子供達の足元もしっかりとしてきたので遠出をしてみることにした。
函館市では例年「港祭り」が8月1日から5日間にわたって開催されると聞いた。
荒天の場合を除いて初日の8月1日に「大花火大会」が催されるらしい。
銀行の福利厚生の一環で勤続年数の長い社員は、まとまって長期休暇を取るように言われており、慎一は一段落着いた頃を見計らって休暇を取ることとした。
ネットで調べていると、「函館港まつり」の大花火大会の翌日から
津軽海峡を越えたお隣の青森県でも「ねぶた祭り」が始まることに気がついた。
ここは一気に楽しもうと慎一は早速に予定を組み始めた。
全体的な流れとしては、
8月1日に函館、2日に青森市内観光とねぶた祭り、3日は午前中海底駅見学後、午後に函館市観光と湯の川温泉で宿泊、4日は帰り道の観光地に寄りながら札幌へ移動することとした。
美波に打診をすると『夏休みなので大丈夫』との返事で付いて来るようだ。
強行軍だが5日は日曜日なため身体を休めることができる。
それに青森は今後、春の桜のシーズンを予定しているので今回は1泊で十分だった。
8月1日朝に自宅を出て、札幌南ICを目指す。
道央道に乗り一路函館方面へ向かう。
道央道からは前方にのどかな太平洋を望む。
千歳辺りまで来ると右側に
山頂の形が特徴のある樽前山と風不死岳が顔を出してくる。
朝日に照らされているせいか以前支笏湖から眺めた山とは趣が異なっている。
そこから道路は右方向へ流れていく。
左側には太平洋の景色が続く。
やがて登別の標識を越える頃、天気が良ければ海の向こう岸に駒ケ岳が見えてくる。
ちょうどここら辺りが行程の半分くらいだった。
次の登別室蘭ICで降りて『地球岬』へ向かった。
海岸へ突き当たり、右折して室蘭街道を道なりに岬へ向かう。
室蘭街道沿い翔陽中学校を左折し、
道道919号線へ入り大和通を通過し曲がりくねった道を進んでいく。
トッカリショ海水浴場を越えて、地球岬観光道路へ入る。
夏休みのせいか多少混んでおり車列で駐車場の空きを待った。
子供達も目が覚めたようで窓から外を興味深そうに見ている。
やっと駐車場へ乗り入れてベビーカーに乗せて灯台まで出発した。
美波がベビーカーの担当を買って出てくれた。
この地球岬という観光名所は、高さ100mの断崖絶壁が14kmも連なる一角にあり、チキウ岬灯台は海抜約130mの先端に建っている。このチキウ岬灯台は日本の灯台50選にも選ばれた八角形の白亜の灯台で綺麗だった。
案内板を見ると1920年に点灯を開始したらしく、もう100年近くも活躍している。
そして、展望台は灯台より高い場所、海抜147m地点に設置され、2つの展望スペースと台が設置してあり、晴れた日には下北半島や駒ヶ岳を望むことが出来るようだ。
「クジラやイルカが見えるかなあ」という子供の声が聞こえてくる。
どうやら運が良ければ、内浦湾を泳ぐクジラやイルカを目にすることもできるらしい。
展望台からの景色、
それはその名前の通り「地球」の丸さ、大きさを実感できる水平線、
視界の幅すべてに真っ青な「地球」が息づいている。
宇宙に浮かぶ地球の真っ青なイメージがそのままに目に入ってきた。
みんなが鳴らして喜んでいる「幸せの鐘」で水平線をバックに記念写真を撮って、
その光景を目に焼き付けながら駐車場へ戻る。
駐車場にある売店で地元の名産品の
「カレーラーメン」「室蘭焼き鳥(実は豚串)」「ツブ貝の串焼き」
を買ってみんなで分け合って小腹を満たした。
(つづく)