はっちゃんZのブログ小説

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88.秋の道東旅行5(知床第一ホテルにて)

知床第一ホテルは「心も体も癒される知床5感」として宿泊されるお客様に、

5のおもてなしを用意している。

ホテルの公式ホームページでは最初に紹介されている。

1,食事:バイキング、和食会席を用意

2.自然:世界遺産知床の自然

3.人:シリエトクの人々(知床の達人)による観光案内

4.湯:全国で初めての天然翡翠石の大浴場

5.静:滞在シーンに合わせた部屋の用意

 

このホテルは、何度か宿泊している同僚に紹介されて予約したのだが、

聞いていた通り歴史のある暖かく趣のあるホテルでほっとして部屋に入った。

予約した10階の部屋は輸入家具が配置されておりシックでエレガントな雰囲気であった。

そしてその窓からの景色は、オホーツクの蒼い海と足元に知床の大自然が広がっている。

今夜の夕食は、部屋食でゆっくりと食べようと考えているため、時間にはゆとりがあった。

子供達は疲れていないため元気一杯で部屋中を走り回っている。

早速子供達を「子供の楽園アクアランド“ソンテ”」へ連れて行った。

このプールは、天候を気にせず、好きなだけ遊べる室内施設で「ソンテ」とはロシア語で太陽を意味するらしい。壁には大きな太陽の絵と青い海、知床に生きるシャチやクリオネなども描かれている。

プールの深さが最大1mなので子供達にはちょうど良かった。

プールに設置しているすべり台やアスレチックなどの遊具が一杯で、多くの宿泊客が遊んでいる。

今回の旅行、2回目のプール体験で子供達の表情もわくわくしていて安心した。

今日はずっと車での移動だったので子供達には暇だったらしく、

すぐさまチューブ型すべり台に並び、下のプールで待っている父へ滑って来る。

夏姫は、『お父さん、一緒に滑ろう』と手を繋いでくるので、

二人で一緒に夏姫を足の間に挟んで滑ると雄樹は、『僕も僕も』と言ってくる。

何度も子供達とすべり台を往復して、今度は回転すべり台へと移動して滑る。

次はアスレチックがあるため、鉄棒にぶら下がったりして遊んだ。

静香と美波は、ゆっくりと大好きな大浴場へ行っている。

 

女性大浴場“ローシャ”

“ローシャ”はロシア語で森を意味し、緑の植栽とともにさまざまな湯が設置されており、床材に美しい翡翠を使用し、広々としたパウダールームも完備されている。天然石の翡翠そのものが大浴場の床壁に張りつめられており、翡翠はリラクゼーション効果や「心の開放」の意味を持つらしい。

その他、露天風呂、展望風呂、寝湯、うたせ湯、ジャグジー、お子様用のぬるめの浴槽、サウナなどその日の疲れ具合によってさまざまな浴槽が用意されている。

 

ある程度、子供達も遊んで堪能してきたので、部屋へ戻ると静香と美波は戻って来ている。

大浴場の前にはエステコーナーもあるようで、夕食後もう一一度大浴場へ行くつもりらしい。

そんなこんなで遊んでいると時間は瞬く間に過ぎて行く。

そのうち、夕食時間がやって来た。

今夜は『部屋食』を予約しているのだった。

このホテルが、バイキング日本一に輝いた実績は知っているが、

旅の最終夜という事もあり、

その日本一のバイキングは朝食で堪能するとして今日の夕食は部屋食にした。

その方が夫婦もアルコールなども十分に頼めるし、

他人を気にする事も無く気兼ねなく子供達にゆっくりと食べさせたかったからだった。

まぁ本音は最後の夜くらい畳の上でゆっくりと飲みたかったのだった。

仲居さんがきて、和室の座卓の上に豪華な夕食が並べられていく。

子供達用に大人分一食を予約している。

二人とも大人と同じものを充分に食べることができるから安心だった。

慎一と静香が並んで、向かいに美波と夏姫が座っている。

雄樹は、夏姫と母親の間のお誕生席に座っている。

 

