はっちゃんZのブログ小説

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2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

3.真美の友人の悩み(第7章:私の中の誰か)

都内でも有名な私立女子高校へ通う真美には多くの親しい友人がいる。その中の一人に医師の父を持つ工藤真奈美がいた。彼女には難病で幼い頃から入院している末の妹がいる。妹の名前は、|舞華《まいか》。年齢は7歳。|舞華《まいか》は、難病の”特発性心筋症”…

2.多摩湖の桜吹雪(第7章:私の中の誰か)

前回と同じように多摩湖関連の神社へ参拝し、多摩湖に着くと、以前の様にボートへ乗って二人で湖の真ん中へと進む。やがて二人の乗ったボートの周りに霧が立ち込め始める。そっと水面へ日本酒を注ぎ込む。「おお、遼真に真美、久しぶりだな。うーん、これは…

1.遼真の背中(第7章:私の中の誰か)

迷い里事件で受けた真美の額の傷も癒え、よく見ないとわからない様な小さな痕だけになった。毎日徐々に陽射しが暖かくなり、神社の木々にも若芽が芽吹き、街の花壇の中にも小さな花々が顔を出し、道路沿いの桜も芽吹き始めている。そんな春の日々、遼真はこ…

5.遼真覚醒、そして母は(第6章:母と共に)

母の肩から流れる血が遼真の額に滴り落ちた時、遼真の瞳が明るく大きく金色に輝き始めた。「明王様、何卒母様を守るため私に力をお授けください」と叫んだ。途端に魔物の首に紐が絡んだ様な跡が入り始めた。遼真の念力だった。『グッ、グワッ』魔物は首に手…

4.襲撃(第6章:母と共に)

やがて社殿正面の深い白い霧の中から『ペチャ、ペチャ』濡れたヒレで歩く音が聞こえてくる。その数は1匹や2匹では無かった。そしてその音が消えた。八重は急いで多くの霊糸を周りの空間へ張った。八重の心臓の鼓動が早くなった。遼真の見ている風景が脳裏へ…

3.深き淵に潜むモノ(第6章:母と共に)

それは川の深い淵に潜んでいた。それは己の解放された森への何者かの接近が感知できた。すぐに水面を使って、神社の手水舎から森にある神社の境内を見つめた。そこにいたのは、己に危害を為す可能性のある力を持つ母子であった。それはこの母子の顔を覚えた…