はっちゃんZのブログ小説

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13.魔法陣、悪魔、地獄、天使、天界について(第2章:いつまでも美しい女)

バトルボックスカーコントロールルーム壁面のモニターへ
士郎の発した言葉『暗黒十二宮召喚魔法』に関する情報が出てきた。
この魔法陣は、円を12個に均等に分けて真ん中に小さな丸を作る。
その各区画毎に(ただし真ん中の丸内は除く)、
黄道十二宮の星座に対応するマークの上下左右逆のマークを血で記載する。
その区画へ六臓六腑(ろくぞうろっぷ)と胎児を捧げていく。
六臓とは、肝《かん》・心《しん》・脾《ひ》・肺《はい》・腎《じん》・心包《しんぽう》があり、生命活動の中枢として機能し、精を貯蔵しているとされる実質器官のことである。
六腑とは、胆《たん》・胃・小腸・大腸・膀胱・膵臓《すいぞう》があり、飲食物の消化吸収と水分代謝、排泄に関与している中空器官のことである。
特に、肝は胆、心は小腸、脾は胃、肺は大腸、腎は膀胱、心包は膵臓と姉妹のように表裏関係を持ち、強く協力関係を持っているため、各区画の1時と7時は肝と胆、2時と8時は心と小腸と順次対応させ臓器を置いていく。そして最後に胎児を真ん中の丸の区画へ捧げて完成となり悪魔を呼び出すことができるとされている。

ここで壁面のモニターへキインの見た悪魔の情報が送られてきた。
『頭に王冠を被った牛で、全身が炎に包まれた悪魔』とは、『モロク』ではないかとの事だった。
モロクは、”悪魔の中で最も残忍な存在””母親の涙と子供の血にまみれた魔王”と呼ばれ、好んで子供を生きたまま食べる悪魔であるとされている。
モロクの意味はヘブライ語で「王」を意味する。当時の王には農耕の収穫を保証し、利益を擁護する特別な力が必要とされていたためであるが、モロクはそういった加護と引き換えに子供の生贄を要求した。
モロクを祀る方法は、子供を人身御供として焼き殺す残忍な犠牲式だったという。
また1667年にイギリスにてジョン・ミルトンが発刊した『失楽園』には、”人身御供の血にまみれ、親たちの流した涙を全身に浴びた恐るべき王”、“天において戦った天使のうち最も強く、最も獰猛な者”と険呑なもので、悪魔の集まる万魔殿における会議では主戦派の筆頭として弁を振るっていると記されている。

次に涼子の発した言葉『瓶の上に六角形の星みたいなマーク』の解析結果が出てきた。
このマークはソロモン王の紋章で六芒星(ヘキサグラム)と言われ日本では籠目紋である。
このマークの付いた瓶に関しては古くからの伝承があった。
それは古代において、伝説の魔法王ソロモン王により瓶に封印された『悪魔ベリアル』の情報だった。
悪魔ベリアルは、
元は神に2番目に近い天界の「第二の位階」に生まれた力天使(ヴァチューズ)が堕天した悪魔であり、ルシファーの次に神から作られた天使と言われている。その力で多くの天使を神への反逆へ|唆《そそのか》せて堕天させた張本人でもある。ベリアルは裁判でキリストをも告訴できるほど弁舌が巧みで、たとえどんな浅はかな内容であっても人を納得させてしまうほど天才的だったと言われている。
人間を裏切りと無謀と嘘に導く、八十の軍団を率いる地獄の君主の一人である。ジョン・ミルトンの『失楽園』の中でも”ベリアルほど下品で悪徳を愛する不埒者はいない”とされている。

