はっちゃんZのブログ小説

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2019-01-01から1年間の記事一覧

116.首都を防衛せよ3

自衛隊へ潜入している桐生一族の者からは逐次連絡があった。自衛隊基地内では、一部の隊員が小隊単位で武装蜂起し 防衛省コントロール室を占領している。どうやら蜂起した隊員の情報を精査すると所属は別々で特に偏りは無かったが、共通点として日本人以外の…

115.首都を防衛せよ2

その時、目黒館林研究所の大型コンピューター『優子』から連絡が入った。 テレビ画面が優子の顔へ切り替わり、画像が映し出された。 連絡内容を要約すると ①東京湾沖(公海上)で潜水艦らしき姿が3隻浮かんでいること。 ②今回の『ドリーム号』は日本へ寄港…

114.首都を防衛せよ1

今日は久々に急ぎの仕事も無く、 翔と百合はゆったりした気持ちでくつろいでいる。 いつものようにクライアントが来る前は、ソファに並んでテレビを見ている。 テレビでは、世界1周クルーズやアジアクルーズの番組が放映されている。 「翔さん、クルーズっ…

113.妖?行方不明者を探せ11

大陸から呼ばれた悪霊と対峙した遼真が 金色に輝く大刀をスラリと抜いて右手で持つと肩へ掛けた。 左手で印を結びながら魔物へ向かっていく。 「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前」 と唱えながら魔物の身体を切り分けていく。 どうやら身体と魂の繋がって…

112.妖?行方不明者を探せ10

『ゴウーーーー』 ふたたび樹を渡る風の音が耳を打った時 樹の根元でカラカラになって倒れていた老人の死体の眼が『カッ』と開かれた。 「ドウヤラ ダマセ ナカッタ カ ナゼ ワカッタ」 とユラリと立ち上がる。 シワシワでカラカラの身体へ血液が流れ始めた…

111.妖?行方不明者を探せ9

五芒星から立ち上る瘴気が魔物の潜む大樹の一点へと集まっていく。黒いガス状のものが徐々に異形のモノとなっていく。とうとう魔物の本体が姿を現した。祠で見つけた抜け殻とは全く異なった姿だった。 たくさんの人間の恨みと僻みを喰らって育った魔物は化け…

110.妖?行方不明者を探せ8

「翔兄さん、待ってください」 現場に到着した遼真から声が掛けられた。 翔が攻撃を止めたその一瞬、 魔物は近くの木へと跳び梢へと移動すると 別の木へ跳んだのか見えなくなった。 その時、遼真と真美は夜目にも鮮やかな白衣と袴姿で現れた。 遼真の腰には…

109.妖?行方不明者を探せ7

太古の昔から現在まで日本という国には海を渡って多くの悪霊が攻めてきている。それが表の歴史としては、戦争や飢饉などで記録されている。歴史上で有名な事件では国が定まる前は「八岐大蛇」であり、日本国が擁立してからは「元寇」であった。記録には残っ…

108.妖?行方不明者を探せ6

遼真の頭には全ての式神からの映像情報が入ってきたが、あまりに多いため全ての式神の紙片を手の平へ挟み、広げた地図へと飛ばす。おのおのの式神達が地図上にゆらゆらと立っている。細くなった足元がビル名などを知らせている。魔物の被害者と魔物の場所が…

55.彼とドライブ1-小樽から帯広へ-

少し大きめの鞄を持って待ち合わせ場所までの下り坂を歩く。 吐く息も白くなり小樽の朝はもう秋の気配だった。 9月入ると北海道は暑かった夏の気配が瞬く間に去り 次の季節への移り変わりの気配が濃厚になる。 その冷たい空気が美波の少し寝不足の目には気…

107.妖?行方不明者を探せ5

高尾山を出発する時、遼真は目黒にある実家へ 本体の抜け殻を入手した旨と祈祷により潜伏場所を探る予定の連絡をした。 目黒の実家は、皇居の裏鬼門の方向になり江戸が出来る前から関東の守護として 安倍清明系列の京都と関係の深い由緒ある神社だった。 す…

106.妖?行方不明者を探せ4

遼真は木の根元で瞑目して座禅を組んだ。 しばらくして 彼の金色の縁取りのあるダークグレイの瞳が開かれた。 「兄さん、そこの右側の木の上の方を見て下さい。死体があるはずです」 木を見上げると白く長い塊がぶら下がっている。 急いで木を登り、ロープで…

54.ドライブへの誘い

北海道はお盆を過ぎると急速に日差しが弱くなり肌に当たる風が冷たくなり始める。 そして夏休みが終わる9月になると朝夕は10度以下の日も出始める。 日中でも20度は越えなくなり、街を歩く半そでの人も激減してくる。 近くの山々からは急速に緑が失われてく…

105.妖?行方不明者を探せ3

魔物 ? 悪い神様 ? 封印 ? 今まで幼い兄妹からの依頼で解決した事件で不思議な事はたまにはあったが 今回の依頼は今までとは次元の違い、いや相手にする世界の違いを感じた翔だった。 その魔物に対しての情報は遼真の方からもたらされた。 魔物の本体はま…

104.妖?行方不明者を探せ2

今、テレビで話題になっているのは『日本版スパイダーマン』だった。 目撃した人の話では、ビルからビルへと軽々と移動して 『まるで映画のスパイダーマンみたいだった』と証言したので それに飛びついたマスコミからは 『スパイダーマンあらわる』と報道さ…

53.美波の恋?

