はっちゃんZのブログ小説

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2019-01-01から1年間の記事一覧

97.特訓6(浅間別荘編6)

反対側の崖へ跳んだ二人は恐る恐る足元を見て、 お互い顔を見つめて、 抱き合った姿勢のまま しばらく反対側の滝つぼの崖の上に佇んでいた。 「翔さん?もしかしてこれがテレポーテーション?」 「うん、そうみたい」 「熊ってこんな近くにいたのね。 すごく…

48.函館観光2

函館山からの夜景を見て、 その光景を惜しみながらも急いでホテルへと向かう。 夜景観光を念頭に遅めの夕食を予約しているので食事が楽しみだった。 今夜宿泊する「湯の川プリンスホテル渚亭」は、 露天風呂付きの和室で今までのホテルとは違っている。 温泉…

3.秀峰大山へ(改)

『小料理屋さざなみ』で気持ち良く飲んで眠った翌日、自然に目覚めたのは正午手前だった。 朝昼食兼用でトーストとコーヒーとサラダをニュースを見ながら食べた。 ベランダからは、『秀峰大山』が花曇りの空を背に際立って見える。 掃除しながらここ一週間の…

2.「さざなみ」初来店(改)

明日から久しぶりの大型連休で十連休となった。 4月は年度初めであり、融資部全員一丸となって高い目標で動いたが、 残念ながらいい成績は出なかった。 連休前の4月27日夕方は、職場の同僚もソワソワしている。 恋人や家族との旅行を控えた人が多いようで 口…

1.赴任(改)

「次は米子、よなご」 慎一は軽く背伸びをして手元にある人事異動通知書を見た。 人事異動通知書 高松支店融資部 日下 慎一 殿 関西中央銀行本店 人事部長 清水 英雄 貴殿を平成8年4月1日付で山陰支店への異動を命ずる。 岡山駅を11時過ぎに発車した特急やく…

96.特訓5(浅間別荘編5)

翌日も朝のトレーニングで「母の白滝」付近に来た時、 百合が滝つぼ付近の崖に綺麗な花を見つけて立ち止まった。 翔は『先に行ってるね』と声を掛けて戻っていく。 神社を回り別荘への分かれ道を通り過ぎた頃、 振り返るとマリンブルーに太い白いラインが数…

47.函館観光1

宿泊したラビスタ函館ベイの前を通過し、「金森赤レンガ倉庫」に着いた。 ネットでは、この倉庫は明治期に建てられたもので、現在倉庫群を利用したショッピング&食事スポットとして人気と書いてある。確かに多くの観光客が歩いており、祭り期間中でもありど…

95.特訓4(浅間別荘編4)

この一帯は山間部のせいか朝が遅い。 二人が眠りから覚めてもまだ暗い。 やがていつもより弱く揺れるような光が差し込んできた。 カーテンを開けると 富士山が昇る朝日に照らされ、 山中湖湖面に反射し その光が窓から差し込んできている。 二人はいつものロ…

46.青森から函館へ-竜飛海底駅-

ねぶた祭り2日目の朝、JRで青森駅から函館駅へ向かう途中、 「竜飛海底駅」に降りて観光することにした。 見学時間は2時間30分。 駅に到着し、車掌さんが非常コックを使いドアを開け、 緑のジャケットを着たガイドさんに続いて観光客は降りる。 ホームに降り…

94.特訓3(浅間別荘編3)

ビールで咽喉を潤してしばらく休んだ二人は、 いつものように鍛錬の時間に移った。 二人は別荘の外へ出て庭で鍛錬を行った。 一時間ほどして百合が夕飯を作りに別荘へ入っていく。 翔はたっぷりと2時間掛けて柔軟から格闘訓練まで行い、 全身が汗でびっしょ…

45.ねぶた祭り4-祭り本番-

ねぶた祭りについては、青森ねぶたオフィシャルサイトの紹介では以下である。 七夕祭りの灯籠流しの変形であろうといわれていますが、その起源は定かではありません。奈良時代(710年~794年)に中国から渡来した「七夕祭」と、古来から津軽にあった習俗と精…

