はっちゃんZのブログ小説

スマホの方は『PC版』『横』の方が読みやすいです。ブログトップから掲載されています作品のもくじの章の青文字をクリックすればそこへ飛びます。

80.道央旅行4(ミナミナビーチと夕食)

 アクティビティの事務所へピクニックセットを返して部屋に戻り、
少しベランダからゆっくりと景色を楽しみ、次のアクティビティーへと移る。
次のアクティビティーは『ミナミナビーチ・木林の湯』である。
この『ミナミナビーチ』は、
明るい日差しが差し込む全面ガラス張りで館内は常に30℃以上の常夏の温度で維持されており、
日本最大級30m×80mのウエーブプールを備えたインドアビーチである。
その他、日本最大級の「インドアウェイブプール」や、水深30cmと浅い「お子様プール」、露天風呂「木林の湯(温泉ではない)」も併設されているウォーターリラクゼーション施設と言われている。
館内ではその他のアクティビティーもあるようだった。
全員水着に着替えて簡単な服を羽織って部屋を出る。
雄樹はプールと聞くと大喜びで「早く、早く」と叫んでおり
夏姫は「プール?夏姫は美波姉ちゃんと一緒にいていい?」と少し不安気だった。
美波が「いいよ、姉ちゃんと一緒に遊ぼ」と言うと嬉しそうに笑っている。
着替えの下着やバスタオルなどは静香がカバンへ詰めて持っていく。
プールに着くとすでにたくさんの家族が楽しんでおり多くの笑顔が見える。

『ウエーブプール』
日本最大級30m×80mの造波プールで平行波タイムと荒波タイムがあって、
行波とちょっと大きめの荒波タイムがある。
『子どもプール』
水深30cmのお子様用プールで多くの子供達が遊んでいる。
雄樹と夏姫は最初は『子どもプール』に入り遊んでいたが、
雄樹は早々に『ウエーブプール』の方へ走って行く。
「お父さん、こっちで泳ごうよ。僕、もう泳げるんよ。見て見て」と手を繋いで引っ張っていく。
「おうおう、そうか、じゃあ、行こうか」
「夏姫はまだここにお姉ちゃんといる」
「そうね。夏ちゃんはここで遊びましょう」
「そうか、わかった。お父さんは雄樹と大きなプールに行ってくる」
「父さん、早く早く」
「わかった、わかった」
雄樹は『ウエーブプール』に着くと最初は奥から迫ってくる大きな波に驚いていたが、
とりあえず浮き輪を借りて中に入れると大きな波に揺られて上下するのが楽しそうだった。
それを夏姫が見て「あれなら私も大丈夫かな」と美波に話している。
雄樹は波の上下にも慣れて、浮袋を夏姫へ渡すと、
今度はそのまま大きな波の中に入って行き、
「大きな波が来てもジャンプすれば大丈夫だよ」と笑っている。
行波が来始めると水泳教室で習っている泳ぎをし始めて
「お父さん、見て見て。もう泳げるんだよ。見て見て」と大喜びだった。
夏姫は隣に立っている美波へ
「姉ちゃん、大きな波が来ても夏姫も大丈夫だよ」と話しかけている。
大きなプールの端では『SUP Enjoy Park』が行われている。
このスポーツは、ハワイで人気のSUP(サップ)で、ボードの上に立ってパドルで漕ぐ新しい水上スポーツである。デビューからビギナー以上の方まで楽しめることができるようで、多くの若い人が波の上で立って漕いだり、自由にブイの間を移動して楽しんでいる。
その他『ウォーターライン』もある。
これは水の上に張られたスラックライン、長さ30mのウォーターラインを常設していて、水上1mに張られた幅5cmのラインを渡るアクティビティである。
そしてもう一つ『スラックライン』もある。
これはヨセミテ国立公園のクライマーがトレーニングとして始めたものらしく、まあ簡単に言うと「綱渡り」である。テンションを張ったラインの上でバランス感覚や集中力を養い、上級者になるとラインの上で、ジャンプや宙返りなどの動きで楽しむこともできるらしい。

夏姫の隣で美波に変わり静香が立って、『SUP』を始めた。
初めての経験なので美波はそっとボードの上に立ってパドルで漕いだ。
大きな波が来ると途端にグラグラと揺れるのですぐに水面に落ちてしまう。
しかし、運動神経の良い美波は、徐々に水面に落ちなくなり、自由に動ける様になった。
「姉ちゃん、すごいすごい」と子供達は大喜び。美波も嬉しそうに笑っている。
「雄ちゃん、ここに座ったら?」と言って、ボードの端に座らせて進む。
雄樹はボードに立とうとして揺れて二人が落ちてを繰り返して笑っている。
やがて水が苦手だった夏姫もそれに加わり始めた。
「お母さん、お父さん、夏姫もお水に入れるよ」と嬉しそうだった。

