2022-01-01から1年間の記事一覧
トマムの山肌に大きなタワー状のホテルが見え始めた。今夜と明日に宿泊予約している星野リゾートトマム ザ・タワーである。ホテルの駐車場に着き、大きめのトランクケースや荷物を持ってフロントへと進む。大きなホテルで玄関から多くの観光客の笑顔が見える…
夢花から一馬の夢への伝言が終わった後、遼真と真美と夢花はすぐに茉緒のマンションへ向かった。途中、車中で真美が作って来たサンドイッチを食べて体力を戻し、コーヒーやジュースを飲んで気持ちを穏やかにさせた。「やっぱり、真美姉様のお弁当って最高」…
あまりの酷い夢に心を乱した夢花が泣き始めた。しばらく夢花を落ち着かせて、次は一馬の記憶へと入って行った。やはり過去世の中に|江島和馬(えじまかずま)の存在があった。 柄島一馬(今生)の記憶1986年柄島一族の待望の長男として生まれた。2歳上に姉…
翌日の土曜日夜中に遼真は真美と夢花を連れて柄島家の近くへバトルカーを停め、その中から江島真弥と一馬の記憶を探ることとなった。真美と夢花は、クインと一緒に後部座席でいつもの様に霊体を浮遊させた。夢花の能力は、以前の事件”記憶喪失の男”に参加し…
雄樹と夏姫も大きくなってきたので、お盆休みに試しに宿泊旅行を決めた。美波に聞くと家庭教師のアルバイトはお休みを取れるとの返事で一緒に行くことになった。場所は、以前美波から聞いた雲海テラスを経験したいと考えて宿泊は星野リゾートトマム ザ・タワ…
遼真へ宮尾警部から江島家の内情と元妻の悲惨な状況を伝えられ、『江島茉緒《まお》は、シロだ』と言われたが、遼真としては、クリニックで起こった事件と公園の石碑付近の霊場の大きな変化に関係のある可能性を否定できなかった。ただそれは遼真の杞憂かも…
宮尾警部と小橋刑事は、犯人を捜査するために、とりあえず最近退院した母親全てに会ったが大した収穫も無かった。遼真は事件翌日に会った時、気になった路上の女性の似顔絵を真美に描いて貰いネットで検索するも一切ヒットしなかった。監視カメラの映像を調…
翌朝に宮尾警部と小橋刑事から電話があった。今回の事件について色々と聞きたいらしい。遼真の通う大学の講義もあるので夕方にクリニック前で会う事に決めた。その後、遼真の家で打ち合わせる事となった。それを聞いて真美が、夕食用に得意の「ワラジシリー…
「オギャアオギャア」部屋に戻るとか細い泣き声が聞こえる。柄島茉緒《えじままお》は、寝室のベッドに眠らせていた子供、希望《のぞみ》の元へ駆け寄った。「希望《のぞみ》ちゃん、 ごめんなさいね、目が覚めた? 少しお外に出てただけよ。 もう二度と外に…
ある水曜日の夜中、乳児誘拐事件が発生した。名前:川崎 瑞希ベビー年齢:産後7日目場所:トウキョウマタニティクリニック発生時刻:午後8時に判明被疑者:カメラで確認するも不明。看護師の証言:ベビーの母親以外は出入りしていない。警察見解:クリニッ…
子供達の3歳の誕生日も過ぎたある夜、子供達も一日一日と大きくなってしっかりしてきたので、そろそろ習い事をさせて見ようという事になった。ネットで調べると近くのスポーツクラブに子供用の「水泳教室」や「新体操教室」などがある。とりあえず二人を父親…
季節はもう晩秋だが、今日は初秋の様な陽射しで気持ち良い日だった。都内のとある公園、さして広くもないが遊具の種類も多く、近くにマンションも多くあって、土日以外にもたくさんの親子の姿がある。その公園の片隅には刻まれた文字が削れてわからない上に…
真美達に地縛されていた涼子と士郎は、ふらりと立ち上がり、その自縛陣の力を振り切り外へ出てきた。「キャア」 「キャーン・・・」真美とカイン、キイン、クインは、陣を破ったその衝撃で後ろへ吹き飛ばされた。床で倒れていた警備員は醜悪な顔つきとなり、…
魔法王ソロモン王の瓶から取り出された胎児の頭部の骨に大天使ラファエルの癒しの水が捧げられて元の胎児の姿に戻り母親のお腹に戻った時、「うっ、ラファエルめ、 よくも俺様の依り代を・・・ 我の力の源が・・・ まさかあの女と同じ依り代とは思わなかった…
翔が藤原と戦い始めた時から、遼真と真美は涼子と士郎の二人と向き合った。遼真と真美には見えていた。涼子と士郎の肉体には、腹部から血を流す女性と血に塗(まみ)れた神父の霊が憑依している姿が。それよりも二人に憑依した霊の背後に巣食う黒い霧が気が…
