読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

はっちゃんZのブログ

スマホの方は『PC版』『横』の方が読みやすいです。作品のもくじの章の青文字をクリックすればそこへ飛びます。

8.テロ教団から都民を救え!1

小説2:『武闘派!』なのに、実は超能力探偵の物語

『ピンポーン』

二人はまたもや飛び上がって、ぴったりとくっついた頬も離れた。

今度は依頼人のようだ。

「は、はい、少々お待ちください。

 今、外出から帰ったものでこのような格好で失礼します」

奥の部屋で百合がビジネススーツに着替えている。

百合が事務所へ戻ると同時に翔が着替えに入った。

ゆっくりとキスする間もなく、二人に慌ただしい日々が戻ってきた。

 

【依頼内容】

依頼人氏名:伊藤孝子様。35歳。

依頼人状況:主婦

種類:外国人による車の当たり屋被害

経過:信号で止まる前、横断歩道手前で外国人が車に身体をぶつける。

   それを理由に小銭、1回5から10万円をたかりに来る。

   その場で示談をしたことで警察は介入できず。

   依頼人は憔悴しており、恐喝行為が長期間となる可能性と恐喝行為が、

   家族や自宅周辺へ及ぶ可能性を危惧して依頼となった。

調査方針:当たり屋の調査。

     もし恐喝詐欺罪が適用できるようであれば証拠を持って警察へ届けるまで。

 

 まずは、東京都生活アドバイザーが発行している当たり屋被害の警告文書や

通学路車両進入事件の概要をネットで検索し被害者の状況や加害者の情報を集めた。

現在、都内では新宿付近で発生しており、都内全域へ広がる気配があるようだ。

アジア系を中心に不法外国人が当たり屋をしており、彼らは集団で行動している。

事故時点で車を囲まれ逃げる事ができず、免許証を取り上げられ、

その場示談以外は不可能な状況に置かれるらしい。

仮に警察が来ても当たり屋が『痛い痛い』と転げまわり、

救急車を呼ばされる羽目になり、病院に着くと無茶苦茶な診断書を作成されるようだ。

どちらでも結局、家を知られ家族などの目に触れることが増えてお金を要求される。

 

『そろそろ当たり屋グループから連絡があるのではないか』との情報を元に、

まず伊藤さんがいつもお金を渡している新宿御苑西口付近に待機した。

そのうち伊藤さんから連絡が入る。

「探偵さん?今、グループから連絡がありました。

 いつもの場所へ、今から60分後に来るようにと言われました」

「伊藤さん、了解しました。あなたに危険はないので安心して下さい」

「では、よろしくお願いします」

 

取引現場ではハンチング・キャスケットをかぶった中年顔に変装した翔が、

読書している暇人を演じ、カメラ内蔵の眼鏡をかけてベンチに座っている。

この『監視メガネ(京一郎作)』は読書するふりをして下を向いたまま、

正面を映すことができ、マイクロSDカードにも記憶し、

事務所へも画像を送ることができる。

その光景は偏光ガラスとなっており正面画像は見えるようになっている。

 

犯人グループが先に来て取引現場を見張っている可能性があるため、

メガネを360度モードにして監視網を広げ撮影している。

約束の時間の30分前にどうやら外国人グループは集まってきた。

やはり、だいぶ前に来て色々と見張っているようだった。

北口側から手足に包帯を巻いたアジア系外国人らしき人間もやってきた。

なぜか愛想良く皆にペコペコしている。

しかし、5万円くらいの金額にやたら人間が多いことに違和感を覚えた。

やがて時間が来て、うつむいて怖そうにしている伊藤さんがやってきた。

頭を下げながら、その包帯を巻いたアジア系外国人に封筒を渡している。

周りにいた数人のアジア系外国人が、近くで腕を組んで二人を睨んでいる。

伊藤さんが立ち去った後、封筒は奥で一番偉そうにしている男に渡している。

 

