はっちゃんZのブログ小説

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28.支笏湖と三大秘湖のオコタンペ湖2

すれ違う車もないまま、看板に従ってなだらかな下り坂を走らせる。

やがて「丸駒温泉」が見えた。

支笏湖に面する割合に大きな旅館で車も結構止まっている。

キャンプ場駐車へ車を停めて、子供達をベビーカーに乗せて、

家族用テントを出して、お弁当を肩にかけて湖岸へ向かった。

 

目の前に静かな湖面が広がり、対岸に「樽前山・風不死山」が鎮座している。

湖面を渡る風が止むと「樽前山・風不死山」の姿が逆さに映っている。

自分達以外は誰もいないので一切物音もせず、静かな風景がそこにはあった。

子供達は、たまに吹く風が気持ち良いのか空を見てにこやかにしている。

急いで家庭用テントを組み立てて、ベビーカーを交代した。

妻がお弁当を広げて昼食の用意が終わったらテントの中へ子供達を入れた。

 

子供達へ食べさせるのは夫婦交代で、慌しく慎一が先に食べると妻と交代した。

子供達は離乳食で色々な味を覚えてたくさん食べ始めている。

大人のものも食べようとするが何とかなだめて離乳食を全部食べさせた。

子供達もお腹が一杯になり、遊び始めたので芝生のところへ連れて行った。

雄樹は父の背中を使って、つかまり立ちを始めている。

夏姫は父の膝が気持ちいいのか、ずっと座って母や兄を見ている。

妻が作ってきたコーヒーを入れた。

夫婦は子供達と鳥の声だけがこだまする静かな湖岸で馥郁たるコーヒーを楽しんだ。

いつの間にか母の膝に座っている雄樹が夏姫と何かを話している。

 

やや太陽が傾いてきて少し空気が冷たくなってきたので急いでテントなどを片付けた。

帰り道に偶然、『オコタンペ湖』の標識を見つけた。

なんと来た時は、標識が高い雪壁の上にあったので気がつかなかったのだ。

そこで車から降りて、

道路際にある展望台の雪壁の切れ間から覗いてみると、

ブログで見た湖面の色は全く見えず、

まだ雪に閉ざされたままの真っ白な湖面だった。

 

オコタンぺ湖は、火山噴出物によって堰き止められた湖で、

晴れるとコバルトブルー色になり、

その湖面に秋の紅葉が映ると、とてもきれいとの情報があった。

ただ湖付近は立ち入り禁止となっているため、

道路脇の展望台から眺めるようになっている。

次回に期待ということで札幌市への道を戻った。

(つづく)