はっちゃんZのブログ小説

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73.痴漢冤罪ビジネスの闇を照らせ8

「それはそうとボス、

 最近痴漢をした男がその場から逃げ始めているってニュースになってますね」

「ああ、それで困ってる。銭になりゃあしねえ」

「そうですか。困ったものですね」

「せっかく、示談に持っていってお金にするところなのに最近は空振りが多い。

 電車の中でも両手をずっと上げて、

 イヤフォン掛けて目を瞑っている野郎ばかりになって

 商売あがったりだ。

 ネット上でも男専用車両を作れと言い始めているしそろそろかなあ」

「そんなに商売になるものなんですか?」

「ああ、駅員室に連れて行かれて警察官に渡されたら、即100%痴漢で捕まる」

「否認しても駄目なんですか?」

「ああ、逃げない限り絶対有罪にされる。

 特に女が泣き始めたら即逮捕されるね。駅員も警察官も女の涙を信じるね」

「怖え、俺、絶対に満員電車に乗るの辞めます」

「それがいい。

 痴漢で捕まった奴らは会社にばれるとクビになるから捕まったら必ず示談に応じる。

 取りっぱぐれのない仕事さ。それが」

「その場から逃げる奴が増えて取れない」

「それで困ってる。女達からも『金にならない』と文句が出てきてる」

「うーん、逃げる奴ら、敵ながらうまいと言おうか、餌の癖に生意気と言おうか」

「おいおい、誉めるんじゃねえ」

「いえ、そんなことを言ってません。すみません。許して下さい」

「いや、俺も本音はそうさ。確かにそろそろ潮時かと考えてる」

「確かに芸能人でも嘘の痴漢で逮捕させたって自慢している馬鹿もいたくらいでした

 から、それほど長い間儲けられるものではないのかもしれませんね」

「まあ、詐欺だからなあ。そろそろ当局が動くかもしれねえな」

まだ二人の会話は続いているが、これ以上のものは聞けなかった。

(つづく)