力天使(ヴァチューズ)についての解説だが、
力天使は5番目に高い位階で、神により最初に生み出された天使たちとされ、6番目の位階の能天使パワーズ)と共に宇宙の秩序や均衡を保つ役割を持つ。その存在は最も調和的であり、神へ従属する善意によってさらなる高みへと至るという。また天地開闢《かいびゃく》に関わって、能天使と共に悪魔と第一線で戦って天の世界を守る務めを課せられている。
なお偽ディオニュシオス書によれば、
天界の階級としては、神に一番近い場所から順に以下である。
「第一の位階」:神と直に接し、常に神を讃える歌を歌う。
        熾天使セラフィム)、智天使(ケルビム)、座天使(スローンズ)
「第二の位階」:神の意向を目下の者達へ天使としての啓蒙思想を植え付ける。
        主天使ドミニオン)、力天使(ヴァチューズ)、能天使パワーズ
「第三の位階」:下界の浄化を目的として神からの教えをそのつど人間へ啓示づする。
        権天使(プリンシパリティーズ)、大天使(アークエンジェル)、
        天使(エンジェル)

この伝説の魔法王ソロモン王の知恵により、『ベリアルとその軍団が封印された瓶』は、当初はソロモン王自らの城で封印していたが、王国が崩壊した後は多くの宝物や書物と共に歴史の表舞台から消えて去った。
その後、1492年に『その封印が解かれた』との伝説が残っている。
その伝説は魔女裁判魔女狩り全盛の当時、1486年に出版された魔女発見の本『魔女への鉄槌』から4年後に、ある神父が偶然教会の地下室の壁に塗りこめられていた『ソロモン王の瓶』を発見し、その中に封印されていた『悪魔ベリアルとその軍団』をベリアルの巧みな声に負けて、つい蓋を開けてしまいベリアルに憑依され、多くの無実の女性を魔女や吸血鬼として殺したとの伝説で、その後のその神父やベリアルの行方はわからないまま現在に至っているとの事だった。

さらに地獄については、
13世紀から14世紀にかけてのイタリアの詩人・政治家、ダンテ・アリギエーリの「神曲」において紹介されている。この神曲は、地獄篇、煉獄、天国篇の三部から構成されており、各篇は各々34歌、33歌、33歌の合計100歌からなっている。この歌は三行を一連とする「三行韻詩」あるいは「三韻句法」の詩型が用いられている。
地獄篇では地獄の形は大穴であり、その最深部は地球の中心にまで達し、最上部の第一階層から最下部の第九階層で構成されている。
第一階層:辺獄。洗礼の受けなかった者が行く場所。
第二階層:愛欲者の落ちる場所。
第三階層:大食の罪を犯した貪欲者が落ちる場所。
第四階層:浪費の過ぎた者、ケチな者がお互いを罵り合う場所。
第五階層:憤怒者が落ちる場所。罪人同士で殺し合う。
第六階層:異端者、異教徒が落ちる場所。
第七階層:暴力を揮った者が落ちる場所。
第八階層:悪意を持って罪を犯した者が落ちる場所。汚職、誘拐、盗賊が落ちる。
第九階層:裏切者、反逆者が落ちる場所。魔王が氷漬けにされている。

最後に天界についてである。
人間の肉体のまま神に呼ばれ天使に天界を案内された後人間界へ戻り、神の指示で人間のために記したエノク書に天国の様子が紹介されている。
以下が天界の概要である。
第一天:地上に一番近く、風・雷が存在し、天使が自然界の摂理を見守っている。
第二天:堕天使達が審判を待つ暗い刑場。
第三天:エデンの園。ただし、その北側には地獄がある。
第四天:乳とワインとオイルの川が周りを流れている。
第五天:牢獄。サタンとそれを見守る者達が炎の峡谷に閉じ込められている。
第六天:天と地の法則を融和させるなど自然を調節する七人の学者天使がいる。
第七天:熾天使智天使座天使の三体が一体になって神の座を守っている。
第八天:季節、旱魃、雨、黄道十二宮を変化させる天使が住む。
第九天:黄道十二宮の天の住まい。
第十天:神が住む場所。エノクが神に対面した場所。