はっちゃんZのブログ小説

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84.遺族の恨みは晴れるのか10

Ryokoから新しい情報が入ってきた。

①朴川専務宅でどうやら「白川姫香」らしき女性が捕まっていること。

②殺し屋の一人が反抗しているため、華田社長宅土蔵部屋に監禁されていること。

③殺し屋の一人(女性)が朴川専務宅へ向かっていること。

④昨夜事務所へ侵入したヘビ男は、華田社長宅土蔵へ潜伏していること。

翔は、急いで銀座にある朴川専務宅の大きなタワーマンションへ向かった。

 

朴川専務のマンションから緊急情報が次々と送られてくる。

「白川姫香」らしき女性に危険が迫っているとの判断からだ。

現場にいるクモ助からの画像がヘルメットのフェイス部分へ映される。

現在、「白川姫香」らしき女性は、現在、マンションのベランダへ立っている。

目に膜がかかって意志のない様子でじっとしている。

殺し屋が彼女へ催眠術をかけている。

「あなたのお父様は殺人者の味方なので多くの人から恨まれています。

 あなたは娘としてその人たちへ謝罪しなければなりません」

「はい、私は謝罪しなければなりません。謝罪の手紙を書きます」

「では、ここへ私の話すように書いて下さい」

「はい、あなたの言うとおり書きます」

彼女は、殺し屋の言うとおりに謝罪の手紙を書いて、

封筒をスカートのポケットへ入れた。

 

「では、あなたは今から歩いてこの板を歩きます」

彼女は、ベランダへ斜めに立てかけられた幅広い板へ足をかけた。

両手を広げて板をそっと歩き始めた。

「そうそう、この道は幸せの国への道です。落ちないようにそっと歩いて」

彼女はゆっくりと板を歩いていく。

「Ryoko、彼女へ麻酔薬を打ち込め」

「翔様、クモ助にその機能はありません」

「何とか彼女を歩かせないようにできないか」

「翔様、現状では何もできません」

「わかった。クモ助を彼女の背に貼り付けろ。耳元でずっと話しかけさせろ」

「了解しました」

しかし、クモ助は移動に時間がかかり、なかなか彼女の耳元へ近づけなかった。

あっという間に彼女の足が何もない空間へ踏みだされた。

(つづく)