今夜の部屋食のメニューは、

「北海道味覚を満喫できる贅沢なコース」を予約している。

テーブルに続々と料理が並べられていく。

子供達は、行儀良く背筋を伸ばして座布団に座ってじっとしている。

子供達の前にも大人と同じ様に箸や取り皿や器が並べられている。

仲居さんから『あらあら、お二人ともとってもお利巧ですね』と言われている。

食前酒 ハスカップ

先付 鮭の飯寿司

   北海道のお正月に欠かせない滋味と言われている。

   飯ずしは、魚介類を塩とご飯で発酵させた北海道の郷土料理で、本州でもなれ鮨

   などで知られているが、北海道では漬ける際に麹と野菜も使い、食べる際には

   一緒に漬けたご飯も食べる。使われる魚は、鮭のほかにもほっけやサンマなど

   地域や家庭によって様々で、北海道では、年の暮れに向けて各家庭で漬け込み、

   できたものを正月のごちそうとして食べてきたらしい。

   これは居酒屋での定番物であればいつもツマミとっして頼んでいる。

造り 鮭・帆立・殻付き牡蠣・牡丹海老

   新鮮な鮭や貝の身がピカピカに光っており歯ごたえもあり甘くて美味しかった。

   特に身が太く腹に卵を持ったボタン海老は、卵のプチプチとした感触に濃厚な味

   噌の甘みが混然一体となり、お酒で流し込むのが勿体ないくらいの逸品だった。

揚物 かすべホッペの竜田揚げ

   かすべは東北北海道でしか見た事は無いが、本来は淡白な味のかすべに濃い味付

   けがされ、軟骨がコリコリとした歯ごたえて酒のつまみには最適だった。

焼物 鮫鰈味噌焼き

   肉厚の鮫鰈の身が特製味噌の香りに包まれ、香ばしくふんわりと焼かれている。

   本来は淡白な肉質だが、脂の乗った肉の甘みが味噌で引き出されている。

蒸物 フカヒレ入り茶碗蒸し

   優しい出汁にプルプルのフカヒレのアクセントが絶妙だった。

   新鮮な刺身に揚物煮物ときて次にと言う場所でほっとする箸休めの逸品だった。

   これは子供達が大好きで静香の物は最初の一口以外は全て食べられたため、

   慎一の茶碗蒸しを夫婦で半分ずつ食べた。

茹物 毛蟹塩茹で

   一匹が丸ごと皿に盛られている。部屋の灯りに照らされて光っている真っ白い身

   とトロリとして濃厚で美味しそうな黄色い蟹味噌が輝いている。

   これは食べるまでの作業は、時間がかかるが慎重に身を外して皿に盛って行く。

   雄樹や夏姫が足やハサミをそっと触っては、『トゲトゲして痛い』と恐る恐る

   見ている。しかし、その甘い身を一口食べた途端に『美味しいー早く、早く』と

   せがまれる。

鍋物 道産牛のすき焼き(一人鍋)

   綺麗に刺しの入った道産牛を贅沢に使った一人鍋で一緒の野菜や茸も新鮮だった。

   焼き立ての熱々の肉を新鮮な卵に潜らせて食べると一日の疲れが吹っ飛ぶくらい

   美味しかった。

   口に入った肉が噛む必要も無いくらいだが、その肉厚の存在感も十分だった。

   この牛肉も最初の大きな一切れ以外は雄樹に食べられてしまった。

御飯 帆立と雲丹の釜飯

   たっぷりの帆立と雲丹を贅沢に使った釜飯である。

   美味しい道産米に帆立の甘い風味と雲丹の甘さが移りその二つのハーモニーが味

   わえる。これも子供達が大好きでモリモリと食べていく。

吸物 潮汁

   地元産の分厚い昆布が存分に使われ、その身から出た深い旨みと地元魚のアラか

   ら出る旨みが合わさったの上品な味わいで、非常に贅沢な出汁が絶品である。

漬物と果物 各二種盛り

 

子供達は、早々に食べて果物を食べると部屋の隅に置いているオモチャで遊びテレビを見始めた。

美波も十分に食べたのか夕食も終えて、雄樹と夏姫の近くで一緒に遊んでいる。

 

夫婦は無心に遊ぶ子供達の姿を見ながらゆっくりとお酒を飲んでいる。

窓からは知床の暖かい街の灯りとオホーツク海の海が見えている。

やがていい心持ちになって来る。充分にお酒を飲んで堪能したので、

部屋の管内電話から夕食の片付けの連絡を仲居さんへ伝える。

 

「じゃあ、夏姫に雄樹、お父さんとお風呂へ行こうか」

「うん、わかった」

「はーい、大きなお風呂かなぁ」

「とっても大きなお風呂だったわよ」

「色々な種類のお風呂やサウナとかもあったわよ」

「へぇ、サウナ?」

「お父さん、僕、サウナに入ってみたい」

「夏ちゃんも入りたい」

「わかったよ。みんなで入ろう。でも熱かったらすぐに言ってね」

「うん」

「美波、私達ももう一度軽く入って、エステでもしましょうか?」

「そうね。あんなに良いお湯だったのだから総仕上げね。美しくならなければね」

「夏ちゃんも美しくなりたい」

「夏ちゃんは、まだ早いかな?

