はっちゃんZのブログ小説

スマホの方は『PC版』『横』の方が読みやすいです。ブログトップから掲載されています作品のもくじの章の青文字をクリックすればそこへ飛びます。

65.雪遊びとさっぽろ雪まつり

正月休みは雪の降り積もる北海道神宮へ初詣をし、
いつものように境内の左右にある露店商でポテトやアイスを買って食べながら帰って来た。
そしてお昼からお酒を飲んでゆっくりとして過ごした。
慎一と静香夫婦は今までスキー経験が無かった。
本当は本格的に習ってみたいのだが、
子供達がもう少し大きくなるまでの辛抱と夫婦で話し合っている。
昼間はホームセンターで買った子供達用のソリを持って近くの公園へ行き、
小さな雪山になっている高い部分から滑って遊ばせた。
雄樹は、楽しそうにソリを持って雪山の上まで歩いて上がって滑った。
夏姫は、『とうたんと一緒に』と膝に座って滑った。
それを見た雄樹も『僕も』と催促してくる。
大人と一緒に滑るとスピードが早くなるのでより楽しいようだった。
しばらくすると遊具の近くで大きな雪だるまを3人で作った。
子供の身体と同じ高さの雪だるまを作り、手や足や顔を付けた。
次にお家用に小さな雪だるまを作った。
二人とも一心不乱に雪を丸めてそっと頭を乗せている。
二つの雪だるまが出来たので家へ帰ることにした。
夏姫を肩車して、
雄樹をソリに乗せて雪の積もる歩道を曳いて帰る事にした。
雄樹は嬉しそうにソリの乗って周りを見回している。
夏姫も何度も振り返って手を振って笑っている。
マンションに着くと、
すでにベランダから見つけていたのか静香が玄関へ出て来ている。
二人はソリに乗せた自分の作った雪だるまを母親へ持って行く。
「あらあら、可愛い雪だるまを作ったわね。
 二人ともすごいわ。
 じゃあせっかくできたのに溶けたら困るので
 雪だるまさんはベランダに座ってて貰ってね。
 みんな、寒かったでしょ?
 おぜんざいを作ってますから一緒に食べましょう」
「ゼン・ダイ・・・食べる」と雄樹
「デンザイ、食べる」と夏姫
「さあ、それは楽しみだ。
 父さんはソリを片付けてから部屋に戻るからね」
とソリを片付けるために地下室のトランクルームへ向かった。
片付け終わって部屋に入ると
香ばしい餅の焼けた香りとぜんざいの甘い匂いが漂ってくる。

冬の北海道は全エリアで雪関連の行事で盛り沢山だ。
札幌市では「さっぽろ雪祭り」が2月上旬から中旬にかけて開催される。
その同じ時期に小樽市では「小樽雪あかりの路」が開催される。
その他近隣では、みんなで行った「支笏湖氷爆祭」や美波の行った「層雲峡氷爆祭」、「旭川冬まつり」など各町での雪まつりがある。

美波は地元の『小樽雪あかりの路』へ友人と行くそうで札幌には来ていない。
慎一達は『さっぽろ雪まつり』へ出掛けた。
土曜日の夜は大きなイベントがあるため午後から大通公園へ向かった。
既に多くの観光客がいっぱいで凍った雪道の上を滑らないようにヨチヨチと歩いている。
雪の経験の無い外国人と思われる人達はやはり滑って転んで笑っている。
慎一も子供を抱っこしているので転ばないように注意して歩いた。
道端には多くの屋台が出ており、
子供達が好きな『揚げイモ』『じゃがバター』を買った。
『揚げイモ』
大きなカリッとしたホットケーキの生地で包まれたジャガイモが串に刺さっている。
拳くらいの大きさで子供は1個で満足している。
『じゃがバター』
蒸かしたじゃがいもからホカホカの湯気があがり黄色いバターがトロリと溶けている。
寒い時にはホクホクのジャガイモが一番。笑顔がこぼれます。

通路のいたるところでずっと
『止まらないで下さい。逆回りはしないでください』とアナウンスされている。
自衛隊や企業が作った見上げるような大きな雪像から
市民が作ったと思われる2メートルくらいの高さのものまで
長い公園にところ狭しと飾られている。
昼間のため雪像をゆっくりと見ることができる。
雪像には精一杯作った人の思いが詰まっているように感じた。
家族で作った雪像は、子供達の喜びにあふれている。
外国人グループが作った雪像は、
芸術性にあふれたものも多く、作成している彼らの笑顔が輝いている。
降り積もる雪で隠れた雪像を雪を払って直している人もおり、
手がとても冷たそうだったが心から祭りを楽しんでいる。

さっぽろ雪まつり』は、
1950年が初めての開催で、札幌市内の中高校生が美術科教諭の指導の下に6基の雪像と元国鉄管理局が祭りに合わせて、札幌駅前に雪像を作ったものだった。
雪像の作成イベントは、1954年(第5回)から市民制作の像が加わり、
次に陸上自衛隊、商社、市の出張所が加わり、
現在のように様々な参加者による多数の像が並ぶスタイルが定着した。
この祭りが有名になったのは1972年の札幌オリンピックの時で世界的に雪まつりが紹介され、これ以降海外からの観光客も目立つようになり、その後国際親善を目的として海外都市の派遣による「国際雪像コンクール」も始まった。

暗くなってくると「ホワイトイルミネーション」が大通会場全体を照らし始める。
子供達のお腹を少し空いてきたみたいなので、焼きトウモロコシを買った。
イルミネーションに照らされた美しい雪像
雪で作られたステージ上で芸能人やお笑い芸人などのイベントが開催されている。
老若男女がじっとステージ上を見つめている。
歌あり笑いありで寒い中であっても時間の過ぎるのが早かった。
子供達が眠くなり始める時間なので家へと帰ることにした。
家に帰り子供とお風呂に入って
テレビを見ながらゆっくりとしていると
今日一日歩いて疲れたのかもう子供達がウトウトし始めた。
子供達を寝かせている間、慎一がコーヒーの準備を始めた。
静香がニコニコ笑いながら戻って来た。
「あなた、今日はすごく楽しかったわね。
 雪まつりって本当に綺麗よね。
 子供達も大喜びで明日も雪だるまを作るんだって」
「そうだろうな、しかし子供は元気だね」
「そうね、でも子供は元気がなによりね。やっぱり札幌っていい街ね」
「そうだな。食べ物も美味しいし空気も綺麗だし人も暖かいよね」
その夜は子供達に邪魔されないため、久々に夫婦の熱い交流があった。