はっちゃんZのブログ小説

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41.お化けアパートの怪 2

何日間か待ったが一向にその怪現象は起こらなかった。

3日も経った金曜日の夜中、爺さんの部屋でじっと待つ。

爺さんは亡くなった奥さんの写真に向かって手を合わせて拝んでいる。

ふと郵便受けに奥さん名の年金振込書が入っていたことを思い出して

「奥さんは亡くなったのですよね?」

「いや、あいつは生きてる。今はいないだけ、もうじき帰って来るはず」

翔は奥さんに逃げられた爺さんを可哀想に感じ、

それ以上は聞かなかった。

 

遠くから車のクラクションや人の話し声が聞こえてくる。

しばらくして、部屋に振動が出始めて奥さんの写真が倒れた

『ミシ、ミシ、ミシ・・・ザクザク、ザッザッ・・・ミシミシ』

『・・・いつまでこんな・・・まだ・・・。そん・・・もうじ・・・がんば・・・』

「だろ?聞こえるだろ?俺、怖いんだ。

 きっとカ・・いや化けて出てくるつもりかも」

「しっ、静かにして」

翔は、地中から漏れて来るように聞こえてくる音声を録音している。

1時間もそんな様子が続き、やがて静かな夜が続いた。

爺さんは音と振動が無くなって安心したのか眠り始めている。

 

翔は、部屋に戻るとドローンを窓から飛び立たせた。

このアパート300メートル四方を探査し始めた。

X線、赤外線撮影も同様に行った。

そしてRyokoにここら一帯の地下道や下水道の走行を検索させた。

そして、これらの画像を3D処理してアパートを中心とした画像を作成した。

そこでわかったことは、

ある大きな一軒家の庭にあるプレハブの納屋から

地下道が掘られていて下水道に繋がっていた。

深さも5メートルととても深いものだった。

方向としては、このアパートの地下を突き進んでいる。

 

翌日から一軒家の監視をすることとなった。

もちろんクモママ、クモ助を出動させてのもので

すべて録音録画されている。

この家の夫婦は、大きな屋敷に住んでいる割には貧乏そうな服装で暮らしている。

そしてなせか庭にはフォークリフトが置かれている。

庭を良く見ると、大きな袋がいくつも置かれており中身は土だった。

たまに主人らしき男が庭にトラックをつけて

フォークリフトで荷台にその袋を積んでどこかへ出かけていく。

(つづく)