儀式の始まるのは夜中の3時からである事はわかっているので、0時となり美真野邸の周りが寝静まってから潜入を開始した。先ずは悪霊に感知されないように強力な目隠しの結界御札を身体へ張り付けた。その時、なぜか須田さんは翔の胸ポケットに入る事を希望…
バトルボックスカーコントロールルーム壁面のモニターへ士郎の発した言葉『暗黒十二宮召喚魔法』に関する情報が出てきた。この魔法陣は、円を12個に均等に分けて真ん中に小さな丸を作る。その各区画毎に(ただし真ん中の丸内は除く)、黄道十二宮の星座に…
海外からの情報が入手できた翌日に従兄の桐生 翔新宿探偵事務所内で潜入の検討を行った。美真野邸の警備は厳重でさすがに簡単には潜入できなかった。正面門に警備室があり、高い塀の上は、電気が流れる金網フェンス、フェンスの無い部分の上空は全て赤外線が…
家へ戻った遼真は美真野家の洋館について調べ始めた現在の社長美真野涼子が生まれる前の話になるが、あの洋館は美真野家の先代が、ヨーロッパのある国に出張したおり、当時洋館住んでいた貴族に食事会を招待され、豪勢な料理に年代物の美味しいワインを頂き…
翌朝の食堂の掃除中に天丸1号を侵入させシャンデリア上部で夜まで待機させた。夜に再度バトルカーで同じ有料駐車場に停めて調査に入る。『今日は涼子社長が子供との入浴がある』との情報が昨夜明らかになったため、その時の会話を盗聴する事とした。それと『…
翌日の夕方17時頃、大学の講義を終えた遼真と下校してすぐの真美は社務所奥の部屋で顔を合わせた。宮尾警部からは新しい情報が入った。多摩湖に沈んでいた園芸品は、日本でも数少ないヨーロッパ製で輸入品である事が判明し、取引業者も限られており、現在、…
遼真は多摩湖の龍神様に教えられた建物に移動した。その場所は『クレオパトラグループ研修センター』と看板がある。白亜の豪勢な大きな建物で西洋の中世の趣を醸し出す研修センターだった。敷地も広く高い塀と高い木で囲まれている。建物の周りには芝生と遊…
須田が献血で何度も通った古いビルへ向かう。既にその古いビルは建て替えられており、後に『クレオパトラ美容クリニック』が建っている。調べると土地の持ち主はもう亡くなっており、その土地はクレオパトラグループの物となっている。登記上からは、古いビ…
昼前になって神社へ宮尾徳蔵警部と小橋光晴刑事は顔を出した。遼真は祈祷所内で二人へ写真を渡した。「えっ?宮さん、この女・・・」「そうだな、ほんの少し前に見てた顔だぞ」「そうなんですか?どなたです?」「美真野涼子、クレオパトラ化粧品の社長だ」…
遼真から『昼前に神社に来てください』と連絡があったためそれまでの時間を警視庁迷宮事件係(通称038(おみや)課)の 宮尾徳蔵警部と小橋光晴刑事は、 部屋で渋茶を飲みながら何気なく古びたテレビを見ていた。 テレビでは、『秋は紫外線に注意』のテーマ…
8月上旬、北海道の夏。日差しはそれなりに強いが気温も本州ほど高いものではない。年に数日間はクーラーが必要なほどの暑い日はあるが、空気がサラサラと乾燥していて、本州ではいつも気になる湿気が肌に纏わりつかないため日中でも非常に過ごしやすい。木…
多摩湖から自宅へ戻った遼真と真美は、食事の後に早速準備に入った。祈祷所にはすでに小橋刑事が運んできた古いガーデニング製品と須田さんの霊が入っている|人形《ひとがた》を設置している。二人は水垢離をし身体を清めてから作業へ入った。先ずは須田さん…
4人で乗って来たセダンタイプの車では湖底からの物を搭載できないため、小橋刑事が1人で別に車を借りて東京まで運ぶ事となり、小橋刑事がレンタカーで戻ってくるまでここで待つことになった。遼真は湖底から引き揚げられた物を駐車場から離れた林の中に置…
やがて東大和市に入り、多摩湖が近づいて来た。遼真から「警部、多摩湖での捜査の前にお願いがあります。 多摩湖付近にある酒屋さんとその後必要な神社へ参拝したいのです。 多摩湖で霊とお話する事になりますから必要なんです。 大した時間はかかりません」…
季節は夏も終わり、警視庁迷宮事件係 通称 038(おみや)課の窓からは、少しずつ色付き始めた街路樹が見える。宮尾徳蔵警部は、紙コップに入った渋茶を一口飲んでそんな街を静かに見ている。「ふう、もう秋だな・・・」「そうですね。 宮さんがため息とか珍…