はっちゃんZのブログ小説

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122.首都を防衛せよ9

スーパーコンピューター優子から大型ミサイル発射の報告を受けた翔は、

バトルコンボイへ撃墜するように指示したが

大気圏外へ向かうミサイルは射程外で撃墜は不可能だった。

優子からの解析報告は、核ミサイルである可能性は50%であり、

楽観的にこのミサイルが核兵器ではないと判断できる材料はどこにも無かった。

『もしこれが核ミサイルならば』と考えると悲惨な未来しか見えなかった。

翔は優子にミサイルの位置を知らせるように指示した。

優子は常時東アジアを監視範囲とする某国の人工衛星をハッキングしているので

そのレンズでミサイルを捕らえ、翔へ画像を映した。

 

翔は、空の一点を見つめて、

ヘルメットに映る画像も同時に見つめた。

身体中のエネルギーが

丹田から尾てい骨を回り、頭頂部へ向かい、眉間へと集まっていく。

眉間に熱さが立ち上り、視界が光に包まれた。

 

次の瞬間、翔はミサイルに抱きついていた。

大気圏内にいるため、引き剥がされそうな圧力が全身を襲っている。

やがてその圧力も無くなった。

大気圏外へ出たらしい。

ミサイルはここから真空の空間を移動して、猛スピードで目標物の真上に落ちていく。

 

予定通りの結果で、

ヘルメットへ本体を移送されているRyokoより

「翔様、ナイスです。すばらしいです。

では早速ですが、ミサイルの起爆装置を止めたいので

ミサイルの先端へ移動してください」

翔は、急いで手足に付いている粘着部分を動かしながら先端部へ移動した。

そして、鉄切ナイフを金属面に突き立てた。

Ryokoから

「翔様、その穴部分へ『電磁パルス発生弾ショート君』を打ち込んでください」

と指示があった。

打ち込んだ直後、穴部分から明るい光が漏れて出てきた。

どうやら起爆装置は破壊されたようで爆発の心配はなくなった。

ただこの鉄の塊が都内へ落下させるのも問題が多いと考え、

翔は優子へ敵潜水艦の場所を知らせるように指示した。

優子から正確な座標が知らされ、画像にも反映できている。

翔は、ミサイルを身体にスパイダーネットで固定して跳んだ。

 

次の瞬間、

敵潜水艦の上空へ跳んだ翔は、

真下にはミサイルを発射したまま、発射口を残したままにしている潜水艦が見える。

翔はスパイダーネットを外して、その発射口へミサイルを落としていった。

ミサイルは頭から発射口へゆっくりと落ちていく。

『ガン』と発射口へ当たり

『ギー、ギー』と高い金属の擦れる音と共に発射口へ吸い込まれていくミサイル。

『ガゴッ』と底に着いた音がして、

ミサイルは発射口へ逆さに挟まった。

もちろん爆発は起こらないので安心だった。

 

さすがの長距離移動で体力が根こそぎ無くなり、全身が鉛のように重くなった。

京一郎が作った超体力回復剤『がんばる君』を服用する。

しかし、これで十分に動ける時間は1時間しかなくなった。

翔は潜水艦の潜望鏡に飛び乗って見ていた。

敵潜水艦の中では大混乱が起こっている。

発射したはずのミサイルが発射口へ戻ってきたのだ。

急速潜航をしたいようだが、発射口にミサイルを詰めたままでは不可能だった。

本当のところ既にウニ丸君が接着して、

スクリューは固定されているし

喫水線下でエアバルーンを膨らませているので

この3隻の潜水艦は潜航することは不可能だった。

(つづく)