ホテルでの夕食後美波が部屋で片づけをしている。
慎一はテレビを見ながら静香と二人でゆったりとお茶を飲んでいる。
美波は明日の昼には小樽へ戻るそうだ。
慎一はしみじみと妻を見た。
最近の静香は新婚旅行当時と違って、
さすがにお腹もふっくらとしてきている。
しかし、新婚当初の初々しさと可愛さは変わっていない。
と言うより、どんどん若返って見えると言うのが正解かもしれない。
同僚・同期からは2歳違いには見えなくて、
5歳から10歳違うように見えるらしい。
静香は自分を見つめている夫に気がついた。
「あっ、あなた来て、手を持ってきて」
「???」
「早く、今、動くわよ」
「えっ?そうなん?どれどれ・・・」
『モゾモゾ』
「あなた、この子たちがお父さんこんにちはって」
「そうなん?うーん」
『モゾモゾ』
「あっ、ほんと」
「そう、この子たちが、ごちそうさまだって」
「そうか、もう僕がわかるんだ。こんにちは」
「ふふふ、きっとあなたの声が聞こえたのよ」
何かを察知して部屋から美波が出てきた。
「お母さん、もしかして赤ちゃんたちが動いたの?」
「そうみたい、お姉ちゃんよろしくって」
『モゾモゾ』
「本当感じるわ、こんにちは。お父さん本当におめでとう」
「ありがとう美波、お姉ちゃん、よろしくな」
「うん、私も赤ちゃんたちに会うの楽しみ」
慎一は嬉しくなって、
3人と2人はコーヒーを堪能した。
夫婦二人で子供の名前を話し合った。
男の子は、この雄大な大地で育つ大樹のような男になって欲しいと考えて『雄樹』、
女の子は、夏のように明るく美しい子になって欲しいと考えて『夏姫』と決めた。
翌朝、美波に話すとそれはいいと大賛成だった。
(つづく)