ポプラファームでの舌の幸せを反芻しながら次の目的地へ向かう。
『ファーム富田』
ここは早春から晩春まで季節の多くの花が咲き誇る有名な園である。
広い園内に「花人の畑」「倖の畑」「彩りの畑」「トラディショナルラベンダー畑」「春の彩りの畑」「秋の彩りの畑」「森の彩りの畑」「花人ガーデン」「グリーンハウス」「マザーズガーデン」と数多くの花畑が作られており、訪れる旅人の心を楽しませている。
車窓から見えるファームは様々な色に飾られた美しい丘であった。
とりあえずお昼過ぎのため、用意したおにぎりを駐車場で食べた。
関西出身の夫婦は、おにぎりの海苔は味付けされたものを好んでおり、
特に徳島県で発売されている大野のりが好きだった。
この海苔は徳島の知り合いから定期的に送って貰っている。
最初から巻かず食べる時にパリパリの海苔を巻いてかじる。
心地良い海苔をかじる音と口中で細かくほどける海苔の味と香りと甘辛さが米本来の甘さを引き出している。
園内では早春の花、アイスランドポピー、エゾヤマザクラ、ハマナス、ビオラ、ミヤコワスレが咲き誇っているが、初めて見たエゾヤマザクラの濃い赤紫色の花に目を奪われた。
母と娘は父に双子の世話を頼み、早速売店に入り、ラベンダーアイスを賞味している。
こういう微笑ましい光景を見ていると「双子母娘(ふたごおやこ)」という言葉が浮かんでくる。
3時が近づいて来たため、
今日最後の目的地の新富良野プリンスホテルに隣接した「ニングルテラス」というお土産屋エリアへ移動する。
この一角にはテレビドラマ「静かな時間」の舞台となった喫茶店『森の時計』がある。
扉を開けると「カランカラン」とカウベルが鳴った。
偶然、カウンターが開き座ることができた。
ドラマのようにお客自らコーヒー豆を手挽き出来るようで、
目の前に小さなミルとスコップに入った豆を差し出された。
客がザラッとミルに豆を入れて、ぐっと自分用ミルのハンドルを回す。
家で家族用スペシャルコーヒーを入れるときと同じようにガリガリガリと挽く。
それをネルドリップしてゆく。家ではドリップ方式なので入れ方が異なる。
さてコーヒーはと一口飲んだ。
さらりとした軽い味わいで、馥郁たる香りが広がりたちまちファンとなった。
しかし、普通はカウンターに座れないほどの混みようだとの事で何度も来ることは諦めた。
店の外に並ぶ客に急かされるように優しい味のコーヒーを味わい、
本日のドライブを締めくくった。
富良野には他にテレビドラマ「北の国から」関係の資料館や名所が点在している。そこへは次回の機会ということで帰ることとした。子供たち3人は疲れたのか深い眠りについている。
富良野駅まで戻り、空知川に沿って国道38号線を進み、芦別市を通過し滝川市まで移動し道央自動車道滝川ICへ入り札幌市へ向かった。
(つづく)