はっちゃんZのブログ小説

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26.静香始動

静香は子育ての傍らテレビや新聞で株式投資について勉強し始めた。

お遊び程度のちょうどいい金額の口座にあったことと

子育ての隙間時間で出来るもので稼げるものはないかと考えていた。

中小株の分類に入る会社で、株主優待の送られてくる会社を探し始めた。

夫の好きなコーヒーや子供用に使えるものを探して少しずつ勉強していった。

図書館に行って、『株式入門』『経済ニュースの読み方』『チャートの読み方』なども借りた。

 

財務諸表などの見方や単語の意味などは夫に具体的に聞いて確認していった。

ちょうど夫から『子育て中でもできる収入確保の手段を考えていた』

と言われて『夫婦は以心伝心ね』と笑い返した静香だった。

株式投資は、知らないなら知らないで何も困らないが

現在の社会構造から考えても絶対に必要なことだった。

株に対しては変な儲け意識を持たないように、

気に入った企業を応援して、結果として自分も楽しければと考えている。

多くのお客さんに支えられて長い間小料理屋を経営してきた静香には、

欲張り意識は希薄でほどほどの利益でバランスを念頭に応援する会社を検討している。

夫も『物は試し、がんばって』と笑っている。

 

静香は毎日の生活で意識しやすい食料品関連会社を中心に選定し購入した。

これらの会社からは、株主配当金と株主特典が送られてくるので楽しみだった。

基本的に売ることは考えていなかったので経営の安心のできる会社を選んだ。

 

また、これからの世の中の変化を見る上で何が大きく変るかを考えている。

夫と一緒になる前から携帯電話などの連絡手段がすごいスピードで変ってきているし、

パソコンも各家庭にまで普及し始めていることから考えて、

今後のインターネット関連銘柄がよさそうだった。

しかし、まだまだ新聞やテレビなどの媒体が社会の主なニュースソースで

本当にこのビジネスモデルが儲かるモデルなのか少し信頼が置けなかったが、

とりあえずマスコミで持て囃されているネット会社を二単元だけ買った。

しばらくすると偶然仕手化して買値の倍々ゲームとなり、

怖いくらいの勢いで上がっていく。

とりあえずラッキーにも倍になった時点で1単元は利確できた。

そしてあと一つをいつに利確しようかと考えているうちに元に戻ってしまった。

 

静香は冷静に株価を見ていたが、狂奔した人々の行動は怖いくらいだった。

素人が高値で掴めば、たちまち損失が発生し、

現物売買でない場合にはすぐさま資金がなくなる可能性も高かった。

これ以降、静香は短期勝負の銘柄は避けて、

中長期で利益を積み上げることのできる銘柄を選ぶようになった。

利益目標は、銀行定期より良ければそれでよしとした。

 

また外国為替も勉強して、非常に利率の高い外国通貨への投資も開始した。

中長期的で20%という信じられない利率の通貨があり、

その国の経済状況などを新聞やネットで調査して、

ある程度安定していたのでそちらも運用に入れて、多面的な運用を開始した。

それ以降は常に海外も含めた関連ニュースに注意するようになった。

年度末の企業も多く、年度決算予想が発表され誌上を賑わせている。

子供達もハイハイするようになり、つかまり立ちもし始めている。

二人は離乳食をたっぷりと食べるようになり、部屋の中や廊下などを動き回る。

静香はその目の回るような毎日に幸せをかみ締めている。

(つづく)