はっちゃんZのブログ小説

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23.幼い兄妹(きょうだい)の依頼 3

趙の別荘の近くに一度停車して、サイドカーに格納しているドローンで偵察した。

別荘の壁は表面上木製で、実際は芯部分にセメントが入っている。

中にいる趙の部下は5名で、子供の姿がどこにも見つからなかった。

嫌な予感がしてドローンを赤外線モードに変えて

捜索範囲を広げたが掛からなかった。

樹海の中に熱源らしきものは見えるが、小動物のものしかなかった。

翔は、別荘へ忍び込み1人1人と捕縛していった。

両手両足を布ガムテープで縛り、目部分と口部分も布ガムテープを貼った。

3人までは順調だったが、残り2人で見つかってしまった。

そのうち1人は簡単に倒せたが、

両手に長い針らしき形状の武器を持つリーダーの男とは壮絶な戦いになった。

長い針を目の部分やバトルスーツの縫い目部分を狙ってくる。

いくらゴーグルが超硬質ガラスでも限界があるかもしれない。

男が両手で襲ってきた時にその両手を掴み、

巴投げの要領で片足を使い投げ捨てると同時に両手のツボを押さえ決めたまま、

空中にいる男の腹部に両脚をのせそのまま地面へと落ちた。

男は腹部に翔の体重が掛かった強烈な踏付けを喰らい、苦しみ転げまわっている。

そっと後頭部へ手刀を入れ気絶させた。

リーダーらしき男も同様にガムテープで処置し、

先に倒した1人の口は自由にしたまま、

子供達と牙という子供達のお父さんの行方を聞いた。

父親の方は、地下倉に幽閉し拷問したためもう死んでいるとのことだった。

ここで子供たちの父親の職業は『仕事人』であることが判明した。

趙に楯突く勢力のボスに対して秘書(仕事人)を使い長年殺してきているらしい。

子供は3日前にいなくなって見つかっていないらしい。

何も持っていないので死んでいるのではないかとのことだった。

 

別荘から出ると目の前に子供たちが立っていた。

声を掛けても返事が無い。

こちらに来いとでも言うようにフラフラと歩いていく。

二人についてくと30分も歩いた頃、木の根元に眠る子供たちを見つけた。

翔が急いで駆け寄り、脈を取ったが殆ど触れていない。

急いでサイドカーに二人を乗せて救急病院へ向かった。

脱水症状と低体温状態であった。

病院へ運び込み何とか二人は命を取り留めたが予断は許さない。

(つづく)