はっちゃんZのブログ小説

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2023-01-01から1年間の記事一覧

5.遼真覚醒、そして母は(第6章:母と共に)

母の肩から流れる血が遼真の額に滴り落ちた時、遼真の瞳が明るく大きく金色に輝き始めた。「明王様、何卒母様を守るため私に力をお授けください」と叫んだ。途端に魔物の首に紐が絡んだ様な跡が入り始めた。遼真の念力だった。『グッ、グワッ』魔物は首に手…

4.襲撃(第6章:母と共に)

やがて社殿正面の深い白い霧の中から『ペチャ、ペチャ』濡れたヒレで歩く音が聞こえてくる。その数は1匹や2匹では無かった。そしてその音が消えた。八重は急いで多くの霊糸を周りの空間へ張った。八重の心臓の鼓動が早くなった。遼真の見ている風景が脳裏へ…

3.深き淵に潜むモノ(第6章:母と共に)

それは川の深い淵に潜んでいた。それは己の解放された森への何者かの接近が感知できた。すぐに水面を使って、神社の手水舎から森にある神社の境内を見つめた。そこにいたのは、己に危害を為す可能性のある力を持つ母子であった。それはこの母子の顔を覚えた…

2.怪事の始まり(第6章:母と共に)

最近日本中で地震が増えて来ている。以前の阪神淡路大震災や東日本大震災ほどではないが、毎日の様に日本のどこかでグラグラと揺れており、地震についてテレビで報道しない日は少なかった。今まで少なかった北海道西部や青森県西部、京都付近もたびたび揺れ…

1.遼真と母(第6章:母と共に)

桐生遼真は、2002年春、東京都目黒区にある神社の長男として生まれた。父の名前は、桐生龍司《りゅうじ》、母の名前は八重《やえ》。父は狐派次期頭首候補であり、父母ともに多くの特殊能力を持っていた。 遼真は生まれた時から身体も大きく母八重の母乳をた…

9.遼真の後悔(第5章:真美を救え)

桐生一族京丹波家狐派頭領の令一は、石像とその根元の悪心坊が埋めた木片を共に京丹波家の方へ持って帰った。萩原マリコは、事件に関する記憶を消して部屋まで送って行った。マリコの部屋の中は、既に子供のいた痕跡は無かった。その後、風の噂で萩原マリコ…

8.すみれ、決別の涙、そして(第5章:真美を救え)

自縛陣に横たわるマリコの側に、すみれの霊魂が心配そうに立っている。母親の元に行きたくとも自縛陣の中へは入れなかった。じっと母親の姿を見ている。「ママ、どうしたの?」「・・・?」「わたしは、すみれよ、ママ、ママ・・・」すみれはすでに気付いて…

7.十字路の悪霊(埋められた呪詛)(第5章:真美を救え)

猿野花(さのか)の霊へ「4人の人間の命と引き換えにお前の子供の命は蘇る」と伝えた法師の正体は、夢乃さんの術で明らかになった。その男は、”悪心(おしん)坊”と名乗る鞍馬山を訪れた修験者の一人だった。”悪心》坊”という男は、金持ちと見れば何やかやと…

6.怨霊、猿野花(さのか)の物語(第5章:真美を救え)

白猿がさらってきた女性マリコは、高い木の枝に不安そうに座っている女の怨霊が憑依している女性マリコへ頭領の令一は、“遠当て”を使った。『ハッ』マリコの身体が強くはねて、胸に子猿の像を抱いたまま突然意識を無くして落下してきた。一族の者が数名下で…

5.白猿(びゃくえん)との戦い(第5章:真美を救え)

『きゃあ、あっちに行って。こっちに来ないで。いやー』突然、真美から悲鳴が送られてきた。『真美、どうした?』『赤い涙を流した怖いおばちゃんが私に入ろうとしてるの』『えっ?真美に?』『いやー・・・』『真美、真美、どうした。返事しろ』それ以降、…

