はっちゃんZのブログ小説

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114.首都を防衛せよ1

今日は久々に急ぎの仕事も無く、

翔と百合はゆったりした気持ちでくつろいでいる。

いつものようにクライアントが来る前は、ソファに並んでテレビを見ている。

テレビでは、世界1周クルーズやアジアクルーズの番組が放映されている。

「翔さん、クルーズっていいね」

「そうだね。

 でも長い時間、船の上で何もする事がなさそうだから若いうちは退屈かも」

「そういえばそうね。

 じゃあ、二人がおじいさん、おばあさんになったらいいでしょ?」

「うん、そうだね」

「じゃあ、約束よ。ずっと先のお話だけれど、すごく楽しみ」

翔は百合の焼いたクッキーを食べながらニュースに見入っていた。

 

その時、緊急ニュースが入ってきた。

国籍不明の漁船団が

日本海にある日本領の小島付近へ集合しはじめているとの事だった。

顔付きはアジア系のようだが、どの国かは特定できなかった。

海上保安庁もその小島へ急行し、日本領外へ出て行くようにアナウンスしている。

そのうち、その漁船団が一斉にその小島へ向かい上陸し始めた。

海保隊員が上陸を阻止するも、多勢に無勢で次々と上陸している。

多くの海保艦艇が集合し、海保隊員が彼らを検挙しようにも

武器を持って抵抗してくるため、検挙できないまま多くの者が上陸している。

 

その時、領海に沿って国旗のない軍艦らしき姿が見え始めた。

3隻であった。

海保艦関係者からは、

『近隣国家の軍艦に似たものを見たことがある』との発言もある。

海上自衛隊へ確認の連絡をしているが、まだ確認ができていないと報道されている。

不思議なことに領海線から日本領海内へは入って来ずライン上に沿って北上している。

海上自衛隊は、イージス艦1隻と護衛艦3隻を派遣し

小島とその軍艦の間で待機している。

その謎の軍艦の目的が明確でないため、また国籍不明のため、

また領海侵犯をしていないため、

日本政府は何も出来ずただ見守るだけだった。

 

マスコミは

「不明船の目的が明確になるまでは日本政府は何もするべきではない」

「小島に上陸している不明国民を逮捕すると攻撃されるから止めた方がいい」

平和憲法があるのだから自衛隊は日本へ明確な攻撃があるまで動くべきではない。

 勝手に動けば我々は自衛隊が戦争を引き起こしたと糾弾する」

憲法9条があるから戦争は起こらない。事を大きくする必要は無い」

「どこかの人間が小島に上陸したからと言って騒ぐのはおかしい。

 これを機会として政府は憲法改悪をするつもりの自作自演ではないか」

「こんなことより、友加学園の忖度文書の方が問題だ。政府の横暴を許すな。

 政府は説明責任を果たすべき」

「日本国民は友加学園の解明を望んでいる」と大手新聞の誌面を飾っている。

(つづく)