 でもお姉ちゃんがもっと可愛くなるように後で夏ちゃんにもしてあげる」

「うん、じゃあ夏ちゃんはお父さんとお風呂へ行ってくるね」

「お父さん、夏ちゃん、早く行こうよ」

「わかった、わかった。じゃあ二人ともスリッパを履いて」

「うん、ダッシュ

「コラコラ、前をよく見て行くんだぞ」

「はーい。外で待ってるから早く来てね」

「お父さん、抱っこして」

「夏姫は甘えんぼさんやね。いいよ。さぁ行こうか」

「はーい、じゃあ、お母さん、お姉さん、先に行くね」

「はい、行ってらっしゃい」

「お父さん、遅いよ。早く早く。あぁ夏ちゃん、ずるい」

「ふふふ、いいでしょ」

「僕は抱っこも良いけど今は歩きたいな」

「わかった、わかった。さぁ行くぞ。お父さんの手を持って」

 

男性大浴場”モーレ”は、”モーレ”は、ロシア語で海を意味している。美人の湯に身をゆだねながら、知床ブルーと称される真っ青な海、夕暮れに染まるオホーツク海を堪能できる。風呂の種類も含めて女性大浴場と同じである。

実はこのホテルには貸切家族風呂がある。

その数は2つ用意されており、露天風呂と同じ源泉の湯で家族だけで、プライベートな癒しのひとときを楽しめるようになっている。

慎一は子供達の身体を軽く洗い、三人で色々なお風呂に入っては出てを繰り返した。

露天風呂では、札幌では見えないくらいの星空が広がっている。

真っ黒な夜のオホーツク海には、イカ釣り漁船の灯りが瞬いている。

函館の浴室付きの部屋へ泊まった時、ふと浴室から見えた光景を思い出した。

「雄樹に夏姫、見てごらん。お星さまがすごく見えるよ」

「ほんとー、お父さん、あの明るい星はなぁに?」

「どれどれ」

「あんな下の方にもお星さんがあるわ。キラキラ輝いてるわ」

「あれは、イカを釣ってるお舟さんの光だよ」

「そうなの・・・お空のお星様が映っているのかと思ったのに」

「うーん、夏姫の言う通りかもね」

「へぇ、お星さんがねえ。綺麗だね」

「うん」

二人は漁船を浮かべ灯りの瞬くオホーツク海をじっと見ている。

そして最後にサウナに入る。

子供達も最初のうちは興味津々で大人しくしていたが、

しばらくするとのぼせ始め「熱い熱い」と言い始めた。

仕方なしに大浴場を出て、東館地下1階に向かう。

ここにはゲームプラザが設置されており、

景品ゲーム、音楽ゲームなど、バラエティ豊かなゲームが用意されている。

プラザに近づくと可愛い音楽が聞こえ始め、抱っこしている二人の瞳が輝き始める。

「僕はまたワニのゲームがあればしたいなぁ」

「今度は私も一緒にしたい」

「わかった。交代でしようね」

「うん」

ゲームコーナーは結構な広さで多くの宿泊客が子供と一緒に遊んでいる。

三人は、ちょうど空いた先ずはワニワニパニックへ向かう。

子供がトンカチを持ってゲームが始まる。

途端に顔を出してくるワニ達に二人の歓声が重なる。

「お父さんも手伝ってよ」

「わかったよ。じゃあ最高点を目指すぞ」

「うん」

「そうね、私も頑張る」

顔を出してくるワニの頭を握った手で叩いていく。

三人がワニの顔がドンドンと叩かれて当日の最高点を叩き出した。

「やったー、今までの最高点だね」

「今度は私がトンカチを持つの。雄ちゃんも手伝ってね」

「わかった。はい、交代だよ」

「二人とも交代ができてえらいね」

「だって私達仲良しだもんね」

「ねぇ」

「じゃあ、始まるよ。準備はいいか?」

「準備オーケー」

「うん、いつでもオッケーよ」

そこからは三人でキャアキャア言いながらワニの頭を叩いていく。

そんなことをしている間に静香と美波がゲームプラザへ顔を出した。

「お母さん、来て来て、最高点が出たよ」

「お母さん、見て見て、たくさん点が取れたわ」

二人は顔をエステでピカピカにして澄まして近づいて来る。

「あれ?お母さんの美波姉ちゃん、何かいつもと違うわ。綺麗」

「ありがとう、ちょっとね。美人の湯だから夏ちゃんも可愛いわ」

「そうそう今、ワニさんゲームしてるところ」

「すごいんだよ。二人とも最高点で景品が出たよ」

「二人ともすごいね。景品貰えて良かったわね」

その他、クレーンゲームをして家族で一杯に遊んで、

部屋へ帰りに西館1階売店ジェレボのお土産コーナーに向かった。

職場のみんなや友人へのお土産を試食しながら選んで部屋へ持って帰った。