はっちゃんZのブログ小説

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29.端午の節句(初節句)

いよいよ初節句の日を迎えた。

庭がないので和室の柱に小さめのこいのぼりと床の間に五月人形を飾った。

主役の雄樹へ袴羽織を着せた。

雄樹はまだまだ小さい割にしっかりと立ち始めている。

 

雄樹はそれらに興味があるのか、

こいのぼりを見上げたり、

人形の方をじっと見て、そっとさわるを繰り返している。

静香は張り切って初節句の料理を作っている。

夏姫と雄樹は美波が面倒を見ている。

慎一はその様子をビデオ撮影している。

後の編集が楽しみだった。

 

やがて料理が出来た。

「鯛の焼物」

「赤飯とちらし寿司」

「筍、海老、蓮根の煮付け」

「鰹(かつお)と鰤(ぶり)の刺身」

「柏餅、チマキ」

 

家族全員が和室に集まり、

テーブルの上にところ狭しと並べられた料理に舌鼓を打った。

とりあえずテレビでビデオを全て上映した。

静香も美波もみんな、見入っている。

一人雄樹だけ食事に夢中だった。

食欲は夏姫よりも旺盛でさすが男の子の面目躍如だった。

(つづく)