慎一は先ずは『ウォーターライン』に挑戦した。
結構細い板の上をそっと歩いていくが、ついついバランスが崩れて水面に落ちる。
美波も最初は同じだったが、2回目からはすぐに落ちなくなった。
雄樹はそれを見て「僕も一緒にする」と言い始め、
最初はすぐに落ちていたので慎一が横に手を繋いで歩かせた。
やがて両手でバランスを取ることを覚えるともう落ちなくなった。
夏姫は雄樹の仕方を見てからゆっくりと挑戦し始め、最初から落ちずに半分まで渡った。
静香は子供達が落ちるであろう付近に立って様子を見ている。

次に慎一は『スラックライン(綱渡り)』に挑戦した。
太いヒモの上を歩くのだが、これは一歩目から水面へ落ちた。
美波も挑戦したが同じで、ヒモが左右に大きく揺れるのでなかなか歩くことが出来なかった。
雄樹は横で慎一が手を持って二三歩ほど歩けたがヒモが左右に揺れて水に落ちた。
どちらかと言うとプールに落ちるのが面白い感じで笑いながら雄樹は落ちている。
夏姫は恐る恐る慎一の手を持って渡ったが、意外にも家族で一番長く歩くことができた。
他のお客さんも同様に大笑いしながら水に落ちている。
慎一はテレビでやってた様にすごく長い棒を持てば何とか渡れそうだがとは考えたが無かった。
そんなアクティビティをこなしていくうちに疲れたのでカフェに入り休憩した。
その後、お風呂代わりに『木林の湯』へ向かう。
ここは湯とはなっているが残念ながら温泉ではない。
雰囲気としては森に囲まれた露天風呂で、そのデザインは北海道を代表する花「ラベンダー」「ひまわり」「はまなす」がモチーフになっていて、自然に溶け込んでいる。
男同士でゆっくりとお風呂をと思ったが雄樹がそれを許さなかった。
お風呂にサウナへと何度も移動して若干ヘトヘトになりながら部屋へ戻る。

 その日の夕食は『ビュッフェダイニング hal』に予約を取っている。
このレストランは、「雄大トマムの森」や著名な建築家の安藤忠雄氏の作品である「水の教会」を見渡せる開放的なガラス張りの店内で、贅沢な風景と料理が楽しめる上に、店内の一角ではシェフが選定した旬の食材を客の目の前で仕上げている。料理は、前菜、メイン料理、パスタ、デザートなども用意されており、まるでコースディナーのような体験ができると紹介されているため非常に楽しみだった。
予約席に着いて、先ず慎一と美波は子供達を料理のテーブルへ連れて行って子供達に好きな料理を選ばせながら、一緒にビュッフェ料理の中を歩いて全体を確認した。北海道ならではの海の幸を中心に肉、魚、加工品、野菜などの料理が並んでいる。
子供達は食べなれているパスタ、カレー、ジュースを選んだ。二人はプレートを落とさない様にそっと歩いている。喫食テーブルへ戻り、係員へビールを注文して、今度は慎一が料理を取りに行く。その後席に戻ると今度は静香と美波が、目を輝かせながらいそいそと並んで料理テーブルへ歩いていく。慎一は子供達の食べているのを見ながらビールを飲んで料理を堪能していった。しばらくすると楽しそうに静香と美波は魚料理を中心に皿へ盛って戻ってくる。
子供達の料理があらかた終わったところで、今度は子供達にデザートとフルーツを選ばせるために連れて行く。子供達は小さなケーキやフルーツ、チョコフォンデュやアイスクリームをお皿へ入れている。
二人は大好きなものばかりなので大喜びで、大事そうにそっとテーブルへ歩いている。
そこで慎一は今度「ウィスキーの水割り」を注文して、肉料理コーナーへと向かう。
慎一が肉のつまみを多めに盛って席へ戻ると美波がコーヒーやデザート三人分取りに行く。
静香はチョコやクリームで口周りを美味しそうにした雄樹と夏姫の世話をしている。
ネットではこのレストランの朝食で『特製フレンチトースト』が人気らしい。
みんなお腹が一杯で幸せな気持ちになって部屋へと戻る。
その夜は「花火大会」があって、ベランダから目の前に開く夜空の花を見上げた。
ベランダの長椅子の真ん中に美波が座り、
左隣に雄樹を膝に座らせた慎一が、右隣に夏姫を膝に座らせた静香が並んだ。
その花火の興奮もやがて治まり、朝にファームでピクニックに
昼からミナミナビーチと一日中遊んだ子供達はすぐに眠りへと落ちて行った。
大人三人も同様に早めに夢の世界へ滑り込んだ。