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はっちゃんZのブログ

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40.美波の言葉

小樽へ旅立つ前夜、美波が二階から降りてきた。

「お母さん、長い間、色々とありがとう。

 美波はもう大学生だから一人でも大丈夫、だから安心してね」

「あらあら、そんなお嫁に行くようなことを言って・・・

 少し遠いかもしれないけれど心配してませんよ。

 でも無事第一志望に受かって本当に良かったね。

 これで亡くなったお父さんに喜んで貰えるわ」

「そうだね、お父さんも喜んでると思ってる」

「きっとそうよ。よくがんばったって」

「お母さん、もう1つ言いたいことがあるの。おじさんのこと」

「・・・日下さんのこと?・・・」

「うん、これはずっと前から思っていたことなんだけど、

 もしおじさんがお母さんと結婚したいと思ってて

 お母さんが結婚したいと思っているなら

 私のことは気にしないで欲しいんだ。

 私のことを考えて二人とも気持ちを抑えているのはわかってるんだ」

「美波・・・そんなことは・・・」

「お母さん、お父さんが亡くなってもう15年だよ。

 いつまでも死んだ人に縛られるのは、

 お父さんも望んでないと思ってるの。

 それにお母さんは今もこんなにきれいんだし、

 きっとお父さんもこんなに長い間、

 一人でいるって思っていなかったかもよ。

 おじさんも家に来るたび、

 たくさんお父さんともお話しているみたいだし

 何よりずっとおじさんがお父さんだったらいいなと思っていたの。

 この話をするのは

 私がこの家を出て行く今がちょうどいいと思っていたの」

「まあ、いつの間にこんなことを言うようになったのかしら・・・

 ありがとう。その気持ちだけを貰っておくわ。

 日下さんとのことは神様にお任せしているの、

 彼の気持ちが固まったらね。

 私は死別だし、彼は初婚だから簡単にはいかないと思ってるわ。

 でも心配しないで、お母さんは強いから大丈夫」

「このことは言ったからね。

 あんないい人、そんなにいるもんじゃないよ。

 美波がお母さんだったら、

 自分から結婚してって言うと思うよ。ははは」

「もうどこまで本気かわからないわねえ。

 お前はそんなこと心配しなくていいの」

「お母さん、美波は妹が欲しいなあ」

「もうそんなこと言って、早く寝なさい。明日は早いんだから」

「はーい。おやすみなさい」

(つづく)