はっちゃんZのブログ小説

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25.幼い兄妹(きょうだい)の依頼 5

 「おまえ たれ ある」

趙が突然客室へ入ってきた。

翔は急いで彼女をベッドの後へ隠れさせると趙へ攻撃した。

それなりに中国拳法使うが、高齢で体力も続かなくなりフウフウ言い始めたので

後頭部へ手刀を落とし昏睡させた。

続いて秘書らしき男も入ってきたが、趙を盾にしているので攻撃してこない。

甲板まで出ていき理恵子さんに内側から鍵を掛けさせた。

後から気配を消した先ほどの秘書が無言で拳を放ってきた。

口が丸くすぼめられているのが見えた。

さっと盾の趙を前に出し拳を避けると趙が苦しみだした。

趙の顔面を見ると細かい針が突き立っている。

そのうち趙が痙攣を起こし始めた。

毒針だった。

 

こいつがこの前の事件のボスを拘置所内で殺した男に違いなかった。

何とかしたいと考えていると海上保安庁が近づいてきた。

男が浮足立って逃げに入った。

手の平からクモの巣を発射した。

男はデッキの柱に縛り付けられた。

急いで振動棒で機関部を破壊し、目につく武器類をバラバラにした。

 

向こうからもう一人がダブダブの服をはためかせながらやってくる。

両手から光る物が投げられた。

手の位置がまっすぐに心臓と首筋を狙ってきている。

さっと避けて近寄り蹴りを放つ。

袖からキラリと光るものが見えた、長い針のようだ。

男は上に跳んで避けながらこちらに蹴りを放ちつつ針を投げる体勢は変わっていない。

この針にも毒が縫っている可能性がある。

蹴りを受ける振りをして後に倒れこむ隙を作ると

すぐさま敵は馬乗りになり針を突き立てる体勢となった。

その瞬間、後頭部に蹴りを放った。

男の顔の表面が浮くほどの強烈な蹴りだったので男は吹っ飛んで倒れている。

もし蹴りを避けられてもその瞬間、隙が出来た脇腹へ抜き手が入る。

 

もう一人の太った男が向かってくる。

無防備に向かってくるので蹴りと拳を繰り出したがすべて弾き返された。

どうやら硬気功のようで物理的攻撃は効きづらい。

腹筋の間に抜き手を狙ったが入らない。

こうなれば相手にはかわいそうだが使うしかなかった。

翔は『一本拳』を使い指の根元までたっぷりと水月へ打ち込んだ。

さすがの敵も転げまわって苦しんでいる。

そっと後へ回り後頭部へ手刀を入れて昏睡させた。

これでこの事件は一見落着だった。

後でわかったことだが、趙が東京におけるチャイニーズマフィアの一人であり、

「臓器売買」「人身売買」「仕事人による殺人」組織は壊滅させることができた。

 

理恵子さんは、覚醒剤中毒となっており、施設に入り断薬をしている。

子供たちは少しの間という事で児童相談所へ預けられた。

この兄妹から聞いたところによると、

木の根元でお腹が空いて寒くなって、意識がだんだん無くなって来た時

お父さんが現れて翔のところへ導いたらしい。

その後、ずっとお母さんの近くにいたそうで、

ある時、突然お兄さんの元へ引っ張られて助けてもらったと言っている。

指輪もいつの間にか無くなっていたと言っている。

(つづく)