はっちゃんZのブログ小説

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77.遺族の恨みは晴れるのか3

現在ネット上でまことしやかに囁かれているのは

「二人殺せば死刑になる。被害者の命は犯人の命の半分しかない」

「何人殺しても心神喪失者になれば死刑にならない」

「死刑を嫌う裁判官や弁護士の家族を殺しても死刑にならない」

「誰か殺してみたいなら死刑を嫌う裁判官や弁護士の家族だ」

という非常に非理性的な危険な論法もあった。

 

死刑の判断としては「永山基準」が有名だ。 

日本大百科全書』では以下と記載されている。

刑罰として死刑を適用する際の判断基準。いわゆる「永山事件」上告審判決において示された死刑選択の基準である。「永山事件」とは、1968年(昭和43)の犯行時19歳の少年であった被告人の永山則夫(のりお)が、米軍基地内で拳銃を窃取し、この拳銃を使用して、東京・京都・函館・名古屋で殺人、強盗殺人および同未遂を犯したという事案であった。第1審判決(東京地方裁判所判決、昭和54年7月10日)では死刑が、控訴審判決(東京高等裁判所判決、昭和56年8月21日)では無期懲役が言い渡された。そこで、この上告審判決(最高裁判所第二小法廷判決、昭和58年7月8日)において、最高裁判所が「永山基準」とよばれることになる死刑選択の基準を示すことになった。

 本判決では、「その罪責が誠に重大であって、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極刑がやむを得ないと認められる場合には、死刑の選択も許されるものといわなければならない」としており、(1)犯行の罪質、(2)動機、(3)態様、とくに殺害の手段方法の執拗(しつよう)性・残虐性、(4)結果の重大性、とくに殺害された被害者の数、(5)遺族の被害感情、(6)社会的影響、(7)犯人の年齢、(8)前科、(9)犯行後の情状等を総合的に考慮して判断すべきだとした。本判決において、最高裁判所は、こうした基準を適用したうえで、控訴審判決を破棄し、事件を東京高等裁判所に差し戻した(差戻控訴審判決(東京高等裁判所判決、昭和62年3月18日)では第1審判決が維持されることになり、差戻上告審判決(最高裁判所第三小法廷判決、平成2年4月17日)で死刑が確定した)。その後の死刑判決では、本判決が死刑選択の基準を示したものとしてたびたび引用されることになる。

なお、本判決では、上記9項目の判断要素を基本にして、被告人に不利な事情と有利な事情とを書き分け、両者について等価的に列挙して検討を加えている。そして、総合的に評価した結果として、被告人を死刑に処するのは重きに失するとした控訴審の判断に十分な理由があるとは認められないものと結論づけている。こうした判断枠組みでは、被告人に有利な事情にも十分重きが置かれており、死刑という科刑は限定的に許容されることにもなるとされる。ただし、永山基準の問題点として、裁判員制度の下で裁判員が合理的に判断できる明確な基準として機能し得ているのか、単に考慮すべき量刑事情の例示列挙にすぎないのではないのか、といった点があげられている。

 

また厚生労働省のホームページでは

心神喪失者等医療観察法』に関して以下記載があった。

医療観察法制度の概要について

心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(医療観察法)は、心神喪失又は心神耗弱の状態(精神障害のために善悪の区別がつかないなど、刑事責任を問えない状態)で、重大な他害行為(殺人、放火、強盗、強姦、強制わいせつ、傷害)を行った人に対して、適切な医療を提供し、社会復帰を促進することを目的とした制度です。

本制度では、心神喪失又は心神耗弱の状態で重大な他害行為を行い、不起訴処分となるか無罪等が確定した人に対して、検察官は、医療観察法による医療及び観察を受けさせるべきかどうかを地方裁判所に申立てを行います。

検察官からの申立てがなされると、鑑定を行う医療機関での入院等が行われるとともに、裁判官と精神保健審判員(必要な学識経験を有する医師)の各1名からなる合議体による審判で、本制度による処遇の要否と内容の決定が行われます。

審判の結果、医療観察法の入院による医療の決定を受けた人に対しては、厚生労働大臣が指定した医療機関(指定入院医療機関)において、手厚い専門的な医療の提供が行われるとともに、この入院期間中から、法務省所管の保護観察所に配置されている社会復帰調整官により、退院後の生活環境の調整が実施されます。また、医療観察法の通院による医療の決定(入院によらない医療を受けさせる旨の決定)を受けた人及び退院を許可された人については、保護観察所の社会復帰調整官が中心となって作成する処遇実施計画に基づいて、原則として3年間、地域において、厚生労働大臣が指定した医療機関(指定通院医療機関)による医療を受けることとなります。

なお、この通院期間中においては、保護観察所が中心となって、地域処遇に携わる関係機関と連携しながら、本制度による処遇の実施が進められます。

(つづく)