その夜、慎一達が眠ってから、母が美波へ声を掛けた。 「美波、お昼会った前田さん、優しそうな人だね」 「そう、何かあればサークルのみんなが彼を頼っていて大変だったみたい。 彼は頼まれたら絶対に断らない人だから」 「そうなんだ。色々と小さい時から…

103.妖?行方不明者を探せ1

浅間別荘と葉山邸の特訓から新宿の事務所へ戻った二人は、 いつものようにソファに並んでテレビでニュースを見ている。 もう街は晩秋の装いで公園の木々の葉もちらほらと落ち始めている。 今日も都内で行方不明者の出ている事件が大きく報道されている。 そ…

52.偶然の再会-望羊中山-

望羊中山で目的の揚げ芋を買って2階の休憩スペースに座る。 揚げ芋は1串にこぶし大の揚げ芋が3個刺さっており300円。 手に持つとずっしりした重さ、 噛むと外はカリッとして、中の生地はフワッとしている。 見た目のボリュームはあるが、 ホクホクのジャガ…

102.特訓11(葉山編4)

「これより陳式太極拳の修行に入る。二人とも私の動きを見て真似なさい。 これは格闘術としては勿論じゃが、 体内で気を発生させその気を練るためのものじゃから正確に覚えなさい。 では始めるぞ」 先ず隆一郎翁が動き始める。 一つ目の動きは ヨゥ ヂンカン…

51.洞爺から札幌へ-昭和新山熊牧場-

熊牧場としては「登別市の熊牧場」を知っていたが、 今回は近道の豊浦から札幌市へ向かう道を予定しているため こちらの「昭和新山熊牧場」を見ることにしていた。 牧場の構成は、 「こぐま牧場」 「若くま牧場」 「大牧場」 「くまのアパート」 「あらいぐ…

101.特訓10(葉山編3)

翌朝はいつものように準備運動をして筋肉をほぐしてから朝食を採り、 小休憩の後、太極拳の修行に入った。 師匠はもちろん『館林隆一郎翁』。 百合も翔の隣で一緒に修行するつもりでならんでいる。 「では、これから太極拳の修行に入る。 先ずは姿勢。 これ…

7.追憶2(改)

柔らかい桜色の風が神戸の街を包んだある日、 突然、 夢は覚め、 時は止まり、 世界がモノクロームに変わった。 「静ちゃん。落ち着いて聞いてね」 「はい、何があったのですか?」 「勇二君が・・・」と言って事務所の皆が泣き始めた。 社長が涙を流しなが…

100.特訓9(葉山編2)

隆一郎翁と翔の攻防を見ていた京一郎が 「翔君、筋肉の痺れとスピード低下が無ければ大丈夫だな?」 「はい、その通りなのですが、これがうまく行かないのです」 「わかった。 現在、一定時間だけ筋肉の疲労を感じなくして、 反射神経を数段高める作用のある…

6.追憶1(改)

静香はタクシーに乗ってしばらく経って目を覚ました。 美波が静香の背中をさすりながら心配そうに見つめている。 「はっ、お母さん、眠ってた?」 「うん、私、びっくりしたよ。今日みたいなお母さん、初めて」 「ごめんなさい。嫌なことがあって少し飲み過…

99.特訓8(葉山編1)

翌日早々にバトルバイクで葉山の館林邸へと急いだ。 アスカとロビンは新宿の事務所までバトルカーで帰って行った。 翔は背中に触れる百合の感触から昨晩のことを思い出しては密かに喜んでいる。 百合は百合で大きな背中に頬をつけて昨晩の幸せをかみ締めてい…

5.面影(改)

6月中旬を目標としていた大きな融資案件がやっと決まり、融資課開設後、 初めて月目標が達成する目処が着いた。 9月までの目処としては、 徐々に決まりつつある他の案件もスムーズな様子で安心できた。 誕生日の6月21日は、久しぶりに『さざなみ』でゆっくり…

50.洞爺観光-有珠山・昭和新山-

恵山岬からは北上して内浦湾を右手に見ながらひたすら進む。 ネットでは、この内浦湾は渡島半島の基部東岸、室蘭市のチキウ岬及び駒ヶ岳北東麓の岬に囲まれた、直径約50kmのほぼ円形の海域で湾口の長さは約30kmである。別名として噴火湾ともいわれる。この「…

4.静香のまなざし、美波のまなざし(改)

静香は最近ふとお客さんの一人が気になっていることに気が付いた。 それは連休直前に来店した『日下さん』だった。 関西弁で静香の料理を美味しい美味しいとたくさん食べてくれる人。 連休明けは特に仕事が忙しいみたいで週に2、3度は来るが、 まだ仕事が…

98.特訓7(浅間別荘編7)

翌朝からのランニングは、熊の出現を警戒して滝へのコースは避けた。 警察にも連絡し間違って観光客が立ち入らないように注意を喚起した。 万が一に備えて、優子の指示で アスカが警備犬のロビンをバトルカーに乗せてこちらへ向かっている。 熊の出現に備え…

49.函館観光3-恵山岬-

翌朝、早く目覚めた慎一は、一人で露天風呂へ入り朝日の昇る津軽海峡を見つめた。 しみじみと露天風呂が部屋に付いている良さが感じられる。 温泉につかってさわやかな海風に吹かれながら 昇る太陽の光を受けていると今日一日のエネルギーが湧いてくる。 し…