はっちゃんZのブログ小説

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109.妖?行方不明者を探せ7

太古の昔から現在まで日本という国には
海を渡って多くの悪霊が攻めてきている。
それが表の歴史としては、戦争や飢饉などで記録されている。
歴史上で有名な事件では
国が定まる前は「八岐大蛇」であり、
日本国が擁立してからは「元寇」であった。
記録には残っていないが、秦の始皇帝が攻めて来た事件もある。

八岐大蛇は、
『葦原の瑞穂の国』であるこのヒノモトを
我が物にせんと大陸より渡ってきた強大な悪霊であった。
この悪霊は人間の魂を食らわんと中国大陸や朝鮮半島を移動してきた。
対馬を渡り出雲へと流れてきたこの悪霊は、
八つの頭,八つの尾,そして真赤な目をもつ。
出雲国簸川 (ひのかわ) の上流で力を蓄えていたが、
その地を訪れたスサノオノミコト (素戔鳴尊) に退治された。
そしてその悪霊の力の源であった

天叢雲剣 (あめのむらくものつるぎ。別名草薙剣 ) は、

アマテラスオオミカミ (天照大神)へ献上され、

この国を護る力の一つとなった。

 

元寇は、元の皇帝が、
『ヒノモト日本には多くの金がある。属国にせよ』と号令を発し
大量の金を入手せん、この国を我が物にせんとし、
精強な軍団を送り込んだ大事件であるが、
実はある伝承では、

秦の始皇帝の時代から日本には不老不死の霊薬があると噂されており
本当は不老不死の霊薬を入手したいとの思惑もあったと言われている。
皇帝は、朝鮮半島朝鮮人に多くの船を作らせ、
半島の森を全て丸裸にし、当時の朝鮮の国々を困窮させ、

宗主国元への抵抗力を下げさせた。
そして日本を攻める準備をする傍ら、
大陸の魔術師を集め、魔力でもこの国の基(もとい)を壊さんとした。
この国を護ろうとする武士や陰陽師など多くの国民の心が一つになり、
その声に呼び起こされたこの国にまどろむ魂が、
地球にまどろむ魂へ呼びかけ、神風を呼び寄せ二度もの国難を撃退した。

この国が出来た太古の昔からこの国にまどろむ大いなる魂は、
何度もこの国を破壊せんとする大陸から攻めてくる悪霊から護ってきた。
この大いなる魂は、力による攻撃、知による防御、
霊力による攻防を担う多くの者達を連綿と作り出してきた。
その血脈の一つが桐生一族であった。
特に遼真達が扱う事件は闇から闇へ処理される。
表の世界では一切ニュースにならないため一般の人が知る事はない。
ただ「都市伝説」や「言い伝え」でのみ語られている。

翔はじっと辺りを伺いながら代々木公園を歩く。
遼真達はまだ公園には着いていない。
もう夕暮れで闇の気配が急速に落ちてくる。
ヘルメットには、赤外線画像が映っているが、
木々に赤く映っているのは鳥くらいだった。
翔は魔物に赤外線スコープは利かないと感じて
気配のみを感知することとした。

『ザ、ザザー』
木の梢を渡る風の音が耳を打つ。
その音に紛れて真っ黒の悪意が翔の頭上へ向かってくる。
翔は頭上に向かってスパイダーネットを発射した。
しかしその悪意は何もない空中で急に軌道を変え、
バトルハンドからのスパイダーネットを避けた。
黒い塊だけが太い幹にへばりついている。
次の瞬間、

地上へ『スウッ』と降りると立ち上がった。
翔は蹴りと拳で全力攻撃するも、
動きが早くなかなか当たらないし
当たっても硬い皮膚と毛に弾かれて全く効いていない。
逆に長い手の先の爪が目などを狙ってくるのでやっかいだった。
弾丸も弾くバトルスーツは魔物の爪などは一切通さないが、
ヘルメットとの境目の首元などを狙われるのは面倒だった。

(つづく)