犯人達は販売機でジュースを買っている。

声がわずかに漏れて聞こえてくる。

包帯を巻いている男はフィリピン語鈍りの片言の日本語。

リーダーらしき男は、言葉の端々に日本語以外の鈍りが入っている。

それ以外の人間は、中国語やタガログ語を話している。

ジュースを飲み終わった後、彼らは南口の方へ歩いていく。

翔は、背伸びをして読書が終わったふりをして、彼らの後をついていった。

彼らは、今度南口付近でバラバラと散って待機し始めた。

翔は彼らを追い越して南口正面の喫茶店へ入り、南口が見える席へ座った。

道路を挟んでいるがズーム機能があるので監視には困らない。

百合からイヤフォンへ『店内に怪しい人物は不在』と連絡が入った。

伊藤さんの取引からきっかり1時間後に、

別の女性があの包帯男に近づいていき封筒を渡している。

それから、犯人グループは西口方向へ移動していく。

どうやら新宿御苑の各出口を取引場所にして、1日に何周も回りお金を回収している。

被害者はお互い顔を合わすこともなく、お金を渡していくので複数とは気づきにくい。

そうなれば、元の場所には2時間後には来るので網が張れる。

その時間には現場あたりは暗くなる時間である。

 

翔は事務所に戻り、クモ型発信機(名称:クモ助、京一郎作)を準備した。

このクモ助は、体長2センチくらいで、

服の裏地や襟の裏などにすばやく移動し縫い目を切り、

繊維の中に5ミリ程度のオナモミ型発信機(別名:聞き耳タマゴ)を埋め込んで、

再度接着剤で縫い目を修復し標的から離れて手元に戻ってくる。

このクモ助を取引場所の大きな木の枝で待機させ犯人グループを待った。

やがて犯人グループが集まってきた。

翔は、カメレオンウェア(名称:隠れ蓑、京一郎作)に身を包み、

木立ちの中で忍び寄る闇に身を潜めている。

取引が始まる前にクモ助を少し下降させ準備し、取引に合わせて落下させた。

クモ助は無事リーダーらしき男の肩へ落下し、

すばやくジャンバーの襟の裏へ移動した。

繊維の中へ『聞き耳タマゴ』を埋め込み、そっと地面へと落ちた。

そして、地面を歩き無事翔の方へ戻ってきた。

ここまでくれば、追跡して送られて来るデータを解析するだけである。

 

事務所へ戻りコーヒーを飲んで、彼らが新宿御苑での仕事を終えるのを待った。

京一郎さんが設置した「量子コンピューター(Ryoko)」は、

該当者の顔を入れるだけでネット空間にある情報の中から該当者の全ての情報が検索され一瞬で出てくる。

量子コンピューター(Ryoko)」の画面には、

某アニメに出てくる『セイバー』にそっくりな、

可愛く強い目を持つ少女がじっとこちらを見つめてくる。

音声検索も可能なので非常に便利な少女型コンピューターだった。

 

リーダーの男身元はすぐに割れた。

 氏 名:金賀 大好

 年 齢:45歳

 勤務先:来光(らいこう)財団 経理課 ※来世光世会の傘下団体の可能性95%以上

 住 所:不定、※新宿の可能性90%以上

 家 族:不明、独身の可能性90%以上

 特 技:テコンドー三段

 過去の犯罪歴:詐欺罪3件、傷害罪1件

 

クモ助に繊維内へ挿入されたオナモミ型盗聴装置『聞き耳タマゴ』は、

15分間に1回だけ場所情報を発信する。

翔が新宿界隈をゆっくりと流しているとクモ助からの信号が入った。

急いで受信済み信号を発信するとクモ助から今までのデータが一瞬で送られてきた。

このデータは受け取ってすぐに「量子コンピューター(Ryoko)」へ送信した。

発信場所は、予想通り『来世光世会本部』だった。

ランクルームからステルス型ドローンを発進させ、

『来世光世会本部』の撮影を開始した。

このドローンはあらゆる波長の光線で撮影できるので、

建物の中まで細かく撮影できた。

教団を全方向から撮影して夜9時頃に今日の調査を終えた。

体長10センチの変色系大型クモ型偵察機(名称:クモ大助)2匹を

ドローンから落とし、教団の壁に体色を同化させ待機させた。

 

その夜は百合の美味しい晩ご飯を目一杯食べて、

今度こそ誰にも邪魔されず二人きりの濃厚な時間を過ごした。

やはり百合は最高だった。

(つづく)