はっちゃんZのブログ小説

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24.流氷観光3

ガリンコステーションに下船し、オホーツクタワーまで電気自動車に乗って移動する。

オホーツクタワーは波止の突端に建設されており、

エレベーターで最下層まで下りていくとヒヤリとした『海洋生物の部屋』になっている。

そこには有名なクリオネの大きな水槽があり多くのクリオネが泳いでいる。

過去の写真などでクリオネの可愛い姿ばかりを見ていた二人は、

その食事風景を見て凍りついた。

 

説明版には

クリオネは、海中に漂うミジンウキマイマイがエサでその貝を見つけると、その頭部から「バッカルコーン」と呼ばれる6本の触手を出して捕らえ、顔のような部分へ取り込んで養分を吸収します。

 

良く見ると普段はオレンジ色の可愛い顔部分が貝を飲みこんで

黒々と大きく膨らみ、全体的に獰猛なムードが漂っている。

その落差は結構なショックで二人とも顔を怖そうに見合わせた。

その他、ハコフグの稚魚の水槽もあり、

1センチほどの大きさに四角く黄色いフグが群れて遊泳している。

芳賀さんが先に歩いて行って美波を呼んでいる。

「あーん、この子すっごく可愛い、早く早く」

その子は『フサギンポ』と説明版に記載されており

 

北海道の海岸では通常に生息している魚である。

『大きな口』『プックラとしたタラコクチビル』『クルクルの丸い目』

『頭の上にイソギンチャクのようなフサ』『岩場に似たブチ模様』

二人からエサを待っているかのように

愛嬌のある顔つきで美波と芳賀さん二人へ歩カーンと口を開けて見上げている。

クリオネの衝撃を軽く吸収できるくらいの可愛さだった。

 

その後、夕方のバスの時間まで『北海道オホーツク流氷科学センター』に入った。

流氷のできる過程の展示や氷点下20度の部屋で氷漬けの魚の鑑賞や

濡らしたタオルを振り回して瞬間的に凍らせて棒状にして肩を叩いて笑った。

札幌まで雪の中をバスで移動して夜には実家に泊まった。

両親は『子供達が大きくなったら是非見に行こう』といい始めている。

父のドライブ魂に火が点きそうだが、しばらくは我慢と笑っている。

(つづく)