はっちゃんZのブログ小説

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61.旭山動物園2

次に「あざらし館」へ入るつもりだったが、
行列が続いているので少し休憩を入れる事にした。
ざらし館の横に旭山動物園中央食堂があった。
そこはフードコートになっており、子供達も気楽に入れる。
ここでしか食べられない一品のザンギこと唐揚げとジンギスカン唐揚げ、
フライドポテトと濃厚なアイスクリームや新鮮なジュースを頼んだ。
そこで軽くお腹に入れてをあざらし館の横を通って北へ歩くと、斜面に休憩所があった。
そこの隣に「とんかつ井泉」の幟がひるがえっている。
以前、札幌大丸地下で買って食べた時、美味しかったので覚えていたが、
旭川でも食べられるのは嬉しかった。
この店は東京上野が本店の「箸で切れる柔らかトンカツの店」として有名だった。
追加で食事という事でみんなで一つずつカツサンドを摘まんだ。
子供達は満足すると、斜面の広場へ走って行き、二人で追い駆けっこして遊んでいる。

慎一は子供のとっては歩いて見るだけではいまいちなのかもしれないと感じた。
そこで「あざらし館」は後にして「こども牧場」へ向かった。
ここは、人と動物が触れ合える唯一の空間で、
大人しいウサギ、モルモット、ハムスター、イヌが放し飼いにされており、
その子たちを子供たちが抱っこしたり触れたりすることができた。
夏姫は、「ウサギさん可愛い」笑っている。
じっとしている子ウサギを膝へ乗せて、その柔らかい背中をそっと撫でている。
雄樹は、仔犬を抱っこしたり、モルモットやハムスターを抱っこしている。
二人とも優しい目で動物たちを抱っこしており一番満足そうだった。
 
子供達が小動物で十分に満足した顔つきになったので、「あざらし館」へ向かった。
この館は、ゴマフアザラシが飼育されており、
屋外には北海道内の漁港をイメージするために、小さな漁船やテトラポットが置かれている。
またアザラシの野生環境を再現するために、オジロワシオオセグロカモメも飼育されている。
館内に入れば、ぺんぎん館とは異なる設備で、アザラシの特徴的な泳ぎを観察できる「マリンウェイ(円柱水槽)」や大水槽、その他「洞窟窓」があった。今まで見た動物園と異なり、アザラシの動きをより野生に近い状態で見せている。
子供達も今度は『アザラシさん』と言いながら見ている。
夏姫は相変わらず甘えん坊ですぐに抱っこをせがむので抱っこをすると
今度は雄樹それを見て、僕もとせがんでくる。
慎一としては二人を左右に抱っこしてあざらしを見ていく事になる。
二人から良い匂いが漂ってくる。
結構ずっしりと来るが、子供を持った幸せを感じる一瞬だった。 
もしかしたら二人ともそろそろ眠くなってきているのかもしれなかった。

美波はお友達の芳賀さんと以前流氷観光に行って水族館で生あざらしを見ているが
そこのアザラシは人が来ないと氷の張った屋外で眠っており、
美波たちが近づくと水へ飛び込んで逃げるような感じで
それはそれで自然のアザラシの姿だったのかもしれないが、
間近でこんなに早く元気に泳ぐ姿を見るのは初めてだったので感激した。
母親の静香へ『紋別流氷観光』の時の事をふたたび話をすると
「私も行ってみたいけど、きっと船酔いして楽しめないかも」と首をかしげてる。

ざらし館を出ると
すでに肌へ当たる太陽の光が弱くなり、頬に当たる風も冷たくなってきた。
子供達の歩く速度も遅くなり、そろそろ帰る事を考えた。
正門へ向かう左側に「ととりの村」「フラミンゴ舎」がある。
「ととりの村」は、施設全体を網で囲み、水鳥たちが自由に飛びまわることができ、水鳥本来の姿を観察できるようになっている。飼育されている鳥はオオハクチョウ、コクチョウ、ヒシクイインドガン、ハクガン、マガモカルガモキンクロハジロ掲示板には説明されている。
そこにある観察用の道を歩き、『ガーガー』とか色々な鳥の声がそこらじゅうに響いており、自然の中での鳥たちの姿が見える。
まるで森の中を歩いているような、人間と鳥たちが同じ空間を分け合ってるような気がした。
そこから「フラミンゴ舎」への入り口はあるが、冬季は開園されていないため入れなかった。
掲示板には、ベニイロフラミンゴ・ヨーロッパフラミンゴ・チリーフラミンゴの3種類のフラミンゴを飼育しており、間近でフラミンゴたちが歩く姿や休んでいる姿、エサを食べている姿などが観察できると書いてあった。

いよいよ子供たちから『抱っこ抱っこ』の声が出始めた。
慎一が二人を抱っこすると二人ともしばらくするともたれて眠ってしまった。
車について、一人ずつチャイルドシートへ寝かせて帰途に着いた。
まだ数え3歳の初旭山動物園は、全体の25%も見ないうちに終わった。
今後は何度も来て、全体を見るのに何回も来ることになると思って、
子供たちの可愛い寝顔を見ながら考えた。
帰りは美波を小樽まで送るため、札幌ICから札幌北IC方向へ向かい、
札幌西ICから札樽道へ入り、一気に小樽へと向かう。
車の窓から夕陽が静かに沈む日本海が見える。
美波は大学3年生で就職活動中の気晴らしで今日は付き合っている。
先輩の阿部さんと色々と相談に乗って貰っているようだが、
地銀にするか都市銀にするかで悩んでいるらしい。
ずっと北海道で暮らして行きたいと思うなら地銀がいいとは思うし、
日本中を色々と回って行きたいなら都市銀がいいと思うし、
慎一としては、自分が勤めている「六花銀行」がいいのでは?とは思っている。
現場は統合してすぐでまだカラーが出て来ていないし、
実際に人手も足りていない部門もあるから新入社員の入行に積極的だったからだ。
人事部の知人にそれとなく聞くと、親の職業が結構大切と言われた。
銀行は固い職業なので最近は親の仕事などが信頼できるものかどうかで判断してて
親が銀行、それも身内ならキチンとしているという事で縁故採用も多いのが現実だった。
しかし、美波の気持ちがわからないので一切何も言わずにその判断は美波に任せている。
もし母親に相談してきたらそう答えるように夫婦で相談している。