はっちゃんZのブログ小説

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87.遺族の恨みは晴れるのか13

ヘビ男は、最初地上に横たわっていたが、

ハブのように上半身を立ち上げた。

そして風切音を発するスピードで、

一直線に翔へ向かってくる。

狙いは「眼」と見えた。

翔から鞭のようにしなった蹴りが繰り出された。

ヘビ男は、それを待っていたかのように蹴り足に絡みつき、

上半身は翔の背部へと回った。

このまま後ろに倒れ込むと敵の手が首に巻きつきチョークスリーパーになる。

首周りにはあのロープ上に変形した腕が巻きつけられてきた。

まだ身体の前に残っているヘビ男の鱗に守られた急所へ

鱗を突きぬいて指を根元まで突き立て、

そして指を曲げてグリグリと組織を破壊した。

ヘビ男の身体がこわばり、慄きの震えが走った。

「ギャア」

ヘビ男は叫び声を上げると翔の背部から離れた。

柔軟性に富み鱗に守られたヘビの身体はやっかいだった。

出来る事なら戦って捕まえたかったが仕方なかった。

 

『ポン』

木陰で待機していたアスカから目の細かい金網が発射された。

さすがのジャークもこの網だけは抜け出ることができない。

「それはお前専用で、伸縮自在の縄や網を用意している」

「くそっ、絶対に俺は捕まらないぞ」

ジャークが暴れれば暴れるほど、縄や網が身体に絡みついて締め付けていく。

やがて一切身動きが出来なくなった。

 

その時、『ピン』と小さな音がした。

男が急に胸を掻きむしって苦しみだした。

感情のないヘビのような黄色い目が見開かれ、苦しげに歪んでいる。

そして、こと切れた。

見る間に侵入者の身体が、普通の人間へ戻っていく。

そこには平凡なアジア系の顔つきの男が倒れているだけだった。

よく見ると首の後ろに細いホースらしきものがあり、

そのホースの途中が切れていた。

この不思議な侵入者の画像と共にその身体を京一郎の研究所へ送った。

(つづく)