はっちゃんZのブログ小説

スマホの方は『PC版』『横』の方が読みやすいです。ブログトップから掲載されています作品のもくじの章の青文字をクリックすればそこへ飛びます。

75.遺族の恨みは晴れるのか1

いつもながら目を覆うような事件やニュースが毎日のように報道されている。

一人ひとりがいつ我が身になるのかわからない時代だった。

この日本という国では、自殺者は年間3万人と言われており、

それに隠れるように毎年8万人以上の規模で行方不明の人間がいること。

その上毎年多くの人間が事故や犯罪で死亡している。

 

そんな中で最近特に目を引いた事件は、

被害者が裁判官や弁護士の関係者への殺人事件、行方不明事件や自死事件である。

裁判官や弁護士の関係者、特に妻や子供が行方を絶ち、

身代金の要求もなく死体になって発見されるか、今もなお行方不明のままとなっている。

もしかすると自死となっているが本当は異なるケースがあるのかもしれない。

被害者が殺害された時も目撃者は一切居らず、首吊り、身投げ、自動車での轢死などであった。

犯人は捕まっておらず迷宮入りの可能性が高い状況である。                         

たまに犯人が逮捕されているケースもあるが、

「誰でもいいから殺してみたかった。

   私の心の悪魔が囁いてきました」と発言している。

彼らは『心神喪失状態』として裁判を争っており、

最終的には死刑ではなく、

心神喪失者等医療観察法』に従い医療機関に入れられている。

 

そしてもう一つ気になる事実にも気がついた。

毎年発生する多くの行方不明者の中には、

凶悪な犯罪を起こしたが、明らかに本人が起こした犯罪にも関わらず

裁判において証拠不十分だったり、心神喪失状態だったとして

死刑を逃れた犯罪者、無事刑期を終えて出所してきた元犯罪者も含まれていることだった。

 

そんな時、都倉警部が事務所に顔を出して、内密にその事件への調査依頼があった。

『日本の治安維持ために何とかして欲しい』と依頼された。

まず現在被害者になっている裁判官や弁護士の過去の裁判について調査した。

共通点として、

裁判官の傾向として、

どのような残虐非道な殺人者であっても死刑を回避する傾向があった。

昨今、裁判員制度が始まり、裁判員の判断が死刑という結果になっても

その裁判官の判断は死刑とはならなかった。

弁護士においては、

過去から『人権派』と呼ばれ、

どのような猟奇殺人者であっても、『心神喪失状態』を理由に

無罪を主張し死刑にはさせなかった。

逆にそれが彼らのセールスポイントであることは会見内容からでも明らかであった。

(つづく)