はっちゃんZのブログ小説

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14.雪のイベント

2月の北海道は、全エリアで雪の行事が盛り沢山だ。

札幌市では『さっぽろ雪祭り』が2月上旬から中旬にかけて開催される。

その同じ時期に小樽市では『小樽雪あかりの路』が開催される。

その他近隣では、『支笏湖氷爆祭』『層雲峡氷爆祭』『旭川冬まつり』などである。

 

先ず美波は地元の『小樽雪あかりの路』へと足を運んだ。

このイベントは、平成11年2月上旬の10日間、

小樽の古い街並みをキャンドルの灯火が優しく照らす幻想的なイベントだった。

夕暮れ時から小樽市内の主な会場(運河会場、手宮線会場)で開催される。

照らされるキャンドルの種類は、漁具をモチーフにした浮き玉形のものやスノーキャンドル、様々なオブジェなどでボランティアの手作業により作成され飾られている。

小樽の街のすべての場所において、このイベントへ市民が参加しているため

手作りの温かさが伝わってくるイベントで心が落ち着いてくるのだった。

 

それらと趣が異なる会場としては天狗山会場がある。

ここは小樽市の夜景を見渡せる絶好の会場で

JR小樽駅から臨時バスが用意されている。

その会場からは美しい夜景を背景に、

色とりどりの幻想的なイルミネーションが

まるで別世界のように浮かび上がってきている。

美波は何日も掛けて友達と一緒に全会場をゆっくりと回り、

各会場の趣向を凝らせたその幻想的な光景に瞳を輝かせた。

 

『小樽雪あかりの路』の次は『さっぽろ雪まつり』だった。

土曜日の夜は大きなイベントがあると聞いて、

土曜日昼過ぎに小樽市からJRに乗って札幌駅まで行き、まず大通公園に向かった。

多くの観光客が公園の凍った雪道の上を滑らないようにヨチヨチと歩いている。

雪の経験の無い外国人と思われる人達はやはり滑って転んで笑っている。

美波も転んで間違われないように注意して歩いた。

 

道端には屋台も出ており、

美波は『峠の揚げイモ』

大きなカリッとしたホットケーキの生地で包まれたジャガイモが串に刺さっている。

芳賀さんは『じゃがバター』

蒸かしたじゃがいもからホカホカの湯気があがり黄色いバターがトロリと溶けている。

他の友人はトウモロコシを頼んでいる。

ほんの一粒でもトウモロコシの風味と甘味が主張している。

 

『止まらないで下さい。逆回りはしないでください』とアナウンスされている。

見上げるような大きな雪像から

市民が作ったと思われる2メートルくらいの小さなものまで

長い公園にところ狭しと飾られている。

昼間なのでゆっくりと各雪像を見ることができた。

降り積もる雪で隠れた雪像を直している人もおり、とても冷たそうだったが

彼らの表情はどれも楽しそうで心から祭りを楽しんでいることがわかった。

 

会場は大通公園だけでなく、すすきの会場などがあるが、大通会場が有名である。

さっぽろ雪まつり』は、1950年に初めて開催され、最初は札幌市内の中高校生が美術科教諭の指導の下に6基の雪像と元国鉄管理局が祭りに合わせて、札幌駅前に雪像を作ったものだったらしい。

雪像の作成イベントは、1954年(第5回)から市民制作の像が加わり、

次に陸上自衛隊、商社、市の出張所が加わり、

現在のように様々な参加者による多数の像が並ぶスタイルが定着した。

この祭りが有名になったのは1972年の札幌オリンピックの時で、世界的に雪まつりが紹介され、これ以降海外からの観光客も目立つようになり、その後国際親善を目的として海外都市の派遣による「国際雪像コンクール」も始まった。

 

『すすきの会場』では「すすきの氷の祭典」と銘打って、

「氷を楽しむ」をテーマに、幻想的な氷像が並んでおり、

氷像に触れたり、乗ったりできて楽しかった。

イルミネーションロードと言う撮影スポットも企画されておりついつい撮影している。

拍手が起こったので見に行くと「氷の女王の撮影会」が開催されており、綺麗な女性達が立って笑顔を振りまいている。

 

夕方になると「ホワイトイルミネーション」が大通会場を照らす。

イルミネーションに照らされた美しい雪像

芸能人やお笑い芸人などのイベントが開催されて

寒い中であっても時間の過ぎるのが早かった。

芳賀さんから聞いたところによると、

この祭りは陸上自衛隊の協力が不可欠で、

札幌近隣の不純物のない純白な雪の搬入や雪まつり雪像製作に協力しているそうだ。

この会場にあるすべての雪像は、雪まつり閉幕の翌日には重機ですべて解体され、

その後にできる雪山はしばらく公園に残され、一部がソリ遊び用などに再利用されるが、札幌市内の排雪作業が一段落する頃にはなくなるらしい。

あまり遅くなるといけないので夜8時の電車に乗った。皆と来年も来る約束をした。

美波はさっそく母へ『来年は遊びに来るように』と電話をすると

なんと母から札幌への転勤の連絡を貰いとても驚いたが、少し安心した美波だった。

(つづく)