恵山岬からは北上して内浦湾を右手に見ながらひたすら進む。
ネットでは、この内浦湾は渡島半島の基部東岸、室蘭市のチキウ岬及び駒ヶ岳北東麓の岬に囲まれた、直径約50kmのほぼ円形の海域で湾口の長さは約30kmである。別名として噴火湾ともいわれる。この「噴火湾」という別名は、1796年に当地を訪れた英国の調査スループプロビデンス号のブロートン海尉が、内浦湾がほぼ円形な事と、周囲を取り囲む北海道駒ヶ岳や有珠山などの火山を見て「これは Volcano Bay だ」と語ったことに由来するといわれている。しかし、その後の調査で内浦湾にはその陥没に見合うだけの噴出物が分布していないので、カルデラに海水が進入してできた地形ではないかと言われている。遠浅の湾であるため、サケ、イカ、カレイなどがよく獲れるほか、ホタテガイの養殖が盛んらしい。地図やチキウ岬から見ても綺麗な円形の湾だったので本当に噴火後のものだと考えていた慎一だったが、自然に出来た地形であることに逆に驚いた。
駅弁のイカ飯の森町を過ぎ、カニ飯で有名な長万部町を過ぎ、洞爺湖町を目指す。
ロープウェイに乗っている時間は、昭和新山山麓駅から有珠山山頂駅までの6分間だった。
説明板には、有珠山の形成などについて記載されている。
有珠山は、標高737mの活火山で山頂は有珠郡壮瞥町にあり、山体は虻田郡洞爺湖町、伊達市にまたがっている。支笏洞爺国立公園内にあり、周辺地域が洞爺湖有珠山ジオパークとして「日本ジオパーク」「世界ジオパーク」に認定されている。
約2万年前に洞爺湖をかたちづくる洞爺カルデラの南麓に有珠山が形成され、その後噴火を繰り返し年月かけて成層火山となったが、約7千年前に山体崩壊が発生し、南側に口を開けた直径約1.8 kmの馬蹄形カルデラが形成された。 その結果としてカルデラ外輪山の中に、大有珠(海抜737 m)、小有珠などの溶岩円頂丘や、オガリ山、有珠新山(669 m)などの潜在円頂丘が形成されている。20世紀の100年間で4度も噴火活動が観測されたほどの世界的に見ても活発な活火山である。
有珠山山頂駅からは複雑な形の山頂を持つ多くの円柱丘が林立する有珠山、今にも噴火しそうな赤茶けた山肌の昭和新山、静かな洞爺湖の湖面、蝦夷富士と呼ばれる羊蹄山の一望できた。
ロープウェイを降りて、昭和新山へ向かう。
その観光エリアにあるレストランで昼食を取る。
目の前に迫る白い煙らしきものを纏うまだ若い火山を見ながらの食事だが
慎一は山の情報が非常に気になった。
この火山は、昭和18年のある日、青い麦畑から地震と爆発音とともにふくれ上がり、4ヶ月の爆発、その間刻々と隆起する大地、地球のエネルギーは地底で固まった粘性の強いデイサイト溶岩を押し上げ、398mのベロニーテ型(現在では「隆起型」と言われている)火山を出現させたらしい。
熊牧場に入る前に、買い物コーナーを見ていると『生で食べるトウモロコシ』と幟が上がっている。トレイに置かれている白いトウモロコシの試供品を食べると、非常に糖分量が高く、柔らかく繊維も気にならなかった。
慎一は初めて生でも可能な白いトウモロコシを食べたため、感心して神戸の実家と仙台の義母用にそのトウモロコシと夕張メロンの詰め合わせを贈ろうと考えた。
(つづく)