ある時、事務所近くの公園で高校生達に殴られているホームレスを見つけた。
高校生たちはにやにや笑いながら浮浪者を蹴りつけたり殴ったりしている。
翔は腹立たしくなり変装して急いで現場に急行した。
学生達は飛んで火にいる夏の虫と翔へ殴りつけてくるが
もちろん翔の身体には一切ふれることもできない。
そのうち疲れて全員座り込んでしまった。
「おい、もうこんなことは止めろよ、根性が腐るぞ」
彼らは恥ずかしいのかすごすごと逃げていった。
殴られていたホームレスを住むところまで連れて行こうとすると
彼の仲間が集まってきて、お礼の酒盛りが始まった。
彼らは自分達と一緒に飲み食いする翔を一目で気にいったようだった。
その経験から時間を見ては、翔独自の情報網を築くために、
変装してホームレスのナリをして毎日のように彼らと一緒に暮らした。
事務所に大した仕事はないので時間はいくらでもあった。
彼らはスマホも持っており、情報も早かった。
住んでいる場所には冷蔵庫などの家電やテレビのあるホームレスもいる。
毎日の仕事を手伝いながら彼らと仲良くなっていった。
彼らの情報網は結構広く、顔見知りが多いようで
ボス的な存在のホームレスは他のエリアのボスと連絡を取り合っている事がわかった。
社会的弱者と呼ばれる彼らだが、実態は決してそうではなく、
確かに体力はないが、向学心も高く博識でグルメであった。
翔はいつも何がしかのお酒やツマミを持って彼らの中に入って行った。
だんだんと打ち解けていき徐々に彼らの力を知り信頼される存在となっていった。
事務所近くのエリアのボスは、元が公務員だったようで翔は一番の仲良しになった。
(つづく)