はっちゃんZのブログ小説

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100.特訓9(葉山編2)

隆一郎翁と翔の攻防を見ていた京一郎が

「翔君、筋肉の痺れとスピード低下が無ければ大丈夫だな?」

「はい、その通りなのですが、これがうまく行かないのです」

「わかった。

 現在、一定時間だけ筋肉の疲労を感じなくして、

 反射神経を数段高める作用のある薬を研究中だ。

 この前、君が捕まえた獣人化薬の応用薬だ。

 もちろん、毛や牙が生えたりする副作用はない。

 ただ30分間しか使えない薬で、

 その時間を過ぎると骨格筋が一切動かなくなる」

「京一郎や、それでは何も役に立たない。

 もっと持続時間の長いものを研究しなさい。

 それならば、翔君、

 やはり元々の力を高めるしかなさそうじゃな」

「はい、そうなのですが、何かいいアイデアはありますか?」

「いや、すぐには無い。

 だが、太極拳の中で内気功を回すことにより体力を高めることのできる技や

 仙道で気の力を高める方法もある」

「内気功?仙道?」

「そうじゃ、気を体内で回すことにより、まあこれは気を練るというがな、

 戦いながら体力を維持しスタミナの上限を高めることのできる技で、

 仙道は元々の気の力を高める方法じゃ」

「そんな都合の良い技が!早く教えてください」

「まあ、焦るな。

 大変難しい技で簡単には出来ないから、まずは明日から修行を始めよう」

「ありがとうございます」

「それはそうと、もう膝が笑っておるようだが、大丈夫なのか?」

「実はもう限界で、フラフラです」

「今日は、ここまでにしておこう」

「ありがとうございます」

 

翔は何とか部屋まで歩いて戻り、ドアを閉めた途端にベッドへ倒れ込んだ。

百合が心配そうに見ている。

「やはり、百合んところの爺さんは化け物だな。全く歯が立たない」

「まあ、お爺様は戦い慣れている人だから仕方ないわよ」

「うちの爺さんもそうなんだよなあ。まだまだひよっ子ということか」

「私は、あなたのことをすごい人と思ってるわ。

 そして、あなたのフィアンセで幸せと思っているわ」

「それは僕もそうなんだけど、くやしくてさあ」

「大丈夫、あなたならきっと勝てるようになるわ」

「そうなれるように、力づけて

 ね?、ねえ、百合」

「ふふふ、今日も甘えん坊さん」

翔は全身が殆ど動かせなくなってるため、目でせがんでいる。

百合がそっとその唇へキスをした。

 

同じ時間、隆一郎翁は悠香とお茶を飲んでいた。

「あなた、このたびは驚きましたね。

 あの子にあんな力が宿るなんて。

 さすがのあなたも少し慌てたように見えました」

「さすがにあんなに早く一瞬で跳んでこようとは思っていなかったからのう。

 ただ跳んでくる方向はわかったので何とかそれには備えられたがな」

「あれで以前のスピードなら大変な技になりますね」

「そうじゃなあ。跳ぶ前のスピードを維持できれば誰もかわせないであろうなあ」

「これでしばらく、百合の可愛い笑顔を見えるし、

 一緒に修行する私達も若返りますね」

「そうじゃのう、今回も楽しみが多い。

 ちょうど翔君にも太極拳や大陸の奥地で獲得した仙道を伝授できるいい機会じゃ」 

 

(つづく)