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はっちゃんZのブログ

スマホの方は『PC版』『横』の方が読みやすいです。作品のもくじの章の青文字をクリックすればそこへ飛びます。

33.間違い電話

小説1:さざなみにゆられて-山陰編-

兄が実家に帰って来て、だんだんと話すようになると

幸恵は兄の枕元に壊れた携帯があったことを思い出した。

仕事上の事は全く心配する必要がないのでそのままにしようかと思ったし

兄に聞いても特に困っていないと言うばかりなのでそのままにしていた。

 

ある夜、ふと兄の部屋に行った時に見た写真立てを思い出したが、

兄に聞いても「???」の状態で何の返事も無いのでそのままにした。

土曜日に自分の携帯電話の調子が悪いついでにショップへ行き

兄の携帯も見てもらった。

ほとんど完全に壊れているので買い換えた方がいいと言われたが、

番号を変えるのも困るだろうと思い、番号を変えずに新しい携帯電話に変えた。

 

兄がリハビリに言っている時に、携帯電話が鳴った。

「はい、日下です」

「えっ?・・・いえ・・・何でもありません」

『???・・・今の電話・・・間違いだったのかしら・・・』

子供を迎えに行く時間が近づいて来たのでその電話のことも忘れてしまった。

 

静香は息が詰まりそうになった。

驚きのあまり発作的に携帯電話を切ってしまった・・・

慎一の携帯電話に女性が出たからだった。

声の感じからして彼と年が近いと思われた。

 

彼ともう1か月以上連絡がつかなかった。

今日は土曜日だから、もしやと思い電話を掛けたのだった。

そして、やっと繋がったと思ったら彼の携帯電話から

「はい、日下です」

静香はその瞬間、知ってはいけないものを知ったようなショックに襲われた。

これが連絡のつかなかった理由だったと思った。

今の瞬間、家に美波がいなくて良かったと思った。

視界が涙でぼやけてくる。

胸に大きな穴が空き北風が吹き込んでくる。

あの時の彼の言葉が蘇ってきて胸がすごく痛くなった。

『やはり』の思いは強かった・・・

(つづく)