そろそろ夏姫の初節句(桃の日)が近づいてきている。
静香の実家から『雛人形』(七段飾り)が贈られてきた。
雛人形を飾るのに最適と言われる2月20日頃(雨水の日)に飾った。
子供達が珍しがって、せっかくの雛人形が大変なことになっても困るので、
雛祭り前日に七段飾りをしようと考えて、
先ずはお内裏様とお雛様だけを床の間に飾った。
3月3日はちょうど土曜日だったので、美波にも声を掛けている。
当日は、お節句会でお祝いするつもりだった。
桃の節句の由来は、平安時代から始まり、季節の節目に入りやすいと考えられていた災いをもたらす邪気を厄払いする行事から始まったとされている。
始まった当初は、3月3日だったわけではなく3月上旬の巳の日に行われた。野山で薬草を摘んで、体の穢れを祓って健康を祈願し厄除けをしたらしい。やがて紙人形で遊ぶ「ひいな遊び」と一緒となり、自分の身代わりで厄災を引き受けさせて人形を川へ流す「流し雛」になった。室町時代に入ると3月3日に行うことが定着し、その頃は紙人形ではなく、宮中では豪華な雛人形を飾って盛大にお祝いするようになりました。これらが宮中から武家、商家、家庭へ浸透して現在にいたるらしい。
お節句会の日は前夜から美波が人形の飾り付けに張り切っている。
静香は、土曜の買い物リストを必死で考えている。
お祝いのメニューは、定番の
『デンブで可愛く色づけしたちらし寿司』
『はまぐりのお吸い物』
『縁起物の海老や鯛の塩焼き』を用意した。
子供達は離乳食が主なのであまり食べられないが大人達は喜んだ。
慎一はビデオ係で遊んでいる子供達
楽しそうに雛壇を飾り付ける美波
張り切って料理を盛り付ける静香を撮影した。
後日、日下の実家と後藤家へ送るためのものだった。
皆の輝く笑顔で晴れの日が始まった。
夏姫は祝われているのが自分と意識しているのか
皆で歌うひな祭りの歌に片言の相槌をうっている。
大樹は、目の前に広げられている色取り取りの料理に釘付けだった。
(つづく)