せられて頬張って納得の一品をお届け。
【ほっと一息レストラン「穂」】
うりゅう米を使用。季節に応じた雨竜町産の野菜を使って、ラーメンや定食などを提供されている。
【特産品直売施設】
雨竜町の新鮮・取れたての農産物や山菜などを販売、四季折々の農産物を生産者が直接出荷している。春は山菜、夏はスイカ・とうもろこし・野菜、秋は漬物用野菜、冬は豆類と旬の農産物が販売されている。

慎一は、子供達を抱っこして「雨竜沼自然館」と「辻井京雲ギャラリー」に入り軽く鑑賞した。
でも子供達はあたりに漂う美味しそうな匂いに誘われてキョロキョロしているため、早々に切り上げて、揚げたて熱熱の「てんぷらかまぼこ」と「焼き鳥」と「雨竜米アイス」と「クレミアソフトクリーム」と「コーヒー」を買って、ベンチに座ってみんなでシェアした。
食べ終わった子供達はまだここでずっと遊びたい感じなのだが急いで目的地へと向かった。
しばらく走るとすぐに「ひまわりまつり」の幟が見えてくる。
もう駐車場は多くの車で埋まっている。車内からとても大きな黄色い丘が見え始めてくる。

さて「ひまわりまつり」が開催される「北竜町ひまわりの里」は、
1979年の夏、当時の北竜農協職員が、農協研修で訪問した旧ユーゴスラビアのひまわり油用のひまわり畑に感動したのをキッカケにひまわり栽培が始まった。その後農協婦人部により1戸1アール運動が町内で展開され、まちおこしボランティアグループ「北竜町竜トピア会」が設立され、1987年に第1回ひまわりまつりが開催された。その後、台風や竜巻による大被害を受けたが、何とか北竜町民みんなが心ひとつに協力し合い、復興活動に取り組んだそうだ。そして、北竜中学生の「世界のひまわり栽培」が始まり、さらに多くの町民の自発的なひまわりの里草刈り支援活動「ひまわりの里草刈り十字軍」など20年を超える活動が受け継がれて現在に至っている。
真夏の太陽を浴びて、華麗に咲き誇るひまわりたちは「命の元気パワー」であり、まさに北竜町民の熱い想いとなっている。確かにここら一帯の空気が熱くそして黄金色に輝いている。

名称 ひまわりまつり
特徴 東京ドーム約5個分の東向き斜面の丘に、東向きに咲く200万本のひまわりの豪華な風景。
   ひまわりは訪れたあなた(観光客)に向って微笑んでいます。
品種 ハイブリッドサンフラワー・春りんぞう・夏りんぞう・花りんぞう
場所 北竜町ひまわりの里(Sunflower field in Hokuryu town)
   北海道雨竜郡北竜町板谷143-2
電話 0164−34−2082
開園時間 08:00〜18:00
開園時期 7月中旬〜8月中旬
入場料 無料(ひまわり迷路は有料)
常設イベント 30種類もの世界のひまわりコーナー、ひまわり迷路(2箇所)、遊覧車など
期間限定イベント例 
ビールパーティ、歌謡ショー、花火大会、ひまわりフリスビー大会、特産米まつり、ひまわりパークゴルフ大会、YOSAKOI演舞、北竜太鼓演奏、メロン・すいか祭り、北商ロードレース、北竜盆踊り大会など

道の駅田園の里うりゅう』でお腹が一杯になっていたため子供達は元気一杯で
雲一つない真っ青な空を背景にした見渡す限り金色に輝くひまわりの世界に目を奪われている。
交代で肩車をして遠くまで見渡せるとその大きさに興奮している。
雄樹は暑さも感じていないかのように「すごいすごい」と大喜びで、
夏姫はそっと帽子の広めのツバを持って日差しを避けながら遠くを見て
「お父さん、すごく綺麗なお花畑ね」と満足気だった。
その後、ひまわり迷路に入って子供達と一緒に探検したり、
家族みんなで遊覧車に乗って東京ドーム5個分の広い真黄色のひまわりだけの世界を巡った。
このひまわりまつりに対する街の人の強い思いがよくわかる風景で、
この広いエリアをこれほどのたくさんのひまわりを世話することの大変さが実感できた。
家族全員ぐっしょりと汗をかいたので急いで車に戻って、
暑寒国道275号線を北上し、『道の駅・サンフラワー北竜』へ向かう。