4.遼真、真美を発見(第5章:真美を救え)

遼真は、確実に強くなる真美の痕跡を探りながら鞍馬山の麓へ着いた。その痕跡は登山道から離れ”獣道”へと続いている。頭から尻まで白い鬣《たてがみ》を持った妖怪猿はこのコースを移動したようだ。だが、ここまでくるともう”獣道”を歩く必要もなく、今居る…

3.萩原マリコの物語(第5章:真美を救え)

マリコは、滋賀県と福井県の境に近い小さな貧しい村で生まれた。家の近くの小さな林の中で、一人で遊んでいる時、誰か知らない優しそうなおじさんにお菓子を貰ってそのあとに『怖くないからね』と言われて下着を降ろされ、局部をずっと優しく撫でられて快感…

2.遼真、出発する。(第5章:真美を救え)

遼真は一度家に戻り書置きをして、リュックサックに携帯電話、守り札、地図、磁石、飲み物、食べ物や二人分の雨具を詰め、愛車である自転車”龍星《りゅうせい》号”といつも使っている木刀の愛剣”龍尾《りゅうび》”と共に家を出た。先ずは真美がいつも遊んで…

1.事件発生(第5章:真美を救え)

ある事件が新聞の第一面を飾った。「謎、真夜中の十字路で少女死亡」事件の詳細は以下、名前:萩原すみれ年齢:4歳場所:京都市内猿塚公園横の十字路死亡時間:午前0時から5時の間発見時状況:早朝5時、十字路の真ん中に路上に横たわっており、 パジャマ…

11.迷い里、道切村での戦い3(第4章:迷い里からの誘い)

その時、「自縛印」いつもの真美の声が響き渡った。妖怪の身体を巻き付けた遼真の身体を中心に白い逆三角形が浮かび上がった。「真美、大丈夫なのか?無理はするな」「いえ、さきほどは私の未熟な技のため、ご迷惑をお掛けました。 遼真様、真美はもう大丈夫…

10.迷い里、道切村での戦い2(第4章:迷い里からの誘い)

遼真は一人で戦う腹を決めた。大妖怪『囁き女』の力は強い。今までの様な戦い方では勝てないと思った。 一瞬でも『囁き女』の注意を逸らす必要があった。遼真はバトルヘルメットからバトルカーへミニミサイル発射を指示した。このミニミサイルは、戦車程度な…

83.美波の初恋の終わり

ある日、慎一が家に帰ると珍しく美波が戻ってきている。 部屋から静香が顔を出して 「あなた、おかえりなさい。お疲れさまでした」 「あれっ、美波が帰ってるの?こんな日に珍しいね」 「ええ、私にちょっと話があるんだって。 雄樹も夏姫も今日は早めに眠っ…

9.迷い里、道切村での戦い1(第4章:迷い里からの誘い)

今までこの世で彷徨《さまよ》う魂や悪霊をあの世や神界へ送ってきた遼真と真美だが、今回は魂の所在が見つからないため、その技、送霊術を使えなかった。ただ黒い魔物がいつ出てくるかわからないので先ずは、いつもの様に真美が人骨の山全体を『銀環力(自…

8.迷い里、道切村へ侵入(第4章:迷い里からの誘い)

道切《みちきり》村の情報をある程度集めた遼真達は、次の満月の夜に合わせて準備を整えた。いよいよ1月18日、今夜は満月『ウルフムーン』と言われている。ウルフムーンとは地球から最も遠く見た目も小さい満月のことである。月の力としては一番弱い時期では…

7.霊査5 天山 聡氏の場合3(第4章:迷い里からの誘い)

新妻のエリとの夢のような日々がしばらく続いた。最初のうちは痛がっていたエリも、毎日の様に身体を合わせたこともありだんだんと感じるようになり、身体も気のせいかふっくらとしてきている。身体を合わせた後は、エリの瞳にはなぜか涙が溢れている。 月の…

