8月末にお宮参りのお祓いを北海道神宮へ予約した。
雄樹と夏姫は良い子でお祓いの間、静かにずっと眠っている。
ちょうど最近は、昼夜逆転しているために午前中は睡眠の時間帯だった。
写真屋でレンタル衣装を借りて雄樹と夏姫をおめかしさせて、
日下と後藤の両親へ写真を送る準備をした。
美波は二人の間でお姉さんとして綺麗に化粧して納まっている。
札幌の夏は短い。
9月に入ると瞬く間に朝夕の風が涼しくなる。
日中は暑い日もあるが、湿気がないため半袖では寒くなる時があるくらいだ。
慎一は最近、帰宅後交代で雄樹と夏姫へ粉ミルクを与えている。
母乳が良く出るといっても双子なのでさすがに足りなくなる心配と
一日中起きている妻の体調への不安もあり、
何種類か買って試してみて子供たちが飲んだ粉ミルクに決めた。
この粉ミルクは、赤ちゃんに必要な母乳成分のラクトアドヘリン、ラクトフェリン、DHA、オリゴ糖、ヌクレオチド、β―カロチンなどが含まれていると記載されている。
妻は『小さく産んで大きく育てるのよ』と活き活きしている。
ふっくらしていた顔も早くも元に戻りつつある。
生まれた時はあんなに小さかった子供たちもどんどん大きくなっている。
まだ首もすわっていないわが子を抱いてミルクをあげていると
まだ抱き慣れていないせいだろうが、結構腕に力がいるので慎一は驚いている。
その間に妻を横にさせて休ませている。
たまに晩ご飯も慎一が作るようになった。
『美味しい、この子達も喜ぶわ』と笑っている。
聞いた話だが、食べた物で母乳の味は変わるらしい。
ならばと『さっぱり水炊き』を食べて、
翌日に『豚の味噌炊き』をするパターンとか、
北海道発祥の『スープカレー』を作った。
『スープカレー』のルーは市販されているため
後はトッピングを工夫するだけだった。
大ぶり野菜(ニンジン、ジャガイモ、ブロッコリー、カボチャ、大根)をベースに
鶏肉の煮込んだ定番物から、
軽く炒め甘みを引き出したキャベツの上に
その時にある食材(チャーシュー、鶏中手羽の甘辛煮、豚の薄バラ肉の甘辛炒め)や
スライスしたステーキ肉などをトッピングとして追加した。
野菜の中でも煮込んだ厚切り大根は静香には好評だった。
「ねえ、あなた、いつもありがとう、
今日、病院に行ったらお医者様がいつものようにしていいって」
「えっ?そうなん?本当にいいの?」
「大丈夫、でも子供たちがすぐ起きるから、あなただけでいいわ」
「そうか、少し残念やけど、子供たちが良く眠るようになったら埋め合わせるね」
「私の事は気にしなくていいわ。母乳期間はそうはならないから」
「そう?静香から母乳の甘い香りがする」
慎一は『胸は赤ちゃん用』と背中から優しく口づけをしていったが、
あまりに久しぶりだったのでいつもの余裕はなかった。
「ふふ、あなたが満足してくれて良かった」
「うん、おやすみ」
(つづく)