ここ「サンフラワー北竜」は、
二頭の龍が守る門の中にそびえるオランダ風の建物というユニークな外観の道の駅で、温泉保養センターと物産販売、宿泊研修施設を兼ねた施設である。特に温泉は観光客ばかりではなく、地元はもちろん近隣市町村から温泉を楽しみにやってくるという人気ぶりらしい。
住所:北海道雨竜郡北竜町板谷163番地の2(〒078−2511)
電話:0164−34−3321
駐車場:24時間利用可・駐車場内トイレ有り
    普通110台、キャンピングカーOK、大型トラック16台
施設概要:レストラン風車
     ショップ
     北竜温泉
     サンフラワーパークホテル
      洋室(3名定員)2室(洋室)、和室(3名定員)2室(8畳)、
      和室(5名定員)10室(10畳)
     北竜町農畜産物特売所「みのりっち北竜」

今回のこの道の駅への訪問目的は、
「ひまわりまつり」でかいた汗を流すことと晩御飯を食べることである。
温泉施設の1階にある部屋を借りて着替えなどの荷物を持って入り家族だけでゆっくりとした。
ちょうど料金も1部屋2時間1,100円で適当な時間だし安かった。
先ずは北竜温泉の概要については、
源泉100%掛け流しの露天風呂や大浴場・水風呂・泡湯・ジャグジー付きの寝風呂などがある。
設 備としては、以下
浴槽:露天風呂/大浴場/水風呂/ライブ湯(泡湯)/ジャグジー付き寝風呂/サウナ/ミストサウナ
   ※貸切風呂は無し
   龍心の湯   男性:奇数日、女性:偶数日
   ひまわりの湯 男性:偶数日、女性:奇数日
温泉泉質:ナトリウム・塩化物泉(弱アルカリ性高張性温泉)
泉温:41.1℃(気温20℃)
湧出量:260リットル/分(動力揚湯)
知覚的試験:弱黄色微濁、強カン味、無臭
PH:7.56

夫婦と子供達は男同士、女同士で分かれて温泉へ入って汗を流した。
慎一は雄樹と龍心の湯へ入り、真新しい木で組まれた露天風呂や大浴場、ライブ湯(泡湯)、ジャグジー付き寝風呂、サウナ、ミストサウナへ入ったが、雄樹は初めてのお風呂ばかりで大喜びで何度も出たり入ったりしていたが、水風呂はさすがにとても冷たいので止めたようだった。
しばらくお風呂でゆっくりとして汗を流し、疲れをゆっくりと癒したら借りた部屋へ戻る。
ひまわりの湯に入った女達はまだゆっくりとしているようで男達はテレビをつけて出てくるのを待った。
上気した顔つきの夏姫が笑いながら走って部屋へ入ってくる。
「おとうさん、いろいろなおふろがあったよ。
 ブクブクのあわばかりのおふろやとてもあついおへやもあったよ」
「なつき、ぼくたちもそんなおふろはあったよ。そとにあるおふろもあったよ」
「わたしたちもあったよね。おかあさん」
「そうね。すごく綺麗だったね」
「そうだよ。男のお風呂も女のお風呂もどちらも同じお風呂なんだよ」
「そうなの?ふーん。じゃあみんないっしょでよかったわ」
「なつき、すごいつめたいおふろにははいった?」
「ううん、てをそっといれたらつめたかったからはいらなかった」
「ぼくさあ、まちがってあしをいれたら、さむくてからだがこーんなになったから、
 もういちど、あたたかいおふろにはいったんだ」と身体を捩る。
「ゆうき、それはつめかったね。カゼひいちゃうね。きをつけてね」

