はっちゃんZのブログ小説

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90.遺族の恨みは晴れるのか16

その時、屋敷内から華田社長の声が響き渡った。

「早くそいつを殺せ。その後にお前達の願いは全て聞いてやる」

「さあ、いくよ」

「グワッ」

「・・・」

「ネコ、返事をしなよ」

「・・・」

「まあいいや、あんたはそこでこいつと私たちの戦いを見とけばいい。

 後で酷い目にあわせるよ。覚悟しときな」

 

二匹の獣人が同時に前方と上空から翔を襲った時、

『ネコ』と呼ばれた男は、翔の前に立ち二人の攻撃を受けた。

『ゴウ』『ガチッ』『ガキッ』と音が交差した。

片手でヒグマ男の拳を、もう片一方でフクロウ女の爪を受けた。

「ガウ」

「とうとう、私達を裏切るのかい。じゃあ死ね」

次の攻撃は直接、『ネコ男』に向けられた。

翔はその一瞬の機会を捉えて、

ベルトに仕込んでいた『薬注入君』を取り出して二人に投げつけた。

この『薬注入君』には「獣人化減弱薬」が入っている。

だが、勢いのある二匹の獣人の攻撃は、

『ネコ男』の腹部と首に加えられた。

ガリッ』

首の後ろ部分に埋め込まれた機械を狙っての攻撃だった。

フクロウ女の鋭い爪は、その鉄製部分をも切り裂き『ネコ男』は倒れた。

 

『ヒグマ男』『フクロウ女』は、

翔へ攻撃をかけようとし始めた途端、震え苦しみ始めた。

大量に注入された「獣人化減弱薬」の効果が見え始めたからだった。

二人の獣人の身体が急に小さくなり始めた。

その異変を感じた二匹の獣人が屋敷奥へ逃げようとした時、やっと警察隊が到着した。

その時、屋敷奥の土蔵の屋根が開き始めた。

社長の華田がヘリコプターで逃げようとしている。

それを阻むかのように土蔵の上空に警察のヘリコプターが到着して、

ホバリングで華田の高飛びを抑えた。

警察隊も今はもう既に人間に戻った二人の獣人を取り囲み逮捕した。

都倉警部は、急いで土蔵へ踏み込み華田を逮捕した。

(つづく)