はっちゃんZのブログ小説

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83.遺族の恨みは晴れるのか9

ある夜、事務所へ侵入者があった。

予期していたことなので

プードル型ロボット犬『ロビン』とアスカを待機させている。

鍵が音も無く開けられ、ドアも静かに開けられた。

気配を消して室内をうかがう侵入者、

寝息を立ててソファで眠っているふりをしているアスカへ近寄っていく。

アスカの首にロープが巻かれた。

『ギリギリ』

『?!』

普通の人間だったらきっと首の骨が折れたはずだった。

いつもの感触と異なることに気づいた侵入者は動きを止めた。

 

ロビンから多くの「麻酔針」が噴射された。

強力な麻酔効果のためすぐに倒れるはずの敵がまったく倒れない。

ロビンは、侵入者へライトを当てた。

侵入者の全身は蛇のような鱗に覆われていて、ヒモと思ったのは手だった。

アスカの首筋を狙って、細くした指先を突き刺してくる。

どうやら毒手の名手のようだった。

翔は急いで事務所から出てドアを締めた。

窓ガラスには割れないシートも貼ってあるし、ドアそのものは鉄製に変えている。

部屋の中ではアスカが背中部分から麻酔ガスを噴出している。

 

しばらくすると部屋の中が静かになった。

アスカからも侵入者が動かなくなったとの連絡が入った。

翔は侵入者を拘束しようとしたが、ヘビのような身体なので無理だった。

どうしようかと思っていると

今まで意識を失っていたはずのヘビ男が、

突然、翔の脇をすばやくすり抜けて事務所のドアを蹴破って脱出した。

ヘビ男の身体にはGPS装置の入った針が打ち込まれているし、

潜伏場所は青山の華田社長宅なので慌ててはいなかった。

 

すぐさま都倉警部へ連絡し敵の画像を見せる。

アスカが赤外線カメラで室内や敵を撮影している。

警部は侵入者のあまりに異様な姿に驚いている。

首を絞められたアスカの具合を心配していたが、

彼女を警部の隣へ座らせ、首元を確認させると

アンドロイド(OJO)である彼女のあまりの精巧さに目をパチクリさせている。

(つづく)