はっちゃんZのブログ小説

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27.支笏湖と三大秘湖のオコタンペ湖1

札幌の街なかの根雪もなくなりしばらくした4月の終わり、

風はまだ冷たいが暖かい日差しが窓から差し込んできている。

早いもので札幌へ来て、もう一年が経ったことに慎一は気がついた。

子供達も少しの風邪くらいのもので大きな病気もせずにすくすくと育っている。

久々に5月の連休を使って、ドライブをしようと考えた。

札幌の近くで子供達を遊ばせて、大人たちも満足する場所を探した。

ネットで調べていると何気にブログの「三大秘湖」という言葉を見つけた。

 

北海道三大秘湖・・・その神秘な響きに惹かれた。

「オコタンぺ湖」支笏湖近く

「東雲湖」然別湖近く

オンネトー湖」阿寒湖近く 

の三つの湖らしい。

写真では湖面がコバルトブルーやエメラルドグリーンに染まった湖が写っている。

 

今回は、まず千歳市支笏湖へ行き、帰り道に「オコタンぺ湖」へ行く事とした。

車に小さな家庭用テントとお弁当(離乳食も)とミルクやコーヒーなどを積んで出発した。

道央自動車道大谷地ICから千歳ICまで移動し、支笏湖通(16号)に入る。

高速道路から見る北海道の大地は、大きい平野部にポツンと山がそそり立っている。

北海道内を自家用車でドライブするのは今回が初めてだが、

仕事で移動している途中、本州とは異なるその風景を見て

不思議な感覚にとらわれたものだった。

札幌市からほんの1時間程度で支笏湖には到着する。

支笏湖温泉の看板の方へ向かうと真っ青な湖面を背景に小さな街並みが見えてくる。

まだ風も冷たいが白鳥型のペダルボートの多くが湖岸を遊泳している。

4人は青い湖面の左右にたたずむ、

樽前山・風不死山(左側)と恵庭岳(右側)を交互に見た。

どの山も特徴のある形をしており、やはり本州とは異なる大きさと形であった。

色々なお店が出ているが、名産品は支笏湖で養殖しているヒメマスの料理だった。

 

この湖は日本2番目に大きいカルデラ湖で「日本最北の不凍湖」と呼ばれている。

水中遊覧船出航のアナウンスがあり、湖上への遊覧が開始された。

この船は水面下2mの水中窓から透明度の高いコバルトブルーの世界が広がっている。

おだやかな砂地の波紋の上を泳ぐ多くの淡水魚の群れや

「柱状節理(ちゅうじょうせつり)」と呼ばれる

湖底から切り立った岩が崖のようになっている風景が広がっている。

アナウンスではカルデラ湖が出来上がる時、

マグマが急激に冷やされ収縮した際にできた地形で、

支笏湖における自然の造形美の一つらしい。

 

ミルクで子供達の喉の渇きを抑えての休憩後、

支笏湖東北岸に沿って北上し、恵庭岳を周回し突き当りを左折し支笏湖へ向かい、

キャンプ場のある「丸駒温泉」を目指した。

そこなら子供達を芝生に座らせて遊ばせながら、

安心して夫婦でコーヒーを飲めるからだった。

そこへ向かう道路の両側は、3から5メートルくらいの雪壁がずっと並んでいる。

札幌市内では4月になると雪壁は全くなくなっているが、

山中ではまだこのような状態であることを始めて知り、

安全を見て冬タイヤのままにしていて良かったと安堵した慎一であった。

地図上で見ると三大秘湖のひとつ『オコタンペ湖』はこの雪壁の向こうだった。

(つづく)