はっちゃんZのブログ小説

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66.痴漢冤罪ビジネスの闇を照らせ1

変な女性が出て行ったあと、しばらくすると蒼い顔をした女性が現れた。

事務所を見まわしてソファに座るがなかなか話そうとしない。

じっと待っていると、やがて意を決したように話し始めた。

【依頼内容】

依頼人氏名:愛野 信子様。

依頼人状況:夫が痴漢の濡れ衣を着せられて会社も辞めさせられそうで困っている。

      夫は家族を愛しており、仕事一筋人間なので間違いだと調査して欲しい。

      このままだと裁判で有罪にされてしまう。示談金は500万円。

      用意できない金額ではないが罪を認めたくない。

種類:痴漢の冤罪の証明

経過:帰宅途中の電車の中、目の前の女子高校生が見上げて小さな声を掛けてきた。

   よく聞こうと耳に手を当てて顔を寄せたら、その手を濡れた手でつかんできた。

   驚いて振りほどいたら痴漢にされた。周りの女子高校生の友人も証言している。

   警察の鑑定結果で主人の手に付いていた体液が証拠とされている。

   高校生が主人の手に擦り付けてきたと主張しても信用してもらえない。

 

クライアントが帰って、Ryokoに痴漢の冤罪関連の事件を検索させた。

すると驚いたことに非常に多くの電車での痴漢事件が出てくる。

冤罪被害者と思える投稿もネット上でそこここに見える。

被害者とされた女子高校生の氏名(佐渡千佳 さわたりちか)と学校名はクライアントから聞いているので検索する。

彼女は都内の名門私立女子高校に通っており、顔はLINE上から確認した。

 

学校の評判としては、お嬢様学校で良妻賢母を旨とした教育方針で有名だった。

しかし、ネット上では真贋が混ざった多くの情報で花盛りだった。

その中にJKビジネス関連の噂話も出ている。

新宿にもJKを売りとした店も多く、老若問わず男の需要が多いようだった。

RyokoにJKビジネス店での働く女の子の情報を検索したが、

該当する顔と名前はヒットしなかった。

ラインの写真から場所は割り出せたが、自宅や学校の近辺では

不審な点があれば警察にすぐに通報されやすいため相当に注意が必要だった。

十分な張り込みも出来ないので困っていた。

 

そんな中、事務所へ新しいクライアントが訪れた。

【依頼内容】

依頼人氏名:冴島 留美子様。

依頼人状況:母親(シングルマザー?)

種類:娘の素行調査

経過:ここ2ヶ月ほど娘の行動に不審な面がある。

   最近の傾向として高校2年生の娘(由紀菜)の持ち物が派手になっており、

   帰る時間も遅く、本人に聞いても何も答えない毎日だった。

   事件ではないので警察に相談できない。

   新宿あたりでよく遊んでいるので是非ともお願いしたい。

 

手元の写真を見ると、母親と並んだ明るく笑う女子高生が写っている。

早速、Ryokoに名前と顔を検索させると、ネット上で多くの写真がヒットした。

どうやら新宿のJKビジネスの店『VRホンジョ』でアルバイトしているようだ。

店の紹介では『ホンジョ』は、ほんものの女子高校生の略、

『VR』はバーチャルリアリティ(仮想現実)の略らしい。

クライアントの娘の学校も、偶然とはいえ痴漢の被害者とされた高校生と学校が同じであり、並行して調査することとなった。

(つづく)