はっちゃんZのブログ小説

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74.痴漢冤罪ビジネスの闇を照らせ9

翔は、同じフロアを各部屋の調査に入った。

フロアの一角に女の子の休憩室と法律系詐欺用員の部屋が用意されている。

壁には、本日の出動場所が掲示されている。

彼らの会話から犯罪の概要が明らかになってきた。

 

この痴漢冤罪事件のあらましは以下である。

女子高校生3名が1組で構成されており、

痴漢され係、証人係、道具係(痴漢され係の体液などの付いたものを用意している)だった。

また、同時に動く人間として弁護士の名刺を持った人間が現場近くに待機している。

事件があった時間に偶然近くにいた風を装って、

痴漢被害者の弁護士として契約し、加害者に示談に持ち込む係である。

弁護士として会社に乗り込むと言えば、大体はその場で示談に応じて終わりとなる。

仮に裁判沙汰になっても100%有罪になるので心配はない。

 

翔は都倉警部へA班出動場所を知らせ、逮捕計画を打ち合わせた。

当日、A班を大きく取り囲むように私服刑事を配置し、彼らを一網打尽にした。

それと同時に、この神田の事務所へ踏み込み証拠物を押収した。

翔が調査した隠し部屋や金庫も全て開けさせて警察は全ての証拠を押さえた。

このグループが過去冤罪にした男性全てを明らかにさせてその事実を世間に公表した。

その結果として、

痴漢の冤罪の証明を依頼されたクライアントの愛野さんは疑いが晴れて大喜びだった。

冤罪作りに協力していた女子高生は、

暴力団員からの恫喝により行われていたことと少年法のため逮捕はされなかった。

実際に彼女達は喜んでしていたとの情報はあるが立証は難しかった。

しかし、ことがことだけに結果として彼女達は退学となり高校から放逐された。

またVRの風俗店内では性行為は行われていないため違法ではなかったが、

男性へ派遣する女性の中に18歳以下の女子高生もいたため

児童福祉法違反の疑いで摘発された。

 

V班とA班の名称についてよくよく考えてみると

風俗グループがV班。Virtual Reality仮想現実で、

接点も何もない空間において相手に擬似恋愛又は性交などをさせる。

痴漢冤罪グループがA班。Augmented Reality拡張現実で、

現実世界には起こっていない犯罪を追加し、

痴漢状況を発生させ相手をその世界へ追い込む。

別名のF班は、fraud(詐欺)の意味であった。

 

これらから今後の犯罪傾向が想像もつかない世界になりそうで翔は恐ろしく感じた。

しかし、これで一般市民へ被害が及ぶと予想される

アジアの犯罪組織とも親交の深い東京最大の暴力団外道組の後継組織の

大きな資金源を壊滅させたことは確かだった。

(つづく)