はっちゃんZのブログ小説

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2023-01-01から1年間の記事一覧

10.捜査5(令和獅子党1)(第8章:占い死)

最後は政党本部の幹部についての調査だった。令和獅子党本部内のロッカー裏に待機させていたクモ助に誰も見ていない時を見計らって木村千種党首の毛皮の中と筆頭秘書の中野海里のハンドバッグの底へ小さなオナモミ型盗聴器を仕込ませた。筆頭秘書の中野海里…

9.捜査4(シシトー神の館へ潜入)(第8章:占い死)

警部たちが帰って真美の念写した写真を調べているが、遼真には何か釈然としないことが多かった。やはり危険だが『シシトー神の館』へ潜入して捜査する必要があった。夜のうちに『シシトー神の館』のビルの近くへ移動し、朝6時頃の人のいない時間帯に先ずは…

8.捜査3(東アジア平和会)(第8章:占い死)

遼真が丹波篠山で事件を探っていた頃と同じ頃、警視庁迷宮事件係(通称|038《おみや》課)宮尾徳蔵警部と小橋光晴刑事は、刑事部屋の中でいつもの様に出涸らしのお茶を飲みながら話している。「宮さん、最近あの二人に会う機会がないですね」「二人?ああ、…

7.霊査3(旧宍戸家鷹の部屋)(第8章:占い死)

廊下の一番奥の長男の鷹の部屋は、綺麗に掃除されており机と椅子くらいしかなかった。机の一番上の引き出しには、真ん中に綺麗に折りたたまれた分厚く白い布とその下に並べて置かれた白い長さ約20センチほどのちょうど両端が関節状の節のある骨状の物が入っ…

6.霊査2(旧宍戸家夫婦、鷲と鈴女の部屋)(第8章:占い死)

囲炉裏のある居間を出て各部屋へ入って行く。残された家具などで何となく誰の部屋なのかがわかった。母親の鶴の部屋には、古い小さな箪笥や卓袱台が残されている。それらからは、若い夫婦の穏やかな楽しい生活から子供の生まれた喜びの日々が伺えた。しかし…

5.霊査1(旧宍戸家の居間)(第8章:占い死)

翌朝、前日夜にコンビニで買ったサンドウィッチを食べて、遼真は身体へ『身代わり護符』を貼っている。これは悪霊からその姿を見られた時に、悪霊の目に映る姿が、実の本人とは異なる姿にできる符であった。仮に攻撃されても最初の1回は、その攻撃を防ぐこと…

4.捜査2(宍戸家情報)(第8章:占い死)

宍戸家は渋谷駅前のタワーマンションの最上階のフロア全てを購入し住んでいる。遼真は真夜中に慎重にバトルカーからドローンを飛ばして昆虫型盗視盗聴器のテントウムシの天丸とクモ助2号を庭へ降ろした。天丸でビル外部の窓から、クモ助は室内へ侵入させて…

3.捜査1(シシトー教団)(第8章:占い死)

藤波幹事長が倒れた翌日に京都の祖父より「シシトー教団」を内密に調査するよう指示があった。ただし注意する点として、直接相手と会わない様にして調査せよとのことだった。理由としては、今までの調査段階において、直接相手に会った調査を依頼した探偵に…

2.選挙演説(第8章:占い死)

馬場元総理がテロリストに襲撃され亡くなってから3年経った夏のある日。その事件が話題にも上らなくなった現在の日本では、「衆議院選挙」に突入し、都内を数多くの選挙カーが走り回っている。駅前や商店街の広場で多くの政治家が立ち合い演説をしている。…

1.テロ(第8章:占い死)

ある夏の夕方、政権与党である皇国民主党の馬場健太元総理が、新人候補への応援演説中、テロリストに襲われる事件があった。場所は渋谷駅前の忠犬ハチ公前広場。 忠犬ハチ公の像の近くで小さな演台へ立ち、明るい笑顔を立ち止まる聴衆へ向け、彼のトレードマ…