93.特訓2(浅間別荘編2)

今回は別荘に行く前に「河口浅間神社」へお参りし この度の特訓がうまく行くように必死でお願いした。 この神社は安産や良縁の神様だが、百合との事や様々なお願いの一つにした。 館林家の別荘は「河口浅間神社」と「母の白滝」の間の道から少し入った高台に…

44.ねぶた祭りへ3-青森観光2-

「三内丸山遺跡」を後にして「棟方志功記念館」へ向かう。 近隣のパーキングに車を停めて記念館へと入って行った。 棟方志功氏は、『おれは日本のゴッホになる』と言って有名になった、 板画家で20世紀の美術を代表する世界的巨匠の一人とされている。 青森…

92.特訓1(浅間別荘編1)

このたび事件で偶然とはいえ、 翔は初めて意識して『跳ぶ』ことができて驚き半分、嬉しさ半分だった。 今までは絶体絶命の時にしか跳べず、その場所も百合の近くだった。 しかし今回は思った場所をイメージして跳ぶことができた。 これをいつでも使えるよう…

43.ねぶた祭りへ2-青森観光1-

ナビに「三内丸山遺跡」と入力して出発する。 青森駅から大体15分くらいの場所にある。 青森駅から浪館通りを南西に進み、青森県総合運動公園の北側を道なりに進み、 県立美術館建設予定地を過ぎると遺跡が見えてくる。 【三内丸山遺跡】は、昨年より特別史…

91.遺族の恨みは晴れるのか17

翔は横たわっている『ネコ男』の元へ急いだ。 機械部分が完全に壊されたわけではないため、 人間部分と獣人部分があり暴走しかけている。 身体はネコではなく『タテガミのある獅子』の特徴を有している。 鋭い牙のある口が苦しげに開かれ、呼吸が荒くなって…

42.ねぶた祭りへ1-青森へ移動-

朝ご飯のあと、ゆったりとしてからチェックアウトして、 函館駅近くのパーキングに車を停めて荷物をまとめる。 函館駅から青森県に上陸して青森駅まで向かうつもりだった。 函館駅構内は港祭りの観光客でごった返している。 子供達をベビーカーに乗せて静香…

90.遺族の恨みは晴れるのか16

その時、屋敷内から華田社長の声が響き渡った。 「早くそいつを殺せ。その後にお前達の願いは全て聞いてやる」 「さあ、いくよ」 「グワッ」 「・・・」 「ネコ、返事をしなよ」 「・・・」 「まあいいや、あんたはそこでこいつと私たちの戦いを見とけばいい…

89.遺族の恨みは晴れるのか15

そこから無言の戦いが始まった。 拳と筋肉が『ガツン』『バチン』と当たる音と 二人の呼吸音と裂帛の気合のみが庭に響いている。 全身筋肉のような獣、地上最大最強の獣、ヒグマに獣人化した人間だった。 敵はもう人間のような言葉は発せない。 太い幹をも折…

41.函館港まつり5-ホテルの朝食-

花火が終わり、部屋へ戻って子供達をそっと和室の布団に寝かせると コーヒーでも飲もうと言うことになった。 部屋のテーブルには豆のまま小分け包装されたコーヒーと 電動ミルとペーパーフィルターが備え付けられている。 人数分のコーヒー豆を電動ミルに入…

88.遺族の恨みは晴れるのか14

京一郎の解析によるとこの男の後頭部の管は、脳の旧皮質へ連結されており、 薬剤は旧皮質の活動を選択的に高めるものだった。 旧皮質分野での個人的特性の高い素質を特化して強大化することにより 身体の筋肉及び骨格まで影響を及ぼせることがわかった。 ジ…

40.函館港まつり4-花火大会-

夕食後部屋でゆっくりとしているとそろそろ花火大会開演時間が迫ってきた。 窓から会場方向をのぞくと、既に倉庫前の花火の上がる方向は席取りがされていて、 町のあちこちからぞろぞろと地元の浴衣姿のお年寄りや若い人も集まってきている。 慎一は一足先に…