その後、早めの晩御飯を食べるために「レストラン風車」へ向かう。
「お子様ランチ(おもちゃ付き)」
プレートランチセット。ホットドックやハンバーグにデザート、ドリンクがついて、更に食後にはおもちゃのご褒美もあるお得なセット。
「黒い野菜カレー」
|黒千石大豆《くろせんごくだいず》は、黒豆の一種で他の黒大豆よりも大豆イソフラボンおよびポリフェノールの値が高い種類で、他の大豆と異なり免疫への良い効果と抗酸化力のある健康に良い豆として有名である。この黒千石大豆の煮汁や潰して具としてたくさん使った栄養満点の真っ黒いカレーである。
「黒千石かき揚うどんセット」
黒千石小ライス、かき揚げ、うどん1人前、とろろがセットになった北竜を味わいつくすセット。
その他に
「ひまわりポーク肉ラーメン」
北竜町産ひまわりの種を食べて育った豚肉を、ラーメンにトッピングしたガツンとボリューム満点の
ラーメンで特産の野菜やトウモロコシがたっぷりと入っている。
もあったが、今日は「黒い野菜カレー」とさっぱりとした「黒千石かき揚うどんセット」を頼んでシェアした。子供達もカレーは大好きなので小さなお皿にシェアしている。
これらに使われている米は、北竜町産米「おぼろづき」で慎一はこの米の香りが好きだった。
この米は慎一が良く飲みに行く札幌市北一条にある酒蔵千歳鶴の直営店の「吉翔」のおにぎりに使われている米である。
ご飯も終わり、車へ向かう途中「ひまわりソフト」を買って車へ乗り込んだ。
ここからは暑寒国道275号線を北上し道なりに進み、最初の交差点で右折して深川国道233号線を東へ道なりに進み、「道の駅鐘のなるまち・ちっぷべつ」の横を通過して、深川・留萌自動車道秩父別ICへ入り、道央自動車道深川JCTから道央道へ入れば札幌市まで一直線だった。
子供達はお風呂へ入って、ご飯も食べて、満足したのか車に乗るとすぐに寝入った。
夫婦はコーヒーを飲みながら色々と話して札幌市までの2時間を過ごした。

ちなみに帰り道に横を通過した「道の駅鐘のなるまち・ちっぷべつ」へは寄れなかったが、今度『雨竜・サーキット』に来た時は立ち寄る予定である。ここもお風呂があるようで楽しみだった。
施設の説明は以下である。
住所:雨竜郡秩父別町2085番地(国道233号沿い)
開館時間:9:00~17:00(4月~10月)、9:00~16:00(11月~3月)
深川市留萌市をむすぶ国道233号線を深川市より約10kmの地点に位置する。構内には町内を一望できる開基百年記念塔があり、その最上部には国内最大級のスイングベルが設置され、1日3回鳴り響いている。その他、植栽面積3000㎡300種3000株のバラが咲き誇るローズガーデンがあります。
センターハウスの特産物展示館ではトマトジュースあかずきんちゃんなどの特産品や町内産の新鮮野菜の販売を行っている。隣接する「秩父別温泉ちっぷゆう&ゆ」では、日帰り入浴や宿泊も可能で、温泉レストラン「はまなす」でご当地グルメ「緑のナポリタン(秩父別産のブロッコリーを使用した人気ご当地グルメ)」などの幅広く豊富なメニューがリーズナブルに楽しめようだ。近年、「こども屋内遊戯場キッズスクエア・ちっくる」と「屋外遊戯場キュービックコネクション」が整備された。
「こども屋内遊戯場キッズスクエア・ちっくる」
道内最大規模のネット遊具は、こどもの腕力とバランス感覚を養うことができます。他にもクライミングウォールやチューブスライダーなど天候に左右されず屋内でのびのび遊べる。
「屋外遊戯場キュービックコネクション」
1辺2mのキューブを組み合わせた幅58m、高さ13mのキュービックコネクションは国内最大級。
 約20種類のアスレチックや健康遊具があり、子どもからから大人まで楽しめる。