17.レッドシャーク団との戦い3、そして瑠海の鎮魂(第7章:私の中の誰か)

遼真が霊滅で小瓶に潜んでいる『アフリカ大陸の悪霊』を消滅させている時、赤城の身体が、徐々に大きくなり豹魔人の身体へと変わっていく。遼真としては赤城へ『豹の精霊』の力がどれくらい憑依しているのかが不明だった。仮に長い間その精霊を使役して、精…

16.レッドシャーク団との戦い2(第7章:私の中の誰か)

拳銃の発砲音と同時に紅凛は、副首領のディック高橋とクリス松本の部屋へと近づいていく。部屋の中からは二人が起きて準備している音が聞こえてくる。『黒狼にしては、えらく派手だねえ。催眠ガスが効かないかねえ』『もしかしたら人を操ると言っていた術が…

15.レッドシャーク団との戦い1(第7章:私の中の誰か)

※これからは残酷なシーンがありますので注意してください。 『レッドシャーク団』の幹部の男女4人と数名の組織員は、東京湾に停泊しているとある東南アジアの国の小型コンテナ船へ隠れていた。夜中に偶然上田のユーチューブを観たクリスが急いで赤城へ連絡…

14.霧派始動(第7章:私の中の誰か)

ある夜、紅凛《あかり》と黒狼《くろう》と遼真と真美は、上田邸の近くに居た。広い庭に数頭いた番犬もいつの間にか眠らされている。寝室へ流された睡眠ガスで上田の両親が深い眠りについた頃二人は動き始めた。寝室内の天丸からの画像を確認して、普通に玄…

86.秋の道東旅行3(摩周湖・屈斜路湖にて)

まだ十分に陽も昇らない内にホテルを出発する。今日のコースは計画より時間が早く進んでいるため最初に摩周湖を入れた。屈斜路湖付近の摩周湖・硫黄山・砂湯・美幌峠で観光し屈斜路プリンスホテルで泊まる予定である。最初に行く「摩周湖」と言えば歌にもな…

13.霧派桐生紅凛と黒狼の登場(第7章:私の中の誰か)

京都の祖父、狐派頭領令一から連絡があった。一族で話し合った結果として最終的に、この事件の顛末は表には出さずに闇に葬ることとし、霧派と狐派共同でこの事件を解決することになったとのことだった。霧派は、桐生一族の中で表には出ず暗殺や誘拐などを主…

12.捜査3(ハングレ組織、狂次の情報)(第7章:私の中の誰か)

遼真は、上田の捜査を殆ど終えハングレ組織『レッドシャーク団』の捜査に入った。この組織の事務所は、瑠海の記憶にあった大きな倉庫の中にある。やはりこの倉庫の登記は『GDコーポレーション』という関東でも有数のヤクザ組織『外道組』の物件だった。奴ら…

11.捜査2(上田の情報)(第7章:私の中の誰か)

瑠海へ偏執していた男の名前は、「上田武知也」。25歳無職。警視庁幹部の息子。上田の実家は吉祥寺駅から少し離れた場所にある大きな屋敷だった。その広い庭には3頭のドーベルマンが番犬として放たれている。恵理那が話した上田の警察官に捕まった話や調書の…

85.秋の道東旅行2(阿寒湖湖畔にて)

阿寒湖の湖岸にいるたくさんの観光客が目に入って来る。本日の宿泊ホテルの「ニュー阿寒ホテル」へチェックインして荷物を預けて外出する。先ずは「阿寒湖遊覧船」へ向かう。ちょうど出航する時間で定期便航路一周約18キロ85分コースのチケットを買い乗り込…

10.捜査1(友人恵理那)(第7章:私の中の誰か)

遼真は、瑠海の和御魂と荒御魂から念写された多くの写真を見ながら捜査に入った。瑠海の事件は、転落現場付近に監視カメラも無く普段人通りも少ない場所で目撃証言も瑠海を見つけたサラリーマンだけだったため、警察では転落事故として処理されているらしい…

