はっちゃんZのブログ小説

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73.梅雨の晴れ間、定山渓へ1

本州が梅雨の時期は、北海道とは言えそれなりに梅雨は訪れる。

ただ本州ほど湿気もなく温度も高くなく鬱陶しい雰囲気はない。

蝦夷梅雨の晴れ間のある土曜日、慎一は札幌近郊のドライブを計画した。

今の期間にちょうど定山渓温泉郷でライトアップイベントがあり、

昼間に手前のノースサファリサッポロで子供達を遊ばせることができるからだ。

早速10時頃に家を出て石山通りを南下して道なりに定山渓方向へ向かう。

この道は何度も今まで望羊中山にある道の駅の途中なので慣れた道だった。

藤野町や簾舞町を越えて土屋リンゴ園の看板が超えた辺りから、

道路沿いにノースサファリサッポロの立て看板があり、

そこにある駐車場へ車を停めると送迎のマイクロバスに乗り込みエリアまで移動した。

 

ノースサファリサッポロ

住所:北海道札幌市南区豊滝469-1 

電話番号:080-1869-6443

HP:https://www.north-safari.com/

駐車場台数:150台(駐車場料金500円)

料金:遊び放題チケット 大人(中学生以上)   2000円(税込)

   遊び放題チケット 小人(小学生以下)    800円(税込)

   ノースサファリ温泉パック+遊び放題チケット2700円(税込)

   ノースサファリ温泉パック         2500円(税込)

   大人(中学生以上)            1800円(税込)

   小人(小学生以下)             600円(税込)

   3歳以下                   無料

 

マイクロバスの窓から北海道原生林の鬱蒼とした森が見えてきた。

やがてバスが降車場について降りると大きな看板が目に入った。

アフリカの部族の村をイメージしているような看板だった。

慎一は子供2人を左右に抱っこして、

静香は子供用の物を入れたバッグを持って

大人2人分の遊び放題チケット料金を払って園内へ入る。

子供たちは来月が誕生月でギリギリ2歳なので無料だった。

園内は大きく2つのエリアに分かれている。

ノースサファリサッポロエリア」と「デンジャラスの森」である。

 

ノースサファリサッポロエリア」

受付から入ると最初に目に入るのは

真っ赤な大きな口を開けた真っ白いライオン像である。

大きな口の下から体内へ入って中の階段を上り通路を歩いて降りる。

「ウワッ、みんな食べられちゃうぞ」

「おおきいね」

「わたしたち、たべられちゃうね」

と抱っこしている雄樹と夏姫が目を丸くして見上げている。

そこを出て通路通りに進むと

「オットセイコーナー」

「スモールアニマルコーナー」

「ツリーハウス」

「南半球エリア」がある。

子供たちは、この「スモールアニマルコーナー」で

抱っこできるウサギやハムスターに夢中になっている。

特に夏姫は、膝の上にその小さな身体を置いて背中をそっと撫でている。

カメラを向けているとその笑顔が可愛かった。

雄樹は、「スモールアニマルコーナー」も好きだったが、

しばらくすると「ツリーハウス」を覗いたり

大きなオットセイに近づき色々と動く様をじっと見ている。

「怖くないか?」と聞いても

「ううん、怖くない。目が黒くて丸くて可愛い.

 それにこーんな動きで面白い」とモノマネをして笑っている。

 

「南半球エリア」では、

入口から入ると目の前にカンガルーやペンギンやペリカンが歩いている。

子供二人は、大きなカンガルーの前では少し怖そうに抱っこして欲しい仕草だったが

ペンギンやぺリカンの前では逆に近寄って行ってじっと見ている。

慎一はペンギンは可愛い印象だったが、

目の前で見ると黒目がちだが意外に目の表情が怖い事に気がついた。

 

そこを出て通路を歩くと右側に「アフリカゾーン」。

シマウマやダチョウやブチハイエナやミーアキャット、

その奥にはアルパカやラマやヒツジ、アライグマがいる。

通路へ戻ると左側にビーバーとハナグマがいる。

ここのエリアでも柵の中ではあるが、

目の前にシマウマやアルパカやラマやヒツジがいる。

家族でシマウマやアルカパに餌を上げた。

アルカパやシマウマやラマやヒツジが争う様に目の前まで来て餌を食べるので面白かったが、

看板には”アルパカの唾吐き注意”となっている。

隣の人が子供に「アルパカの唾ってとっても臭いらしいぞ」と話しているため、

怒らせてはいけないと思い、恐る恐るアルパカには特に注意してニンジンを食べさせた。

そこを終わると” 触れ合いエキゾチック”で

3メートルもの大きな黄色いビルマニシキヘビを首に回して写真を撮っている。

珍しい経験だし色的に何か金運が付きそうなのでさっそく家族で撮ろうと依頼する。

その大きなヘビを見た瞬間、

夏姫は慎一の胸に強く抱きついて離れないし、雄樹はじっと固まっている。

「怖くないよ。大丈夫だよ。大きいけどおとなしいヘビさんだよ」

と子供達へ話しながらヘビを首に回して貰って写真を撮った。

雄樹は表情が固まっているし、静香と夏姫は怖そうな顔で写っている。

慎一はヘビの体表面の鱗によるツルツルした少し冷たい体温の感触が、

気持ちよく不思議な感覚で、

なんとなく爬虫類のペットを飼う人の気持ちを理できた感じだった。

一瞬、飼ってもいいかなとも思ったが家族の反応を見て諦めた。

どうやらこのイベントは小さなワニでもやっているようだった。

 

