「竜飛海底駅」に降りて観光することにした。
見学時間は2時間30分。
駅に到着し、車掌さんが非常コックを使いドアを開け、
緑のジャケットを着たガイドさんに続いて観光客は降りる。
ホームに降りると夏にも関わらず涼しい空気が流れている。
本坑から直角の建設されている若干薄暗い連絡誘導路へ移動していく。
ホームは480メートルと、東京駅の新幹線ホーム(410メートル)よりも長く、
最大編成の新幹線(17両)の停車にも耐えられるように建設された。
ベンチが並んでいる場所でガイドさんから見学ツアーのスケジュール説明を聞く。
ホーム誘導路の駅名プレートが目に入った。
白地に大きくひらがなで「たっぴかいてい」その下に漢字で「竜飛海底」、
その下に緑地の両矢印へ「←Tappi-kaitei→」、
最下段に「つがるいまべつ よしおかかいてい」と印刷されている。
普段は駅名プレートをしみじみと見る趣味はないのだが、
今回は初めてじっくりと見ていると、何となくここは津軽海峡の海底の駅、海面下140mもの深さにある駅なんだという実感が湧いてきた。
これより作業坑側に進む先にあるホームへの誘導路には、コンクリートの厚みが側面30cm 床面20cmであることが壁面に印字されており、その先にある連絡通路内に設置されている金属製の棚へ荷物を預けた。
ふと見上げるとトンネル上部には電線や空気ダクト、水道管などがひしめきあっている。
やがてケーブル斜坑の入り口が見え、そこからは壁がそれまでコンクリートだったものから吹付コンクリートの壁に変わっている。
吉岡海底駅に繋がっている通路もあるそうで、以前は歩いて吉岡定点まで行くイベントも行われていたようだが現在は行われていないようだ。
このまま避難所がある左側に進むとトンネル内で湧出た水を地上に配水するポンプ設備が見えた。平常時は常に1台が稼働しているとの説明で、常時強烈な水圧と染み出てくる水との戦いがあることに気がついた。
毎分排出される水量が約20000リットル。ポンプで排水された水は、ほとんどが海に流されますが、その一部は龍飛地区小水力発電所で発電に使われ、この水は海水と地下水(淡水)が混じった汽水ということで、チョウザメやヒラメ・イトウの飼育をする試験が行われていると説明された。
避難所に到着。ここにはトイレと公衆電話と更衣室が設置されている。
避難所を奥に進むと、頑丈な防風扉が見えてきた。奥にもう一つの扉があり、強い風が発生しないように簡単なエアロック状態となっている。
2つ目の防風扉を通過すると竜飛海底駅外のエリアとなり、青函トンネル記念館の地下展示施設・体験斜坑が展示されている。記念館に飾られている多くの写真は工事中の写真で工事の苦労や技術について細かく解説されており、体験斜坑コーナーでは、トンネル掘削で利用した機器や説明パネルなどが展示されている。
ここまで来ると「地上部へ出る竜飛斜坑口」とのアナウンスがあった。
青函トンネル竜飛斜坑鉄道のケーブルカー「もぐら号」に乗り込み地上を目指す。
乗り心地は、振動が激しく、ピコンピコンと警告音が絶えず流れ、騒がしかった。
窓から眩しい光が差し込んで地上の青函トンネル記念館駅にたどり着く。
地上駅はコンクリートの建物で、記念館の外からは津軽海峡が見える。
自由時間は約40分で、残念ながら竜飛岬まで行く事は出来なかった。
記念館には青函トンネルや使った機器などの説明展示をしており、慌しく見て回った。
すぐに集合時間が来て、ケーブルカーに乗り込み、再び海底駅、ホームへと向かった。
慌しい見学ではあったが、当時の最高技術を目にすることができたこと。
多くの人々の力が結集されてできた奇跡の工事であったことが理解できた。
しばらくすると帰りの特急白鳥が到着し、見学客は全員乗り込み函館駅を目指す。
函館駅周辺の3日目のみなと祭りを楽しむ人達に交じり、
屋台などで簡単なお昼ご飯を食べて乗車する。
先ずは五稜郭を目指したが、道路も駐車場もいっぱいで動けない状態だった。
五稜郭はまた別の機会にと考えて車で見ることのできる観光地を考えた。
(つづく)