9.霊査3(木村瑠海の悲しみ3)(第7章:私の中の誰か)

粉雪の舞う冬のある日、主治医の先生から父母へ「あの、実はあるご提案があるのですが・・・」「!!!先生、何ですか?もしかして瑠海が助かるのですか?」「いえ、残念ながら、もうそれはありません」「・・・???」「実は、お嬢さんがこのカードを持っ…

84.秋の道東旅行1(丘珠空港から阿寒湖へ)

北海度ではお盆も過ぎ朝晩も涼しく感じてくるとそろそろ街の人々も紅葉シーズンの訪れを意識するようになる。道庁前の広場では例年通り北海道内にある市町村の特産品展が開催されている。いよいよ海川山大地のあらゆる食材の旨味が深くなる季節の訪れだった…

8.霊査2(木村瑠海の悲しみ2)(第7章:私の中の誰か)

その男は、古い大きな倉庫の中に居た。倉庫の大きな扉には「GDコーポレーション」と会社名が書かれている。その中は広く奥には部屋や机や椅子があって、机や椅子の周りには釘の打ち込まれた角材やバットなど危ない物が転がっている。一目見て柄の悪そうな恰…

7.霊査1(木村瑠海の悲しみ1)(第7章:私の中の誰か)

幼い舞華を苦しめていた荒御魂を宿し黒く変色した人形《ひとがた》”は、現在、祈禱所内でも慎重に何重もの結界を張った場所へ安置している。遼真と真美は帰宅すると慌ただしく祈祷所へ入った。今回の荒御魂は恨みなどの負の感情のみで出来ているため、その荒…

6.舞華の笑顔(第7章:私の中の誰か)

遼真はすぐさま浴室へ入り水垢離をして身を清め、祈禱所では智朗さんと一緒に” 荒御魂分離修復術”の準備を進めていく。やがて遼真から真美へテレパシーで『真美、こっちは準備できたよ』と伝えられた。真美の部屋の香炉には、今朝から心を沈静させる成分が入…

5.臓器の記憶(第7章:私の中の誰か)

ここで移植された臓器が本当に記憶を保持しているかどうかであるが、これは都市伝説ではなく実際に研究もされているし、世界でも数そのものは非常に少ないものの実際に報告されている現象である。 臓器移植と記憶に関しての興味深い論文と事象に関して、イン…

4.舞華の悪夢(第7章:私の中の誰か)

夜が徐々に更けて行き、真奈美のお友達の真美が泊まることで大喜びで色々と遊んだ舞華の瞼が重くなってきた。でも楽しい時間を少しでも過ごしたい舞華は頭を振ってでも起きている。しかしその努力も空しく、とうとううつらうつらとし始めた。真奈美がそっと…

3.真美の友人の悩み(第7章:私の中の誰か)

都内でも有名な私立女子高校へ通う真美には多くの親しい友人がいる。その中の一人に医師の父を持つ工藤真奈美がいた。彼女には難病で幼い頃から入院している末の妹がいる。妹の名前は、|舞華《まいか》。年齢は7歳。|舞華《まいか》は、難病の”特発性心筋症”…

2.多摩湖の桜吹雪(第7章:私の中の誰か)

前回と同じように多摩湖関連の神社へ参拝し、多摩湖に着くと、以前の様にボートへ乗って二人で湖の真ん中へと進む。やがて二人の乗ったボートの周りに霧が立ち込め始める。そっと水面へ日本酒を注ぎ込む。「おお、遼真に真美、久しぶりだな。うーん、これは…

1.遼真の背中(第7章:私の中の誰か)

迷い里事件で受けた真美の額の傷も癒え、よく見ないとわからない様な小さな痕だけになった。毎日徐々に陽射しが暖かくなり、神社の木々にも若芽が芽吹き、街の花壇の中にも小さな花々が顔を出し、道路沿いの桜も芽吹き始めている。そんな春の日々、遼真はこ…