その奥の檻には

世界でダチョウの次に背の高い鋭い顔つきのエミュー

親子で仲良く蚤や塩を毛繕いしているニホンザルが見える。

「おっきな鳥さん」

「ちいさなおさるさんだね」とじっと見ている。

通路左側の大きな水場で遊ぶアザラシを見ながら

右側には「パロッツエリア(鳥類)」があって多くの鳥達が遊んでいる。

その左側に「ジャングルゾーン」への入り口がある。

そこにはコツメカワウソワオキツネザル、ルリコンゴウインコ、ケヅメリクガメ、シャムワニ、バクなどが放し飼いにされていて、彼らに餌やり体験もできる。

夏姫はコツメカワウソの小さい手で餌を取って食べる可愛い姿に喜び、

雄樹は小さな子供ならその背中に乗れそうな大きなリクガメの口元へキャベツを当てたり

ごろりと横になってるバクの口元へ近づき恐る恐る餌を上げている。

彼らをより近い視線で見ながらその「ジャングルゾーン」の出口を出ると

「雄と雌のライオン」と「プレーリードッグ」の檻がある。

大きなライオンがゆったりと寝転んでいる。

「ライオンさん。寝てる・・・」

「お母さんライオンもいるね」と二人はじっと見ながら父母へ話しかけてくる。

 

そろそろ時間もお昼となったので「フードコート」へ向かう。

何と”豊平峡温泉の名産のインドカリー”の店があった。

本店の情報を同僚から以前聞いていたが、

その情報では子供が小さいから無理だと思っていたものだったから嬉しかった。

大人用に「チキンカレーとナンのセット」

 数十種類のスパイスとたっぷりの玉ねぎを使用したそのインドカリーと表面がカリッとして生地が

 柔らかいナンも美味しくて癖になりそうな味だった。リピーターが多いと聞いていたがそれがわかる

 至極の一品だった。

子供用に甘い「お子様カレー」と「フライドポテト」を頼み、

追加で「あんバターナン」とドリンクはオレンジジュースとカルピスを頼んだ。

デザートは「鳥の色彩のフラッペ」を頼んだ。

 

他にも「名物キノコ汁」「オムライオン弁当」など多くのメニューがある。

例えば、通常メニューでは

「超セレブバーガー」

これは大きなバンズに『ソフトシェルクラブとトリュフ塩のカマンベール』が挟まれたバーガーで

そのままガブリと食べられる柔らかいカニが丸ごと入っている。

「高級卵かけご飯」

 これは近所にある栗山町酒井農場から採れるオレンジ色の黄身をもつ究極の卵のご飯。

「ノースドッグ」

 コッペパンにチーズインソーセージが挟まれたシンプルドック。

「骨なしチキンバーガー」

「カレーライス」

 北海道産米を使用しているホテルクオリティの美味しいカレー。

 

実は普段はなかなか食べないここでしか試せない”チャレンジメニュー”があって、

「フライドフロッグ」

 カリッと揚がったジュシ―なカエル足の唐揚げ

「ダチョウバーガー」

 スパイシーに味付けした淡白な肉質のダチョウ肉100%パティにたっぷりトマトソースで

「クロコダイルバーガー」

 ギュッと詰まったワニ肉唐揚げの甘酸っぱいチリソース味

「ミックスワーム」

 高温乾燥加工された本物の食用ワーム達、白と茶色のスーパーワームをミックス。

コガネムシスナック」

 高温乾燥加工された本物の食用コガネムシをマヨネーズで

「クロコダイルフライドアーム」

 そのままの形を残したワニの手と腕がフライドされたもの

 

お腹も一杯になったので、次は「デンジャラスの森」である。

「フードコート」から出て立札に沿って少し歩くとその森がある。

入り口を入ると目の前に「デンジャラスゾーン」の看板が・・・

“最凶生物襲来!!”となっており、その説明を読むと

写真にはワニやピラニア、ハリネズミ、ドリアン(?)とかが写っている。

こういうものが好きな慎一は、大変興味があって入りたかったのだが、

子供を抱っこしたままでは、

もしものことがあっては大変なので

もう少し子供が大きくなってからにしようと夫婦で相談をして我慢した。

 

入口から右側へ進むとキツネ舎があってそこではキツネの子供を抱っこできると書いてある。

係員の女性が狐の赤ちゃんを抱っこしているので早速申し込む。

子供たちは手を消毒して狐の赤ちゃんを嬉しそうに抱っこしている。

狐の赤ちゃんも眠っているのか静かに抱かれている。

赤ちゃんの抱っこが終わった後も消毒して手を洗った。

その理由を聞くと、キツネやイヌの糞便中にエキノコックス属条虫の虫卵が含まれていることがあるためとのことだった。

 

そこの左側にはフクロウ神社があって、

そこの後ろ側のエリアには

猛禽類のフクロウが1羽ずつ木に留まっており頭を撫でることが出来る。

別の場所にはフクロウやタカへのえさやりコーナーがある。

そのフクロウエリアの奥にはツキノワグマベンガルトラが檻に入っている。

時間的にも”トラのエサやり体験”ができたので申し込む。

太い檻を挟んでほんの少し前に大きなベンガルトラが居て、

その指の太さほどもある牙のある口に向かってトングに挟んだ小さな肉を食べさせる。

自分の鼻先に獣の息がかかる様な錯覚に襲われるほど近かった。

ツキノワグマは、以前見た登別のクマ牧場のヒグマよりは少し小さめの体格だが、

ウロウロと歩き回るツキノワグマのその人間の指ほどもある爪と牙には驚かされた。

ライオンもそうだが

トラ、クマ共にもし檻が無ければ、

そして目の前に居れば

我々人間は簡単に彼らの餌になると認識できた。

以前クマ牧場でクマを見た夜にヒグマが出てきた夢を見て目を覚ましたことを慎一は思い出した。