はっちゃんZのブログ小説

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54.翔、初めて葉山館林家へ 4

「ほう、その顔つき、やっと本気の力を出しそうだな。さぁ、きなさい」

「はい」

そこからは現在の翔が持つ最高のスピードと力で戦ったが、

とうとう爺さんには触ることもできなかった。

そして最後には又もや壁板へ叩きつけられた。

「よし、今日はここまで、翔君、なかなか鍛えてはいるがまだまだだ。

 もっともっと精進しなさい」

「はい、ありがとうございました」

「翔君、ところで百合との付き合いだが・・・」

『ゴクッ』

「まあ百合との付き合いは許そう。

 その代わりどんなことがあっても百合を守りなさい」

「はい、そのつもりです」

「君はなかなか筋がいい、我が一族に来てほしいくらいだが仕方ない。

 今後は百合とちょくちょく顔を出して、わしの相手をしなさい」

「はい、わかりました」

 

爺さんと二人、道場で正座をして向かい合った。

「聞いておきたいことがある、今後の事じゃ、将来はどんな仕事に就きたい?」

「はい、今それを考えていまして、弱い人困っている人を助ける仕事を考えています」

「警察ではなさそうな感じじゃな?例えば私立探偵とか?」

「あっ、そういう仕事ってテレビの中だけと思っていました」

「いや、普通にあるぞ。ただ浮気調査とかばかりだがな」

「浮気調査とかは・・・うーん。嫌です」

「そういうと思った。それなら『何でも屋』のような感じでやればいいだろう。

 浮気調査が嫌ならば断ればいい。

 実は新宿にある持ちビルの二階の部屋が空いている。そこを使ってみないか?

 事務所の奥にも広い部屋があるので寝泊り兼トレーニングルームとすればいい」

「はい、ですがそんな良い場所の部屋代はたぶん払えません」

「そうだな、月1万円でどうだ?

 1階の不動産屋が管理しているからお金が出来次第、支払ってくれればいい。

 実は変な人間には貸せないので困っていたところだった」

「1万円?すごく安いですね。助かります。これから資格とか取ります」

「探偵は普通自動車免許を持っていれば大丈夫。

 後は開業申請を出すだけで良いはずじゃ」

「そんな簡単なものなのですか・・・驚きました」

「自分の食い扶持くらいは稼ぐのじゃぞ、これで君の仕事は決まった。

 憂いがなくなれば後は鍛えるのみじゃ、がんばるのじゃ」

「はい、ありがとうございます」

「これからは君の正義を全うしなさい」

これで翔の大学卒業後の仕事は決まった。

(つづく)