ある日、小汚い爺さんが、新商売「オールジョブ」へ現れた。
事務所の中を見回しながら、
「探偵事務所と聞いたのに違ってるね・・・」
「は?はい、以前ここにありました事務所は閉められたようです。
もし私どもに何かできることがあれば・・・」
「うーん、何でも屋だから同じようなものかなあ。
わしの住んでるアパートに幽霊みたいなものがいるので困っている。
夜中に部屋がガタガタして、人のような声が聞こえてくるじゃ」
「幽霊なら祈祷師がいいのでは?」
「頼んでも駄目だから来ているのじゃ」
「わかりました。まあとりあえず調べて見ます。
少し準備するので先にアパートへ戻っていて下さい」
「わかった。楽しみにしておるぞ」
「了解しました。ただあまり期待しないで下さいね。
ただ調査するだけですから。
もし本当に幽霊しかいないとわかればお手上げですからね」
「そうか、でも何とかしてほしい」
老人のアパートの場所は奇遇なことに翔が大学時代住んでいたアパートの近くだった。
【依頼内容】
依頼人氏名:宮本顕一郎様。80歳。
依頼人状況:無職、年金暮らし。
種類:お化け被害
経過:夜中になると部屋で男性や女性の声が聞こえて、細かい振動で部屋がゆれる。
調査方針:現場の状況調査。犯人の特定。
翔は偵察用具及び調査道具一式を詰めて、バトルバイクで出発した。
クライアントの部屋の隣が空いていたのでそこに一時入居した。
窓からは翔が学生時代住んでいたアパートとその向こうに銀行や証券会社が見える
早速クライアントの部屋を訪れた。
6畳ひと間に簡単なキッチンが備え付けられている。
部屋の片隅にある箪笥の上に亡くなった奥さんの写真が立てかけられている。
部屋の中を撮影し、壁などを調査するも特に怪しいところはない。
部屋の隅の畳がポコポコとして歩きづらいが
クライアントがそこに座布団を引いて座っている。
とりあえず夜にまた訪問することを伝えて、事務所へ戻った。
Ryokoにクライアント近辺でのお化け騒動の情報を検索した。
隣のアパートの学生が2チャンネルで、
クライアントの爺さんが祈祷師を呼んだ話をつぶやいている。
彼女といる時でも細かく揺れることもあり
集中できなくて困っているともつぶやいている。
何かが起こっていることは確かなようだった。
(つづく)