はっちゃんZのブログ小説

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72.痴漢冤罪ビジネスの闇を照らせ7

ニュー倉持組事務所フロアーに相当する事務所の窓ガラスには

『痴漢犯罪専門法 NKG法律事務所』の文字が広告されている。

「失礼します。ボス、これが今日のあがりです」

「おう、ご苦労だったな。どうだ?順調か?」

「へい、馬鹿なガキと馬鹿な男のおかげで順調です」

「それならいい。もう一軒の人形の店も盛況みたいだ」

「それは良かった。でも不思議ですよねえ。

 テツとも話していたんですが、俺は生身がいいですけどねえ」

「聞いた話だと、

 最近アニメオタクが増えて生身の大人の女が苦手な男が増えたのと、

 AVビデオの普及で自分じゃ何もできない男が増えたのさ」

「ふーん、そんなものですかねえ」

「そいつらの話では生身の女は面倒臭いらしいぜ。

 そこは嫌とか、ここがいいとか、もっと長くとか、注文が多くて嫌になるらしいぜ」

「その注文に応えてやれば、いい声だすのにねえ」

「そこが邪魔臭いらしいぜ。要するに自分勝手な男と女が増えたということかなあ」

「それで、その注文に応える男がホストということですかい?」

「そう女も仕事や金を持ち始めると、言う事を聞く男を欲しがるんだろうなあ。

 ホストに聞くとそういう女は相当に注文が多く、辟易しているみたいだぜ。

 女にも不満があるようでいずれホストも要らなくなるかもしれねえなあ」

「じゃあ女専用の店も将来は考えた方がいいですね」

「ああ、その店は男のアンドロイドを揃えて

 全ての注文を聞けるようなものが必要だな。

 それに女は結構用心深いし、細かくて文句も多いから、

 店の表に生身の男は出せない。

 そんな店は女ばかりで運営させないと面倒なことになるから準備がいる」

「そんな女、たくさんいますかねえ」

「ああ、だから、ほれ、Aの方で準備中だ」

「あっ、それで。ボスは頭いいですねえ」

「そこは俺の兄弟分の大陸の、何千年も歴史のある国の、スケベの塊の・・・。

 そこのツテでロボット技術を導入して・・・と言う話かなあ」

「ああ、そこまで発達してますかねえ」

「日本のスーパーコンピュータより速いものを作ってる国だぜ。

 それにあの国は独身男ばかりで軍隊内にも

 それ専用のロボットを置いとかないと暴発するって言う話だぜ。

 うちの店のロボットは全て日本の職人製だから質も金額も違うが

 もうじき輸出用に少し精巧なものを作るように指示が来ている。

 宇宙基地での使用を考えているらしいぜ」

「宇宙?そりゃあ、夢みたいな話だ」

「いや、夢ではなく、兵士も人間離れした奴、

 いや元人間の化け物みたいな兵士を作っているそうだぜ」

「日本は大丈夫ですかねえ。そんな兵士が攻めてきたら」

「さあな、われわれは、今のところは奴らの子分になってるから殺されねえよ」

「ええ?子分?なんか嫌だなあ」

「馬鹿野郎、今は、と、言ってるだろ?

 奴らの首根っこ押さえたら反撃さ。奴らは利用するだけさ」

「ならいいですが、奴らは心底日本人を嫌ってるから怖くて」

「そりゃあ、アジアの獅子とか言ってふんぞり返っていた時、

 たくさんの外国の軍隊に攻められてボコボコにされて、

 挙句に格下と見ていた日本にも攻められて負けて、

 属国だった国や島を無理矢理に独立させられて、

 最後には領地を植民地として取られたんだから憎むだろう」

「なぜ、日本だけなんすかねえ」

「そりゃあ、奴らから見て格下と見えるのは日本だけだからさ」

「他の国は格上だ、と言う事ですかねえ」

「というより怖いのじゃないか。

 本当は自分達が一番情けないんだけどそれを認められない。

 だから格下の日本を嫌うということだろうなあ。

 実のところ、本当は、日本人も怖がられているぜ」

「日本人が怖い?こんなだらけた国民が?」

「日本人の団結力の強さを知ってるからだろうなあ。

 奴らはお互いを信用していない、協力し合えない人間の集まりだから」

「それだったら戦争できないのじゃないですか?」

「そうだよ。武器は向こうが強くても軍隊となれば日本は強い。奴らは弱い。

 だから、命知らずの命令を聞くロボット兵士が期待されているというところだ」

A班情報以外にも多くの不穏な情報が入手できた翔だった。

(つづく)