6.霊査4 天山 聡氏の場合2(第4章:迷い里からの誘い)

ある満月の夜、天山が長距離の仕事から都内へ帰って来た時、突然真っ白い霧に包まれた。目の前に古いトンネルが現れて、スピードを落としてその中へ入って行く。そこから出ると灯りもない古い村が現れた。天山は村の突き当りまで行き、トラックから降りた。…

5.霊査3 8月23日運転手天山氏の場合1(第4章:迷い里からの誘い)

天山 聡(61歳、運送業)の調査に入った。天山の霊も事件現場には居なかった。現場辺りにいる霊に聞いても、フラリと居なくなったと言っている。とりあえず自宅へ訪問すると、玄関に疲れた顔の妻のめぐみが出てきた。仏間に案内されて仏壇を見ると、天山は仏…

82.転勤の打診

8月最終日の業務も終わった時間、慎一は支店長から食事へ誘われる。この支店長は、慎一と同じ旧銀行、関西中央銀行出身の3年先輩である。慎一の最初の教育係でもあって、慎一の実力を買って札幌に呼んだのも彼であった。そして慎一はその信頼に十分に応えて…

4.霊査2 7月25日事件犯人浜口の場合(第4章:迷い里からの誘い)

浜口 厚(35歳、無職)の調査は、ユーチューブ画像があるわけではないので調べられなかった。そこで犯人の生前に住んでいた部屋を調べることとした。長い間部屋に住んでいると、その住人の残留思念が残っているからだった。その残留思念から何かを探ることは…

81.道央旅行5(朝食とラフティング、ヤギの郵便屋さん)

昨日に一番の目的だった「雲海」は見ることが出来たので今朝はゆっくりと眠った。朝食は、『レストラン ミカク』の予定だった。ここは予約ができないため部屋から移動した。この店は、朝食のみしか営業しておらず、トマム ザ・タワーに内にある和食に重きを…

3.霊査1 6月26日事件犯人木村の場合(第4章:迷い里からの誘い)

遼真は、6月26日に横断歩道上で突然、包丁を振り回して暴れ、歩いていた歩行者3名の首筋、腹部を包丁で抉り殺し、犯行後、自ら頸動脈を切り自殺した木村羅詩亜(らしあ)(30歳、ユーチューバ―)から調査に入った。木村は一人でマンションに住んでおり、隣の…

80.道央旅行4(ミナミナビーチと夕食)

アクティビティの事務所へピクニックセットを返して部屋に戻り、少しベランダからゆっくりと景色を楽しみ、次のアクティビティーへと移る。次のアクティビティーは『ミナミナビーチ・木林の湯』である。この『ミナミナビーチ』は、明るい日差しが差し込む全…

2.迷い里伝説(第4章:迷い里からの誘い)

遼真は色々と起こっている事件について京都の師匠と相談した。師匠は、唯一逮捕当時生きていた被疑者の証言の”どこか知らない古い村を彷徨っていた”という言葉が気になっているようだ。過去の文献を確認すると平安時代からこの話は一族に伝わって来ているら…

1.無差別殺人事件、悲惨な事故の発生(第4章:迷い里からの誘い)

ここ半年の間、無差別殺人事件及び悲惨な事故が新聞紙上を賑わせている。それを知らされた国民はそれらの不幸が、いつ自らの身に襲い掛かるかわからないと不安な心持ちになっている。 事件日時:6月26日 16時被疑者:木村 羅詩亜《らしあ》(30歳、ユーチュ…

11.事件の顛末(第3章:みいつけた)

夜に権禰宜の智朗が明日から学校の始まる夢花を迎えに来た。夢花は両肩に乗って来たキインとクインのキスをして部屋を出て行った。あと残された仕事は、誘拐された赤ちゃんを無事に両親へ返すこと石碑の人々を無事霊界へ送ることの二つである。両親に返すこ…